異世界に転生して第一王子の婚約者になったのですが…
とある身体的な部分の否定的な発言があります。
そう言った事が苦手な方は引き返して下さい。
全く個人的な好き嫌いですので、身体的な好き嫌いな発言が許せない方は読まないでください。
差別とかでは無く、個人的に受け入れられない人もいると言う事なのですけど、ちょっとでもそう言う事がムリだと言う方は、閉じて下さい。
読んだ後気分を害する方もいるかも知れません。
読む読まないは自己責任でお願いします。
突然ですが、異世界に転生しました。
前世の記憶もバッチリで、よく聞く【中世ヨーロッパ風、剣と魔法の世界】です。
神様に会ったとか、チートを貰ったとか、乙女ゲームの世界だった、と言うのは無いのですけど、ネット小説にありがちな、ガスや電気の代わりに魔法が動力源な世界です。
前世の私はネグレクトな両親の元で幼少時代を過ごしていました。
10歳の頃、夫婦喧嘩をした母親が、八つ当たりで私に熱湯を浴びせ、救急車で病院に運ばれた事により、色々な事が公となり、地元を離れ祖父母の元に引き取られることとなったのです。
地元を離れたからと言ってこの世の中、人の不幸話はあっという間に広がりますし、残った火傷の跡は広範囲で、綺麗に消すことができず、中学の頃から引きこもりになってしまいました。
でもまあ、通信教育もありますし、ゲームや小説のコミュニティで友達も多かったですし、楽しい引きこもりライフでした。
ネット小説なども読みまくり、特に異世界転生ものが大好きで、沢山読みましたよ。
そしてありえないことだとわかっていても、
「異世界転生できるなら、アザもないキレイな体で、誰からも好かれる綺麗な顔に生まれたいな。
そんで、モテモテなイケメンハーレム!
でも同性に嫌われるのは嫌だから、人を貶めたり虐めたりしないように気をつけないといけないよね。
あざとくなりすぎもNGだし、さじ加減が難しいよね。
目指せ誰からも愛されヒロイン!」
なんて眠る前にかなりマジで考えたりして、翌朝起きた時のあの
『深夜テンションでかなりガチ目に考えた自分がツライ』
との賢者タイムが懐かしい。
前世の前半が割と悲惨だったから、神様が願いを叶えてくれたのか(会ったわけでは無いけど)今生の私はなかなかのスペックですよ。
家は侯爵家、シスコン気味な兄と姉、両親にも可愛がられているし、顔も美少女!
大した運動もしていないのに、コルセット要らずなくびれたウエスト、バストはまだまだこれから育つはず。
一度聞いたことは覚えられる記憶力に、ダンスも歌も、楽器まで習えばなんでもこなしてしまうハイスペックさ。
勿論魔法は治癒も使える光属性。
コレを超絶チートと言わずになんと言う?
勿論モテモテです。
老若男女問わずモテます。
当然のように第一王子の婚約者でもあります。
私の人生に死角はなし!
……と言いたいところなのですけど、勘弁してほしいのですよ。
婚約者は良い方ですよ。
国民のことを考えて真面目に学んでいるし、剣も魔法も人並み以上。
とてもイケメンで、周囲の女性だけでなく、男性の目も集めるくらいの良い男です。
美男美女でお似合いだと言われます。
美男……イケメン…………但しこの国の美意識に限る!!
なんですよ!!
実はこの国の【良い男】の条件が【毛深さ】なんです…………………。
髭はモジャ!眉毛はボン!もみあげはルパ○3世かよ!ってくらいだし。
脇毛もモサモサ、すね毛はアリンコが絡まりそうだし、胸毛や腹毛?もギャラン○ゥ………。
それに私は猿毛って呼んでるんですけど、手の甲から指までモッサー…………。
マジ勘弁。
私毛深いのダメなんです。
チクチクしそうって言うか、痒くなりそうと言うか……。
全国の毛深い人ごめんなさいだけど、私はムリなんです。
しかもしかも、王子にはうなじから背中にかけて、タテガミみたいに毛が生えてるんですよ!
獣人とかじゃなくて、普通の人間なんですよ。
なんでタテガミがあるの?!
全世界の毛深い人本当にごめんなさいだけど、私にはムリです。
父も兄も髭がモジャモジャだなぁ、なんて子供の頃から思ってたけど、まさか毛の量が男の価値観だったなんて、私にはムリです。
今生では家族に愛されているけど、ごめんなさい、今生も引きこもらさせて頂きます。
ああ、きっと前世の記憶さえなければ、この国の美的感覚も受け入れられたんだろうけど、日本人感覚で野生児のような体毛はムリです。
なので今、引きこもりつつも魔法で前世の記憶を消す方法が無いか、片っ端から魔法書を読み続けています。
それさえ叶えばきっと、幸せになれると信じて………。
なれるよね?
全国、全世界、全宇宙の毛深い方々、申し訳ございません。
うちの母は「毛深い男って男性的でステキ」と言ってましたけど、私はチビでガリなハゲが好きなので、高身長、筋肉、体毛がどうしても……な、本当に個人的な癖なので、毛深い人が許せないとか、そう言うのでは無いです。
たまに見る『マッチョがキライ〜』みたいなノリで受け止めてもらえるとありがたいです。