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26 悪役令嬢に転生した干物女は冷しゃぶサラダを食べたい。

前回までのあらすじ

農民鍋激ウマでしたわ!

 お祭以降、移住した人たちはのんびり農村生活を満喫してくれているようだ。

「ぜひフローレンス家の皆様で召し上がってください」と手紙付きで野菜を送ってくれた。


 そして私が仕込んでいた醤油がついに完成した。

 日本の熟練した職人が作ったものと比べると味は劣るかもしれないけれど、醤油らしい味になっている。


 ミゲルとコリンも醤油を使ったものを食べたかろうと思って、小さなホームパーティーを開くことにした。


「デールとクックには軽くつまめるメニューをお願いできる? 作るものは任せるから。私はこれを使った料理をしたいの」


 瓶詰にした醤油は、瓶入りだと黒っぽい。

 小皿に入れればこげ茶の、なじみある醤油だ。


「うわ、しょっぱ。これお嬢様が仕込んでいた、しょうゆ? でしたっけ。豆を熟成させるとこんな味になるんですね」


 味見したクックが顔をしかめた。

 海外の人が初めて醤油をなめたらこんな反応するんだろう。


「塩辛いが、しかし香りがいい。使い方によっては化けそうな調味料ですね」

「そうなのよ。煮物にしてよし、炒め物に使ってもよし」


 デールは興味津々で醤油を検分している。


「私は冷しゃぶサラダを作るわ」


 作り方はいたって簡単。

 食べやすいサイズに薄切りした豚肉を用意する。

 鍋にたっぷりお湯を沸かす。肉の臭みを消すために、ショチューと塩を少々入れておく。

ここでグラグラ煮立ったお湯にしないのがポイントだ。

 沸騰しないように火を緩めて、そこに豚肉を通す。


 ざるにあげて水気をよく切る。

 冷ます間に洗ったレタスをちぎってキュウリを細切りに、トマトもくし形切りにして皿に盛りつける。

 サラダに肉を乗せたら、大根おろしと醬油を混ぜたおろし醤油をかけて出来上がり。


「どうかしら、デール、クック」


 料理人二人に味見してもらう。

 醤油料理は異世界で受け入れられるのかどうか。

 この味はちょっと……と言われたら一人で使うことにする。


「さっぱりして美味しいです! こうして大根をおろしたものと合わせると香りがよくて。暑い時期にぴったりですね。俺、村の人にも教えたいかも。いいですか?」

「どうぞどうぞ」


「これはまた酒が進みそうな。野菜もとれるし、暑い日にはこれを出しましょうか」

「ぜひお願いするわ!」


 ふっふっふ。これでまた食卓に一品和食が並ぶ。

 デールが日に一度は和食をメニューに加えてくれるから、日本のご飯が恋しくなったときに嬉しい。


「こっちはバゲットのカナッペに野菜のペーストを塗ったものと、フライドポテトを用意しました。ポテトは食べやすいサイズで揚げてピンに刺しておきました。あと一口サイズのおにぎりを。おにぎりに刻んだ野菜をまぶしてみました!」


 クックが皿に並べて見せる。

 最近雑用以外を任されることが多くなったから、すごく楽しそうだ。メニュー開発に余念がない。

 アメリカで寿司がカリフォルニアロールになったように、この世界で和食が独自の進化を遂げるのってなんかいいわね。


「味見していい?」

「もちろんです!」


 混ぜご飯のおにぎりは、この世界特有の野菜が細切れで入っている。香りがよくて、自然とほほが緩む。


「美味しい! これなら絶対、ミラ様たちに喜んでもらえるわ!」

「えへへへへ。他家のご令嬢ご子息たちにも賞味していただくなんて、庶民の俺にはたいへんな誉れです」

「貴族って言っても同じ人なのだから、美味しいものは美味しいって思うわよ」


 一通り料理がそろったところで、クロムが様子を見に来た。


「姉上。そろそろ予定時間です。……すごい量を作りましたね」

「食べ盛りがいるから大丈夫でしょ」


(主に爆食魔人カイン)


 会場のテーブルセッティングはメイドがしてくれたし、料理は侍女が運んでくれるからあとはお客様を待つばかり。


「クリティアー、きたよー。おれはらぺこ」

「ごきげんよう、お姉様。ミゲル、挨拶なしなんてお姉様に失礼よ」

「はーい……ごきげんよークリティア」

「ごきげんよう、ミラ様、ミゲル」


 ミーティア姉弟到着と時同じくしてヨイとカイン、コリンも来た。


「クリティア様、お招きありがとうございます。手土産にこれをお持ちしましたわ!」

「わ、サバンの開き! ありがとうございます、ヨイ様。今夜さっそくいただきますわ!」


 サバンはつまるところ鯖(さば)である。

 この世界ではサバンと呼ばれている。生魚は傷みやすいから干物で出回る。


「こんにちは。ぼくもお土産持ってきたよ。はいこれ、うちの領地でとれたカボチャ」

「でかくないですか」


 人の頭くらいのサイズがあるんだが。

 こっちの世界のカボチャはこれが標準サイズなのかもしれない。


「ごきげんようクリティア、美味しい和食があるってきいたわ!」

「ようこそ、コリン。また会えてうれしいわ」


 にぎやかなメンバーがそろってパーティーが始まった。


 やはり冷しゃぶは前世日本人組にはとくに大好評で、飛ぶようにうれた。

 こっちの世界でも需要があるなら、今度はキッチンカーで醤油を使ったメニューを出してみようかな。


醤油があるとひと味違う。

醤油せんべいが好きです。皆さん醤油の何がお好きでしょう?

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新作はじめました。 クリティア(栗田玲奈)のひいばあちゃんが主人公の物語。 1736523967.jpg
― 新着の感想 ―
ようやく念願のしょう油!! これがあるだけで味が変わりますよね!! よく完成した(´;ω;`)ウゥゥ
[良い点] 冷しゃぶサラダ食べたぁい(*´▽`*) この季節は特に欲してしまいます~~~~ 醤油はやはり冷ややっこ、そして焼きサンマですかねぇ
2024/07/03 15:06 退会済み
管理
[一言] 醤油の輝くときの一つは焼き魚や刺身なんかの魚の脂と混ざった時の味かな…。
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