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みえない

作者: 市杵島

夫の家のたっての願いで政略的な婚約をした。


夫は学院へと通い始めると、そこでできた友人の妹のマリアンネ様と出会われたらしい。2人は恋に落ちたが、私たちの婚約は解消されなかった。


夫が学院を卒業すると、私たちは結婚した。私はハイネマン公爵家のラウラ。夫のベルンシュタイン侯爵家に輿入れした。


夫はホランド伯爵家のマリアンネ様との関係を続けており、私たちの結婚半年後に子供が生まれたと言われた。別邸が用意され、そこにマリアンネ様が落ち着かれた。


私たちの結婚は白い結婚が続き、マリアンネ様が2人目の子を出産されたときに、夫はマリアンネ様を本邸に移すと決めた。侯爵は孫に会いたいせいか、夫の希望を飲んだ。


私の身分の方が高く、ぞんざいには出来ない。夫は愛するものを守りたい様で、必死な様子で私に頼み込んできた。


私たちは不自然な家族を形成した。侯爵と夫人、夫、私、マリアンネ様と5人で仲良く食事をともにするようになった。マリアンネ様は物怖じしない方で、にこやかに会話に混ざってくる。


若夫人の部屋を私が使用しているが、夫は若主人の部屋を使用していない。マリアンヌ様の部屋のそばに、執務室や居室を改めて作った。


誰も、私を邪魔だとは言わず、私は彼らの中に存在し続けている。夫人に従い、社交を行い、家政を担い、時には領地にも赴く。舞踏会などでは、夫とともに出かけ、社交にも励む。


私は悪く扱われてはいないが、誰かに大切にされているとは思えない。


息が詰まると思ったのは、いつからか。夫に愛されることが無いのだと気がついたのはいつだったのだろう。


私は何に幸せを見いだせばよいのだろうか。


人生に幸せは必要なのだろうか。いらないものなのか。


マリアンヌ様の腹がまた膨らむ。何かがごっそりと持って行かれるような感覚に陥る。おめでとうと微笑む私がいる。


私の涙はどこへ流れていくのだろう。私の悲鳴はどこに響いているのだろう。私はもう身動きがつかない。


どうすればいいのだろう。



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