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ネタバレ怪獣

前回のあらすじ。

自分が誰なのか知ってちょっとテンションが下がった



登場人物説明。

「私」、マジカル=メタニン。強くてかわいい天才ロボ。昔のアニメキャラを元に作られたらしい。

『ハカセ』、女性っぽい声の人。四角いスピーカーボディだったり耳の通信機から声だけ聞こえる。

「ミナ」、地球防衛隊のパイロット。金髪碧眼美人。

ミナは夜眠ってしまうし、ハカセは何かやることが増えたのかどこかに消える時間が増えたので、私も夜中はスリープ状態になっている事が多くなった。


ミナが居ない時はハカセも私も必要になったら必要なだけ眠る感じだったので、基準が現れたことで少し人間の生活に近づいたようだ。未だに本体を見たことが無いので、夜中居ない時ハカセが眠っているのかどうかは知らないが。



ただ、私は多少訓練をしたところで疲労するわけじゃないし、生身の人間ほど睡眠が必要なわけでもないので、気分次第では真夜中に一人で施設内を散歩したり、精霊を召喚して雑談で時間を潰す事もあった。


「メテオタベタラーもパクリ元が居るの?」

「知らないし知りたくナイ。」

「そろそろ精霊やめる?」

「いやずっとこれでイイ。小さくなれると思ってなかった。これがイイ。」

「そっかー」


怪獣メテオタベタラーは元は精霊じゃなかったけど、私の逆鱗に触れて強制的に精霊にされた。きっちり分からせてからそのうち戻そうと思っていたが、一度私と同じくらいのサイズで召喚したらもう元に戻さなくて良いと主張するようになった。いたくお気に召したらしい。


「ただ、ハカセの話が本当だったら、結局メテオタベタラーくらいしか隕石への対抗手段なさそうなんだけどなぁ」


一応私もメテオタベタラーも隕石…というか宇宙を高速で飛び回る不死身の巨大鉱石生物を倒すために作られたことになっている。月よりデカいらしいので足止めすらメテオタベタラーしか手段が思いつかない。


「あるじも博士もバカ過ぎる。オレが隕石より大きくなって隕石も食って解決したとして、今度はオレをどうやって倒す気ナンダ」

「えっ反逆するの。てかいつの間にかあるじ呼びになってる」

「大きくなり続けていつか自壊してブラックホールになる運命の怪獣なんか作っておいてなんで人間に味方し続けるつもりで居るのか分からナイ。というかそんな危険物、人間側が放置しナイ。」

「うわ、メテオタベタラー意外と知性が高い…。」


そういえば自分で自分の問題に気づき巨大化を拒否していた怪獣だ。その時点で既にハカセよりは賢い。自分で作った怪獣に知性で負けるマッドサイエンティスト嫌だなぁ……。


ふん、と鼻を鳴らしこんなこと分かってて当然だろうという雰囲気を出す怪獣。いやでも確かにそうだ。隕石に勝てる兵器があったら次はそれが隕石以上の脅威になる。私も他人事ではない。何かとんでもない精霊魔法でも習得して隕石を消し去ったら、今度は私という戦力をどうするのか。私に勝てる戦力で対抗して無限ループになっていくのか。


「あるじはまだしも、人間とAIの善意を疑わないマッドサイエンティストは危なスギル。あれは子供ダ。」

「うーーん…まぁ確かに……」


思い当たる節しか無いし、子供のオモチャの見た目の私には余計にとても反論しづらい。



「……一つ、忠告と言うか、重大なネタバレをしてオク。」


改まって重く語りだす怪獣に思わず姿勢を正して向き直る。



「……このままオレの好感度を上げていき、あるじがオレを十分巨大なサイズで召喚出来るようになれば、それだけで隕石は破壊出来る。食って大きくなるオレが噛りつければそれで終わりだカラナ。」


「えっ!?じゃ、じゃあもう」


「忠告と言ッタ。これは失敗ルートだ。むしろ時間ギリギリになってこれを解決策だと思い込んで失敗しない為に今教エタ。」


どういうことだろう。協力してくれないという意味なのか、さっきの話を踏まえて迂闊に倒すだけじゃ駄目だという意味なのか。


「先程の脅威を倒したら自分が脅威になるという話も勿論あっての事ダガ、根本的に博士の作戦が破綻している。とにかく破壊は最終手段かつ失敗だと覚えておいて欲シイ。」


真剣に語るメテオタベタラーにこちらも真面目に頷く。



「明日の訓練カラハ、隕石を倒せるかどうかみたいな低レベルの話は解決済みとして次の段階へ行って欲しい。キャラの再現がどうとかも無理にやらなくてイイ。そんなことしている時間はナイ」


「…え?うわっもしかしてバレてて慰められている!?」


「時間がナイのも本当ダ。あるじ、次の襲撃者も近い。本当に今の段階で遊んでいる場合じゃナイ。凹んでいる部分は早急に相談し解決するか、出来ないなら割り切って一旦後回しにシロ」



「…うーーー。うん。わかった、ありがとう。」


なんてことだ、色々見透かされて慰められ人生相談に乗ってもらったみたいになってしまった。怪獣に。そんなことあるんだ……。


そうだよね、次の襲撃者が近いなら何日も隠れて落ち込んでる場合じゃない。明日からは……



「……次の襲撃者って何!?」

「ミナの仇討ちダガ」

「いやいやいやミナ元気だよもう。なんならずっとはしゃいでるよ。」


設定上は冷静な取引による大人の付き合いということになっているが、もう完全に溺愛されて何やっても全肯定で喜んでいる。メーちゃんが本当に好きなのだろう。チクリと胸に棘が刺さる。


「別に仇討ちじゃなくても襲撃は定期的に来るが、美人のパイロットが命がけの特攻して、一緒に連れて行った無人機だけ博士に操られて帰ってきたんダゾ。普通機体ごと死んだか捕まって酷い目にあってから殺されたって思うダロ」


「二択が最悪過ぎる!!えっ嘘でしょなんか話付いてるとかじゃないの?」


「ここに通信設備なんて無い。なんなら博士が封じてる。下手に繋がったら全ての通信網を乗っ取ってしまうからナ。あの二人が後で話せば良いと気楽に考えているのか、単に浮かれて何も考えてないのかは知らないが、次の襲撃者はまず無人機ではなく怒り狂った有人機ダゾ。」



気づいてないほうがおかしいと語りながら呆れたようにノシノシ歩く怪獣。


なんてことだ。現状この怪獣が一番賢い気がする。マッドサイエンティスト、地球防衛隊のエースパイロット、ヒーローロボの再現体と錚々たるメンバーが揃っていて、ブレーン役が最序盤に倒されたおもしろネームの怪獣になってしまう。



「私ちょっと明日朝すぐにでも二人に確認してみる。ありがとね」



私のことをメーちゃんだと認識していない存在にちょっと話がしたかっただけなのだが、深夜のしんみり雑談は非常に重要なブレーンとの相談会になってしまった。


明日すぐにでも確認すると決意しながら部屋に帰り、訓練の時間に備えて脳内を整理しておこうとスリープ状態へ移行していく。



……ここで本当にやるべき行動はすぐにでもミナを叩き起こして確認することだったが、それに気づいたのはサイレンが鳴ってからで、やっぱりどうやら私達は怪獣以外みんな危機感が足りていなかった。


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