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【プロローグ】

※この作品には軽度のゴア表現があります。

 



「それにしても見た感じ剣術についてはド・素人ね...ま、これから鍛えればいいわ。うちの屋敷には剣術師もいるから」








 (『あの時』から10秒前の世界が目の前に広がるけど、恐れないで。貴方にはこの部屋を自由に行き来できる鍵が与えられているのよ!)







多くの魔剣が突き刺さる荒野と暖かい陽気。

そして前方からの殺気・・・







「!!」



 ピュイっ!







 彼女をだき抱えながら右方向へ飛び込んだ。

地面と衝突するのはこんなに痛みを感じるものなのか...


 





 「えっクロ!?どうしたの???」





 

 ボンっ!!!!

「きゃあ!」





 

左後方で何かが大きく弾ける音が聞こえたのと同時に衝撃波が空気を揺らした。いくつもの魔剣の破片がパラパラと身体にぶつかるのを感じる。






「リリィ無事か!?」

「うん...」

彼女は呆気に取られているようだ。




 

 

やはりあの箱の中で出て来たリリィは幻だった。

独り納得していると正面10m程度から、

 


「我が名は『クヴィディタス』!!」

「第2魔王ロヴェムが臓器の1柱!!」





 

「グワーッハッハッハ!」

 大柄そうな男の声。


 





 攻撃を受ける直前にピュイっと笛のような音が聞こえたのもやはり気のせいじゃあなかった。


 






「ム、まさか...貴様、かわしたのか?」






恐らく首を傾げる様子で少しずつ近づいて来ている。

足音の歩幅から察するにかなり大柄な男だ。

 



「リリィ、魔法は使えるか?」



「ええ、でもまだ本調子じゃないわ」




「充分!」





彼女に耳打ちをしてから魔剣を大柄そうな男に向けた。

 




 ーーーーーーーキィインーーーーーーーー





 「その女といる貴様は召喚者だな。」



 「ム、それは魔剣...何故貴様が」








 「何故俺たちを殺そうとする?勇者だからか」






 「グワーッハッハッハァ!」





 「この世界は有史以来、我々魔族が治めている!お前のような絶滅危惧種の人間が召喚された事は既に世界中に散らばる11体の王達に伝わっているのさ」






 「つまり何処にも逃げられないって訳かよ・・・」

フッ面白い。





 


 「それで、時間稼ぎはもう終わりか?人間」

  







 「まだだぜ!」

 クヴィディタスの間合いに向かって走った!


 


 

彼女は魔法を詠唱している。





 ピュイっ!





「それはもう予習済みだッッ」

 

1..

 

2...


 

3....



 

4.....




 

 ボンっ!





 

2人で別々の方向に避ける。

勿論当たらない!





 「なんだとォ!?」






 

そして、まだ間合いでもない。

ひたすら走る。







しかし、10〜15m程度とはいえ攻撃をかわしながら走るのはこんなに疲れるものなのか・・・




思えば前にもこんな風に走った記憶がある様な気がする。






数回程クヴィディタスの攻撃をかわして確信した。

やはりあの攻撃は指定した空間を爆発させる能力のようだ。

 




爆発までのインターバルは・・・

5秒前後といったところか?


 




「なんだァ〜?」

「貴様ら何でかわせる?」





 ピュイっ!






「覚悟を決めたんだよ!運命の渦中でも足掻くってな」





「リリィ!」


 

 



「......糧として、永久に抗わんとする彼の者に魔深を視る力を与えん!」

 





「マージ・アスペクツ!!!」



 ボンっ!





 

背後で空間が爆発したのを感じる、当たるものか。

見える...久しぶりに、光が見える。




血よりも深い赤っかな光!






「それは目を閉じていても魔力感知が出来る支援魔法よ!」




 

有難うリリィ。

魔力が形を生してよく『視える』!





 

大男の身体の輪郭がハッキリと可視化されているようだ。視えてしまえば何も畏れることはない。




 

ピュイっ!




 

まだだ、あと少しで間合いに入る!

残り4秒、行けるッーーーーーー

 



シュバッッ!







 

こちらの間合いだ!

 


「はっ、早い!?何だ貴様ッッ」








「ーーーーここだァ!」





魔剣を推定、彼奴の首元を目掛けて振り抜いた。






 

キィィィイ






 

 

ボンっ!










 


「えっ・・・?」





 

 

一瞬にしてほとんど感覚が無くなった下半身はきっと飛散して土に還ったのだろう。




ボロ切れのようになった上半身を吊り上げるように頭を掴んだグヴィニタスは、盲目の身でも伝わる程の満面の笑みを浮かべていた。

 




 

全てがスローモーションに感じた。


 

紙一重でかわされたのか?

いや、しかし手応えはあった。





・・・思ったよりも浅かったんだ!







 

攻撃も予測した5秒より全然早かった。

読みも誤ってしまった。







 

また間違えた、ごめんリリィ・・・



 



 

「グワーッハッハッハ!最高だな」






 

「いや、本当に愚かなやつよ。我が空気爆発はその大きさによって『溜め時間』こそあれど、小さな爆発であれば1秒も経たずに貴様を爆砕出来るのだ!」








 

「ゴボッ!」

 

風穴の空いた腹から逆流した大量の血液が止めどなく全身から吹き出してくる・・・








死んだ







 


「クロォォーーーーーッッ!!!」





後方から泣き叫ぶ声が聞こえる。





自らの無力さ加減に呆れて絶命する前に目の前の大男目掛けて言った。







 

 「クソ、バーカ!死ね」







 

クヴィディタスはニヤリと笑う。






「お前がな」





 

ボンっ!















