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20、大量買い出しに行く


旅館松やの再開まで残すところ2日。


俺は今、予約人数の紙を見て固まっている。


「3、30…人」


そうなのだ。

あれから予約の数が増えていき

ここまで増えたのだ。


再開を決めた時、大広間での食事は

MAX30人ぐらいだろうと思ったいた。

じいちゃんは60人くらいは朝飯前だったらしいが、初心者の俺はその半分で許してもらった。



「そもそも、そんなにすき焼きの食器とかが…」


「いえ、ございます」


涼しげな顔で厨房の奥から

大きな段ボールを抱えて来たクラスティアさん。

中を見ると…


お、おうふっ…

…………

……


段ボールの中には一人用のすき焼き鍋がぎっしり。

じいちゃんの時は、この鍋もフル回転だったそうだ。


「各種のお皿や鍋は約100人分のご用意がございますので、ご安心下さい」


安心なんてしたくないんですー

100人分なんて聞きたくなかったんです。


とりあえず、段ボールはお納めいただいて

30人分の鍋を各棚にセッティング。




と言う事があったのだ。


実は、予約が30人になった後も

予約をしたいと旅館を訪ねて来る人がいたとか。


マジかー!

めっちゃ流行ってんじゃんかこの旅館。


「みんなどんだけすき焼き食べたいんだよー」


みんなにすき焼きの値段を聞いたら

銀貨5枚くらいだって。


銀貨10枚で金貨1枚分らしいから

1万の半分の5千円くらいじゃん!


うちの給料が1ヶ月金貨10枚なんだから超高級品だぜ?



メモを見ながらウダウダやっていたら

いつの間にかプルが隣にいた。


「あるじー、どしたのー?おなかいたいのー?」


「い、いや、大丈夫だよ。ちょっと考えてただけだから」


「おなかいたいときはプルがおくすりとってきてあげるからねー」


「ありがとなー、その時はお願いな!」


「わかったー」


プルに心配されちゃった。

あー、もー!予約が入ったものは仕方ない!


「よしっ、んじゃ買い物に行って来るか!」


みんなに買い物に行って来ると伝えて

家を出てショッピングモールへ。


「と、その前に酒屋だな」


ショッピングモールに向かう途中にある

激安の酒屋へ。


じいちゃんは前からここで毎日お酒の注文をしていたらしいので俺も頼むことにした。


じいちゃんが入院する時に、配達はストップしてたみたいなので注文の中身も見せてもらいながら店員さんとご相談。


ビールの量えげつなっ!


やっぱ向こうでもビールが人気なんだろうな。

シルヴェストさんはウィスキーが好きとか言ってたけど、ドワーフの意見は考慮しない。


でも、あれだな。

うちの旅館、外から見たら営業してるように見えないけど…

そこん所は変に思われないんだろうか?


生ビールの樽だって10ℓだぜ?

それを1日で10個も注文するんだよ?

俺だったら絶対怪しむけどな。


ま、でもここも商売だし

お金払いがちゃんとしてれば何も言わないか。

配達再開のお願いしたら

店員さん、めっちゃ笑顔だし。


でも、念の為に

こっちの世界の旅館の周りはある程度綺麗にした方がいいな。

俺だけだと出来ないし、ちょっと業者あたってみるか…。



配達は今まで通り、裏口の前に置いておくって事でお願いして、とりあえず1週間分の料金を前払いしておいた。


店を出る時、出入り口まで見送ってくれて

「足りないものがあれば、お電話ください!すぐお届けにあがりますので!」

なんて言われちゃった。


じいちゃん、どんだけお得意様だったの?


ま、俺としては諸々説明の手間が省けてありがたいっちゃありがたいんだけどさ。


「さて、んじゃ次は肉屋だな」


すき焼きに使う肉は、地元で手広くやってる

肉に特化したスーパーの中にある高級な肉だけを専門に量り売りしているコーナーだ。


あっちの世界でも肉は手に入るらしいけど

まだ初心者の俺は、食べ慣れた肉で作る方がいいと思う。

じいちゃんもこっちの世界の肉使ってたみたいだし。


ちょっと聞いたけど、魔獣の肉とかも食べるそうだ…


やっぱあれか?

オークとかか?

あれ?オークって豚だっけ?


まぁいいや。


サシの入りすぎていない

国産黒毛和牛のロース

お値段100g 1100円


一人前200gの計算で

200g×30人=6kg


毎日買い物はきついから

とりあえず3日分で18kgだから

少し多めに20kgお願いした。


すき焼きにするって言ったら

小分けにできますよと言ってくれたのでお言葉に甘えてそうしてもらった。


だってお会計だけで20万超えてるからね!


俺、肉を20万も買った事ないから

ちょっとプル並みに震えてるよ。



酒屋でもそうだったけど

肉屋の店員さんもニッコニコだね。


調子に乗って真空パックにできるか聞いたら

出来るって事だったのでお願いした。


味は落ちるかもだけど

やっぱり空気に触れない方がいいもんな。


お肉は帰りに引き取りに来るのでって事で

俺は最終目的地のショッピングモールへ。


足りなくなりそうな調味料とすき焼きの御膳につける副菜用の野菜とか諸々。


あとは、賄いに使えそうなものとか

忙しいときに食べられるように冷凍食品とか。


「あとは、飲み物か」


ショッピングモールの中のスーパーには

ジュースでもカップ麺でも箱買い用に段ボールが積まれている。


俺の大好きな海外の会員制スーパーが

近くに出来たら嬉しいんだけどな。


行った事ないけど、動画サイトで今月のオススメとかの動画を見て満足してたな。


そんなこんなで大量に食料品を買い込んで

車に乗せて、また戻って今度は風呂に使うタオルだ。


じいちゃんの頃から使ってるから

ちょっと古くなってるのもあるんだよな。


似た感じのを30枚くらい買っておくか。

いつかは使うものだし、無駄にはならんだろ。


タオルも買って、肉屋に寄って肉を受け取り

旅館に帰る。


そうそう、肉屋に寄った時

また同じ注文であれば電話くれたら用意しとくって言われたんだ。


どこも大口の顧客確保に余念がないな。


ふと思ったんだけど

買い出しの時にユストフさんから預かるお金って、普通に日本円なんだよな。

あっちの世界じゃ当然違う通貨だろうし…


どうなってんだ??


もしや!

あっちの通貨を日本円に換える道具とかがあるとか?

うーん、わからん。


考えてても仕方ないので

今度時間がある時に聞いてみる事にする。





毎日慌ただしく開店準備をしていたら

あっという間に旅館松やの再開の朝。


俺とプルは、朝ごはんを食べた後

じいちゃんとばあちゃんの仏壇で旅館再開の報告だ。


「じいちゃん、ばあちゃん。いよいよ、今日から旅館再開だよ。どうなるか分からないけど…とりあえず頑張るからさ!みんなでやってみるよ!」


「プルもいるよー」


「お、そうだな!プルもいるな!頼りにしてるぞ!」


「わかったー、がんばるー」


「じゃ、行って来ます!」


俺たちは、元気よく自宅のドアを開けたのだった。


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