23、冒険者だったの!?
「そーいや、お前さんは冒険者ギルドには登録しねぇのか?」
「え?僕がですか?いや、冒険者はちょっと…腕に自信もないですし」
チラッとトールソンさんの腕を見てみると
丸太のような腕。
その上、色んな傷跡が無数にあった。
「そっか、ゴンゾーじいさんは登録してたぞ」
「えーーー!」
びっくりし過ぎで危うく溺れてお湯飲んじゃう所だったよ!
なにそれ!じいちゃんが冒険者?
え?嘘!なんで、じいちゃんが?
「なんだ、知らなかったのか」
「は、初耳です!」
マジかよ!あのじいちゃんが?
えー、じいちゃんが鎧着て剣持ってとか…想像出来ないんですけど。
「たまにそこのスライムと一緒に素材採取とか魔物討伐とかやってたぞ」
「討伐…」
俺の横をぷかぷかと浮かんでいるプルを見た。
そんで、プルとじいちゃんが魔物討伐して図を思い描いてみる。
んー、やっぱり全く想像できん。
「なぁ、プル」
「なーにー?」
「じいちゃんと一緒に魔物討伐とかしてたって本当か?」
「プルまものたおせるよ!プルつおいんだからー」
そう言って触手で力こぶを作ってるプル。
どう見ても強いより可愛いの方が似合ってるけど。
「ゴンゾーさんは、冒険者ランクDランクでしたか?」
「そうだな、でもすぐCランクに上がれそうだったな」
Cランクがどのくらいか分からんが、確実に普通のお年寄りよりは強いんだろうな。
「それによ…」
なんかびっくりして手持ち無沙汰になってプルをこちらに引き寄せたりして、トールソンさんの言葉を待った俺。
その後聞いた事実で完全にKOされてしまう。
「じいさん、魔法も使えたしな」
魔法も…使えたしな…使えたし…
魔法…魔法…魔法…
衝撃の事実にフラフラになりながら風呂を出て
みんなへの挨拶もそこそこに
後のことはお願いして自宅に帰る。
自宅の扉を閉めて、部屋の電気をつけて俺は叫んだ。
「じいちゃん!魔法使えたのー!!!?」
なんか今更ドキドキして来た!
なんなんだよ!魔法って!
おいおいおい!俺の身内に魔法使いがいたのかー!!
考えれば考えるだけ頭の中がややこしくなって来たぞ。
異世界に繋がる旅館やってただけじゃなくて
冒険者までやってたとか、理解するの無理だっての!
悶々と色々考えた後、ある事がひらめいた。
「あれ?そしたら血の繋がってる俺も、もしかして魔法とか使えるんじゃね?」
よし、こうなったらやってみるしかねーな。
今なら誰も見てないし。
唯一、同じ部屋にいるプルは録画しといたアニメに夢中だ。
よーし。
ラノベとかで、体の中の魔力を感じてって読んだ記憶がある。
身体の中の魔力…魔力…
「分からん!」
そもそも魔力って何だ?
それが分からないと無理じゃーん!
魔力そのものが分かってない俺は早々に諦める。
「でも、もし魔法が使えたら便利だよなー」
クラスティアさんがこの前やってた洗濯魔法ってのは、便利そうだった。
生活魔法っていうのかな?
あ、あと無限に物が入るやつとか。
あーゆーの憧れる。
「冒険者ギルドに俺も登録した方がいいのかなー」
色々考えてても仕方ないので、みんなに相談してみようかな。
旅館再開初日の疲れとじいちゃん魔法使い事件で身体も精神的にも疲れた俺は、プルと抱き枕にしてあっという間に眠りについた。




