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62、プルと契約


カーラさんのひと言で、少し機嫌を直しつつあるプル。

俺もどうしたもんかと思ってたから助かったよ。


「あるじとけいやくー?」


「そうよ、プルちゃんは先代のお爺様の従魔だったんでしょ?そしたら、今は契約主がいないって事だからカズさんと契約できるんじゃないかしら?」


盲点!

そうだよな、プルはじいちゃんの従魔だったんだからじいちゃんが死んでその契約はなくなったのか。


「プル、俺と新たに契約しようか」


プルは少し考えるような感じでぷるぷる震えてから俺の背中で飛び起きた。


「うん!するー!プルもあるじとけいやくするー」


よしよし、機嫌治ったな。


「それじゃ、プル。こっちにおいで」


俺はプルを抱いてプルに顔をつけた。

プルは最初に出会った異世界のスライムだ。

従魔契約なんてしなくても一緒にいられてるけど、ちゃんとプルとの絆は結んでおきたい。


心からプルを従魔したいと願っていると

頭にプルの心が流れて来た。


“あるじとずーっといっしょにいたい“


そして、俺たちの周りに風が吹いて

無事に契約が終わった。


「よし!これでプルも俺の従魔だぞ!」


「わーいやったー!ゆにこーんにまけないからねー」


あ、ちょ!

ユニコーンって言っちゃダメだってば!


慌ててプルを抑え込んだから、最後の方はみんなに聞こえなかったみたい。


“あるじー、ゆにこーんいっちゃダメ?”


ん?なんか頭にプルの声が。

あ!そうか!従魔になったから念話が使えるのか。


プル、あいつがユニコーンって事は今はみんなには内緒な!


“わかったー!プルはいいこだからやくそくまもるよー“


よしよし、いい子だな!


プルを撫で回していると、ルドガーさんが近づいて来た。


「カズ…ちょっといいか」


「はい?」


みんなから少し離れた場所に来た俺たち。

ルドガーさんが小声になってる。


「さっき、ユニコーンとか聞こえたのだが」


え!まさか、聞こえちゃってた?

えーと、どうしようかな…

ルドガーさんならいいのかな…


「あ、ええ。あの仔馬はユニコーンらしいんです。あいつが俺に念話みたいなもので話しかけて来まして…」


「なに?やっぱりか」


「あの白馬の中に稀に先祖返りでユニコーンが生まれるらしいんですよ…それで俺について行きたいと」


ルドガーさんは腕組みして考えこんでいる。

やっぱ言ったのまずかったかな…


「とりあえず、ユニコーンって事は今は伏せた方がよいな。だが、黙っている訳にもいかんし冒険者ギルドのギルドマスターには話しておいた方がいいかもしれん」


トールソンさんか…

まあ、そうだなトールソンさんには話さないとな。


「分かりました、そうします」




連れ帰る白馬の準備も終わり、後は街に帰るだけだ。

街の外には防御壁があって、必ず門から入らなければならない。

その門も夜の8時には閉まって中には一切入れなくなるんだ。


今から帰っても夕方には着けるだろうから、大丈夫そうだな。


作戦も成功して行きよりも心なしか足取りも軽いので、サクサク進んでる感じがする。


途中、街道の脇にある空き地で小休憩。

街道にはこうして休憩や野営ができるように空き地があるんだけど、意外と沢山の人達が利用してるみたいなんだよな。


俺たちが着いた時も、馬車が一台いて商人とその護衛の人たちがいた。


なんか、ノリで一緒に休憩しましょうみたいになってさ。

聞いたらこの人たちもカルニートに行くんだって。

じゃあ、一緒にって事でこんな大所帯な訳だ。


プルは途中まで仔馬(仮)の背中に乗ってたんだけど、疲れて寝ちゃって馬車の荷台で寝かせてもらってる。

カーラさんとアニタさんも一緒だから大丈夫だろう。


というか、プルと仔馬(仮)なんだけど

意外と仲がいいっていうか、張り合ってはいるんだけど上手く行ってるみたい。


あ、さっき休憩の時に従魔にしたんなら名前をつけなきゃダメだとみんなに言われてさ。

いつまでも仔馬(仮)じゃね…


そんで、どうしようかなって考えたんだけど

一応、ユニコーンってのは本当らしいし

ユニコーンにちなんだ名前にした。


なんかで読んだ事があったんだけど

フランス語でユニコーンって《リコルヌ》とか言うらしい。

だから、名前は「リコル」にした。


フランス語って女性名詞とか男性名詞とか何かちょっと難しいけど、その辺は考えないぞ。

ここは異世界だしね。







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