 


・・・
















 



 目を開けると、またあの暗い部屋にいた。

 壁を見つめても何も無い。







 

 しかし、俺はもう『経験』した。

 







 奴の能力も完全に理解した。

 確かに強い。

 









 だが俺は彼女の家に行き、自分の人生の目標とやらを考えなければならない。








 記憶を持たずに盲目になってしまった俺にはその道以外にこの世界で生き延びる術を知らなかったのだ。






 その為の障害(この場合はあの大男だが...)を乗り越えなきゃあならない。





言わば課された試練のようなものだ。


 






 しかし、どうして俺はこうも沢山の問題や障害に当たる?考えるよりも今は行動する方がいいのか?






10秒だけ巻きもどる権能・・・






 

俺は迷わずドアのありそうな所を押した。

やはり眩しい。





 






唐突に音が変わったのを感じた。

戻ったのだ。





風の音色が心地いい。








束の間、



直ぐに気付いた。




 

「10秒前はここか!」



 

ボンっ!

 

 

彼女と2人で別々の方向に避ける。




勿論当たらない!

そして、まだ間合いでもない。




走る。




 

 「なんだァ〜?貴様ら何でかわせる?」


 「お前の攻撃がノロいからさ!」





 「リリィ!」






 

 「......として、永久に抗わんとする彼の者に魔深を視る力を与えん!」






 

 「マージ・アスペクツ!!!」







 見える、見えるぞ!

 今度はやらせない!

 あと3m



 

 ピュイっ!


 

 「来たか!」



 「それは目を閉じていても魔力感知が出来る支援魔法よ!」




 

「分かってる!有難う!」

 



 ボンっ!



 紙一重、かわした。

 まずは一撃!





 

ーーーーキィィィイイーーーー






 ズバッ







 「やったわクロ!」






 「グォオ!なんだ貴様らァ...なんで」





 

ここで脚か?どんだけデカいんだこいつァ。

でも効いてるみたいだ。






 ピュイっ!




まだだ、振り向いてもう一撃!





 ズバッッ!!










 来るぞ攻撃が.....




 ボンっ!








 紙一重、身体をよじってかわす。

「2度と当たるものかっ!」






 

クヴィディタスの血液の温度を肌で感じながら振り下ろした。







 ザンッ!!

「グォオ」





大男は痛みを堪えてその大きな手で掴みかかろうとしたが、何処となくその赤い輪郭は弱々しく視えた。





 ピュイっ!


「今だリリィッッ!!!!」




 


 「焼き尽くせ、ディアヴォ・フランマ!」





 


彼女の手から放たれる研ぎ澄まされた魔法の焔は

大男の身体を焼き払った。









 ボンっ!





 

奴の爆発攻撃は最早空花火と化していた。










 「ウッッ!グォォアァァア」



 



 


 

 「ちくしょう!なんで....今度の召喚者は弱いって、あんた言ってたじゃあねぇかぁぁぁあ!クソォォオ!!」








 「俺は魔王の臓器だぞォォ!」






 肉の焼ける匂いがする。

 次でトドメ!全力で走り出した。





 キィイン!






 「俺達が弱いならお前は最弱だな!」





 「行けェ!クロ」













 魔剣を全力で振り抜









 バカン!





 

少し大きめの果物が割れる音が草原に響く。

頭が割れちまった。








 

「クロォオーーーーーッ!!!」





泣き叫ぶ声・・・







苦し紛れにクヴィディタスは近くの岩を投げてきた。


 






でも、まだ終わらない!

絶対に諦めない!!









薄れゆく意識が暗い箱の中に集約する感じだった。


 





 そう、次は2秒でいい。






そのまま暗く閉ざされた部屋に着くや否や、

俺は目の前の扉を押し開いた。






眩しい...






 そして、走りながら物体の輪郭が見えた。

 奴は大きめの岩を拾ってこちらへ投げて来ている!









 ブンっ!








「バーカ、当たるわけないだろ!」






そして魔剣の間合いッッ






 

「行けェ!クロ!!!」







「おおおおぉ!」








 ーーーーキイィィィインーーー


 





 




 ズバァアッッ!!









 

 

 そのまま剣を振り抜くと大男の胴体が途切れるのが伝わった。







真っ二つになった燃えカスは最後の力を振り絞って、

「グゥウ...この俺がァお前らなんかにィ!」







 地面を両手で握りしめている。

 悔しさ憎しみ怒り、全ての負がそこにあった。











 

「..ロヴェム様ァァァァァァーーーーーーッッ!!!」











ドサッ


 





・・・勝った。






 


「やったわね!クロ!本当に凄いわ」

 彼女は近づいて手を握ってくれている。


 










 少しの間彼女と勝利の余韻を堪能しながら、そのまま地面の冷たさを欲するように多くの魔剣が刺さった

広大な大地へダイブした。
















……To be continued

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