第4話 UR確定パック、開封!
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R:HPポーション
R:万能薬
R:HPポーション
R:MPポーション
R:アイアン・ゴーレム
SR:狂戦士の剣
SR:リュンクス
SR:サンダー・ブレード
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「おおっ、これはテンション上がる!」
ファンタジーな世界観でおなじみの名前が並んでいる。
なお、『狂戦士の剣』には別の意味でドキドキさせられた。使ったら死ぬって書いてある。
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名 称:アイアン・ゴーレム
タイプ:ユニット
種 族:魔法生物
属 性:火
レベル:5
コスト:5
攻撃力:6
防御力:6
魔法力:3
スキル:なし
特殊能力:なし
レアリティ:R
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「コスト5って、起動できないんだけど!?」
【悲報】記念すべき初のユニットカード、起動できない。
……説明テキストによると、すべてのカードにはコストが設定されている。
一度に起動できるカードのコスト上限は『プレイヤー(拓郎)のレベル』の値と『【万象の書】スキルのレベル』の値の合計で決定される。
今はどちらもレベル1なので、コスト上限は2になる。
【万象の書】スキルのレベルを2にする条件は、カードを10種類集めること。
なお、複数のカードを同時に起動する際はコスト上限の条件を満たしていればよくて、枚数の制限はない。
「当面の間、コストの高いユニットは起動できないってわけか」
勉強になった。
生かす機会があればいいと思う。
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名 称:リュンクス
タイプ:ユニット
種 族:ビースト
属 性:光
レベル:1
コスト:1
攻撃力:0
防御力:1
魔法力:1
スキル:【気配察知】レベル1
特殊能力:なし
レアリティ:SR
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「こっちは起動できるな。攻撃力0だけど」
まぁ、致し方なし。
カードに描かれているイラストは可愛い猫だし。
「……この【気配察知】ってのが強いのかな」
敵意を持つ存在が周囲にいることを察知するスキルだった。
奇襲を食らったら即ゲームオーバーになりかねない状況では、ほとんど必須っぽい。
このスキルを持っているがゆえに、レアリティが高めなことを考慮しても、コスト1のユニットとしては攻撃力を落とさないとバランスが取れない。
とりあえず、そう解釈しておく。
ゲームならともかく、現実にバランスもクソもないと思うが。
「まぁ、それはともかく……ここからが、本番だッ!」
残りはSSRとURだ。
これは期待せずにはいられない。
ここまでの8枚は一気に開封されたが、2枚は文字どおり宙に浮いたままだ。
レアリティが高いカードの、いかにもそれっぽい貯め。
ますますソシャゲにしか見えない。
テンション上がりまくりな拓郎の目の前で、金色のカードが弾けた!
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名 称:守護神霊アルビオン
タイプ:ユニット/地形
種 族:スピリット/ジャイアント
属 性:土
レベル:20
コスト:40
攻撃力:20
防御力:30
魔法力:20
スキル:【精霊魔法(土)】レベル5
【神聖魔法】レベル5
特殊能力:守護結界(対象:フィールドひとつ)
・対象には【属性:土あるいは光】以外のユニットは存在できない。
大地震(対象:フィールドひとつに存在するユニットすべて)
・対象に【地震:このユニットの防御力】ダメージを与える。
※1枚制限
レアリティ:SSR
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「喚べるかボケ――――――――――――ッ!」
コスト40て。
コスト40って!?
『アイアン・ゴーレム』が可愛く見えるクソコスト!
何かの間違いじゃないかと思って何度か見直したし、ゴシゴシと目をこすりもしたが、表示されているテキストに変化はなかった。
「……ロック機能の評価が高いってことなのか?」
カードのイラストでは、山の上に光の巨人がかぶさっていた。
この巨人が『アルビオン』で、その光の下では【属性:土あるいは光】以外のユニットは存在できないということか。
効果そのものは非常に強力だと思う。
このコストも納得できなくもないような、ダメなような……
「いやダメだろ……っつーか、コストの上限っていくつなのさ?」
何となく上限は10ぐらいだと思っていたのだが……
コスト100のカードとかありそうで怖い。
最後に残った虹色のカードを見た。
自分の喉から響く唾を飲む音が、やけに大きく聞こえた。
「いや、いやいやいや……待て待て待て待て待って待って待って」
両手をパーに開いて空気をかき混ぜた。
座ったまま後ずさって、カードから距離を取る。
見たい、開けたい……でも、この流れ、ヤバい気がする。
「オカルト、オカルトだって。すべては確率だしさ……っていうか、このカードが何なのかって、たぶんもう決まっているし」
でも。
なんとなく。
クソカードが出てくる流れじゃないか?
URの確率は0.003パーセントだ。これでコスト100のカードとか出てきたら、マジで死ねる。いじめなんかよりずっと心が死ねる。
「いいこと思いついた! これ、開けなかったらいいんじゃない?」
量子力学的な猫みたいに。
答えを見なければ、爆死しなくて済む!
……かなりガチ目にそんなことを考えていたら、カードが勝手に光って弾けた。
「うお、眩しッ!?」
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名 称:デモンズ・ハンド
タイプ:アイテム
コスト:1
攻撃力:1
防御力:1
魔法力:2
スキル:【格闘術】レベル1
【投てき】レベル1
【暗黒魔法】レベル1
特殊能力:黒の剣(対象:ユニット1体)
・使用者は最大MPの10%を消費する。
効果的用後、対象に【暗黒:消費したMP】ダメージを与える。
レアリティ:UR
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「……アイテムかぁ」
ハズレではない。
現段階で起動できる以上、断じてハズレではない。
性能については、これからの検証次第だ。いろいろ書いてあるから悪くはなさそう。
でも……正直、ユニットが出てきてほしかった感はある。できればちょっとエッチな美少女ユニットが。
だいたいカードゲームの最高レアリティって、そんなカードばっかりだし。
さっきまで見えてたバナーにだって美少女ユニット描かれてたし。
張りつめていた感情がほころび、愚痴めいた呻きが零れた。
「な~んかなぁ~」
「まだよッ!」
その声は、いきなり響いてきた。
拓郎は身体を震わせてあたりを見回して――手元の【万象の書】に視線を落とした。つるりと黒光りする表紙裏から、光が飛び出してくる。
虹色の、光。
「え?」
困惑する拓郎の目の前で、光が広がって、カードの形をとって、さらに広がって――爆発した。
振動。
風圧と衝撃。
いつの間にか焚かれていた、カラフルなスモーク。
「聞こえたわッ! ワタシを呼ぶ声が!!」