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異世界旅館松や  作者: ぎゆり
第1章
102/106

101、腰を抜かす茶菓子

100話のお祝いメッセージありがとうございます!

これからもよろしくお願いします!


その日からプルは会う人会う人みんなに分裂を見せるようになった。

出来る事が増えたから自慢したいんだろうな。

それが練習になったらしく、分裂が前よりもスムーズになったんだ。

そして、分裂できる時間も格段に長くなった。

今は分裂を使ってお風呂掃除中だ。


「おそうじー、おそうじー、ゴシゴシゴシゴシ」


本体のプルが歌うと分身の方のプルも楽しそうに掃除している。


シルヴェストさんが言ってたけど

「働き者のプルが2人になって大助かりじゃよ」


それを聞いてプルはビヨンビヨン飛び上がって喜んだ。

プルとリコルのフライドポッツェ屋には、あたらしく分身のプルも登場して更に人気店になった。

可愛くて働き者のスライム達を見ようといつも行列になっている。

マルディニールさんが言うには、他の街でもうちのフライドポッツェ屋は有名だそうだ。


そんなこんなで、毎日忙しくしいたある日のこと。


マルディニールさんがやって来た。


「あ、マルディニールさん!」


「カズさん!よかった、いらっしゃったんですね!」


マルディニールさん、なんかちょっと慌ててるようだけど…


「カズさん!王都から来ますよ!」


「え?王都から?何がですか?」


王都から来客の予定なんてあったかな?


「何言ってるんですか!エルミア商会ですよ、エルミア商会!隣の土地の件で直接会って話がしたいと商人ギルドに魔法電報が届いたんです」


あ!エルミア商会!

忘れてた…


「ああ!エルミア商会!」


「カズさん、もしかして忘れていたのでは?」


大袈裟に返事したもんだから、マルディニールさんにバレちゃってるよ。

ここ最近、バタバタしてたからすっかり…


「いやだなぁ!忘れてませんよ!それでいつこちらに到着するんですか?」


「おそらく1週間後くらいだと思います。時間がありません!準備しますよ!」


「準備ですか?」


「当たり前です!隣の土地を安く買うために、こちらはこちらで作戦会議です!」


その日からマルディニールさんと俺、そして商人ギルドで土地売買などを専門にしている職員さんも同席してもらう事になった。

あと、現代日本の知識は多いほどいいかと思ってユウトとタクマにも同席してもらう。


「俺、土地の事とか分かんないっすよ」


タクマはそんな大事な会合に!なんて尻込みしてたけど、とりあえず現代の人間が多い方がいいかもしれないって力説して納得してもらった。


あと、会合は先手必勝だからと

マルディニールさんから最高の茶菓子とお茶を用意してもらいたいと頼まれた。


お茶とかあんまり知識ないから困ってたら

ユウトが紅茶に詳しいって事で、2人で買い出しの時にそれは用意してもらう事にした。


「びっくりして腰を抜かすくらいの茶菓子が理想です」


マルディニールさん、無茶ぶりですよ。

腰抜かすくらいの茶菓子なんてある訳ないやん…とか思ってたら!



「な、な、な、なんですか!これは!これはどこの食べ物で?こちらで売っているのですか?それとも手作りで?」


今、俺はエルミア商会のミリア商会長から

質問攻めに合っている訳だ。


やってくれましたな…って顔でマルディニールさんが俺を見てるけど、俺が用意した訳じゃないから困る。

いやー、ユウトやってくれましたわ。


ユウトの見立てはこうだ。


「こちらの世界の茶菓子は硬いものが多いですから、ふんわりした柔らかい物がいいと思うんですよ。なので、シフォンケーキなんかどうかなと」


「でも、シフォンケーキってさ時間が経つとしぼんだりしないのか?」


「それなんですよ!あらかじめ買っておいたら美味しさと驚きも半減してしまうじゃないですか!なので、僕が作ります!」


「へ?」


ユウトは自信ありげに買って来た品物を、どんどん厨房の台に乗せて行く。

薄力粉に粉砂糖、生クリームに果物だ。

他にサラダ油と卵があれば出来るらしい。


「僕、医者にならなかったらケーキ屋になりたいくらい甘い物が好きなんですよ!なので任せてください!」


そう言うと、ユウトは卵を白身と黄身に分け始めた。


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