32 悪役令嬢に転生した干物女はとうもろこしご飯と焼きとうもろこしを食べたい。
前回までのあらすじ。
お好み焼き串は屋台の定番よね!
いつものように料理研究に勤しんでいたある日のこと。
コリンが「うちの領地でたくさん採れたの。なにか日本の料理作って!」と言ってとうもろこしを持ってきた。
「いいわよー。ハリが良くて美味しそうなとうもろこしね」
「でしょでしょ。これはクリティアと食べなきゃって思ったの」
何を作るか考えて、ぱっと思いついたものが2つ。
「とうもろこしご飯と焼きとうもろこしなんてどうかしら」
「良い! 焼きとうもろこし、お祭で買ってお母さんとはんぶんこしてたわ。醤油の香りが食欲そそるのよね。でも、とうもろこしご飯って?」
「北海道のご当地グルメよ。昔コクミンショーでやってたわ」
コクミンショー、日本各地の美味しいものや方言、風習いろんなものに着目して紹介するテレビ番組だ。グルメ回が特に良い。
「あぁ! 面白いのよねアレ。あたしの地元のおばちゃんたちがラーメン特集でインタビュー出演してたことがある」
「マジで?」
世間は狭い。そういや私の職場の先輩も方言特集のときインタビューされてたな。
「それじゃさっそく。コリン、皮をむくのをお願いしていい?」
「はぁい」
いい返事をして皮むきをしていく。
その間に私は米を研いで鍋に入れる。
普通に炊くときの水量、そして塩。
とうもろこしご飯の味付けは塩のみというシンプルイズベストだ。
「クリティアー、むけたわよ!」
「おつかれさま。それじゃ一本はご飯に入れるわね」
粒を取って米に乗せていく。全部の粒が取れた芯は半分に折って、これも鍋に入れる。
「え? 芯ごと炊くの?」
「芯をいれると美味しさが違うの」
蓋をしてしばらく吸水させて、火にかける。
「今のうちに焼きとうもろこしを作りましょう」
マイ七輪に炭をおこして、とうもろこしを乗せる。転がして表面に焼き色がついてきたら、ハケで醤油を塗る。
「いいにおい、いいにおい! 日本人で良かったー! 地元のお祭みたい!」
七輪の前で小躍りするコリン。
この子はオシャレ女子目指して上京したけど、田舎っ子が隠しきれてなくて可愛い。妹にほしいタイプだ。
醤油が焦げるとき特有の香りが調理場にただよう。
「よし、焼きとうもろこし完成!」
「わーい! いただきまーす!」
焼き立てアツアツにかぶりつく。
「ウマー!!!!」
「おいしー!!」
表面に焦げ目がついてクシュクシュしてるのがいいよね。歯に挟まるのも含めて良き。
食べ終わる頃にご飯も炊けた。
甘い香りがしている。
「蓋を開ければ、はい完成!」
とうもろこしの芯は取って、バターを載せる。炊きたてだからすぐに溶ける。しゃもじで全体にまぶして、器に盛り付ける。
「さ、食べましょうコリン」
「わぁ。おいしそー! ありがとうクリティア!」
コリンはお箸を持って幸せそうな顔をして食べる。
私も自分のぶんを盛り付けていただく。
とうもろこしの甘みと塩気、バターの香りが互いを引き立てあって、うまい!
「ねぇねぇ、おかわりしていい?」
「いいわよ。コリンがとうもろこしを持ってきてくれたんだから、コリンはたくさん食べる権利があるわ。たくさん食べて大きくなりなさいな」
「わーい!」
3合炊いたけど空っぽになった。さすが成長期。いい食べっぷりだ。
お鍋を洗っていると、ジーニャがお客様を連れてきた。
赤毛の若い男だ。
「クリティア・フローレンス! オレと勝負しろ!!」
誰やコイツ。
舞踏会で見たことある気がしないでもない。
「えーと。コリン、この人誰?」
「ゲームの攻略キャラでミラの幼馴染みのツンデレ騎士見習い、アーティ」
「わかりやすい説明をありがとう」
言われてみれば顔は整っているからモブではない。
「アーティ様。勝負とは一体? 私には剣の心得がないのですが」
「ミラがお前の誕生日パーティーを開いたと聞いた。オレなんて、一度もミラに誕生日パーティー開いてもらったことないのに。オレはずっとミラを見てきたのに好きな気持ちに気づいてもらえない。お前が身を引けばミラはオレを見てくれるはずなんだ!」
拗らせ系片思い男うぜぇわ。
と思ったけど口には出さないでおく。
「それ、ミラ様に直接言ってもらえません?」
「あたしもそう思う。アーティ。ミラが来るのを待ってないで、あなたからミラに会いに行きなさいよ。待ちの姿勢じゃ女の子の心は掴めないわよ」
わー、言っちゃった。
幼い令嬢に正論でぶっ刺され、アーティは膝から崩れ落ちた。
「そうか、そうだな。オレ、ミラに会いに行くよ」
フラフラと出ていった。
なんていうんだっけ、これ。
死亡フラグ?
「ねぇコリン。ミラはロブソンにしつこく言い寄られてブチ切れてたから、アーティが告白に行ったら追い返しかねない気がするのだけど」
「そうね。あたしでも嫌」
数日後、アーティがまた乗り込んできた。
「ミラに振られたじゃないか! お前が会いにいけって言ったのに!」
「知らんがな」
使用人を呼んでつまみ出してもらった。
好きな炊き込みご飯はありますか?
私は給食に出てきた枝豆ひじきご飯が好きです。
写真のご飯は圧力鍋で炊きました。
2合に対して中サイズのとうもろこし1/2本使用。
3合なら1本使っていいのではないだろうか。





