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道化な僕とギャルな君  作者: 月うさぎ
第三章 決闘開始
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第五十四話 十傑会議3

 結局、俺のチームは三年生が倉木先輩、二年生が十傑第五席の長谷部先輩、そして俺となった。

 長谷部先輩も女の先輩なのだが、思っていた感じと違って少し戸惑っている。


「一条くん、何か困ったことがあったらなんでも言ってね?」


「え、えぇ。ありがとうございます」


 俺は身長が150センチもない少女に向かってそうお礼を言った。

 そう、長谷部先輩の見た目が幼すぎるのだ。

 多分小学生のコスプレをしてもらっても違和感ないと思う。


 言動もそうだけど、動きの一つ一つが幼くてかわいい小動物みたいだ。


 流石に失礼なので、本人には言わないけど、倉木先輩は俺が何を言いたいのか理解してくれている様子だった。


 こんな人でも十傑になれるんだなーと思ってたら、アウラはなんとユニコーンと契約しているらしく結構恐ろしい先輩でもあった。

 階級は第一級ではあるが、伝説の動物だし、回復能力が尋常ではないため、後衛で一生回復に徹してくれていたら割とシャレにならないことになる。


 味方にいるととても心強いが、相手にすると前衛がゾンビ部隊と化すためかなり恐ろしいことになる。


 かわいい顔して結構しっかりしたアウラと契約していて驚いた。


「これがギャップ萌えというやつか……」


「一条くん、どうしたの?」


「いえ、頼りになる先輩とチームを組めてよかったなって」


「えへへ〜私も一条くんみたいなかっこいい後輩ができて嬉しいよ! 私たちの同期の男子はみんなイマイチパッとしないからね〜」


「へぇ、でも第一席の小倉先輩は結構かっこよくないですか?」


「小倉くんは女にだらしないから嫌いなんだよね〜。放課後とか毎日違う女の子を連れて回ってるし、個人的には苦手!」


「あはは……」


 それを言えば俺なんて女性6人と同棲してるから、どちらかといえば俺の方が酷いんだけどね。

 まぁ自分から墓穴を掘る必要もないので、苦笑いでお茶を濁しながらどうやって戦うかを相談する。


 相手のチームは1年生に姫宮さん、二年生に十傑第10席の先輩、そして加藤先輩だ。

 姫宮さんがいる手前、あまり手を抜きすぎても不自然だし、かといって強すぎるともろに三年生の先輩に目をつけられてしまうため、力加減が非常に難しい。


 どうせなら宗一郎か朱音を相手にして負ける方が都合が良かったのだが、それぞれ違うチームと戦うみたいなので夢潰えた。


「伊織、対戦形式はどうする?」


「3対3の混合戦でどうだ? 一人一人戦っていると時間もかかるし、チームワークも俺たち三年が指揮を取ればそこまで問題ないはずだ」


「私はいいよ。一条くんと長谷部さんはどう?」


「私は問題ないですよ!」


「俺も大丈夫です」


 内心めっちゃ嫌だったけど、三年生のトップ2に見られながら拒否できるほど俺のメンタルは強くない。

 なんならクイズ対決とかでも全然良かったんだけどね?

 親睦を深めるのが目的なら別に戦う必要ないじゃんと思うんだけど、まぁ俺も加藤先輩と倉木先輩の戦い方には興味あったし、文句を言っても仕方ない。


 リンには負担をかけちゃうけど、頑張ってもらおう。


 間違いなく加藤先輩は厄災級のアウラと契約しているはずだし、もし危なくなったらリオンを呼ぼう。

 彼女なら一瞬で俺の元まで来てくれるはずだし、後でなんとでも誤魔化せる……はずだ。


「じゃあ、それで行こう。訓練場空いてるはずだし、30分後に開始でよろしく頼む」


 加藤先輩はそういうと、姫宮さんたちを連れてどこかに行ってしまった。

 少し堅いイメージはあるけど、頼りがいのありそうな人でよかった。あれなら興味本位で喧嘩ふっかけてくるようなことはしないだろう。


「確か加藤くんは軍でスカウトされてるはずだよ? S級魔法師の部隊に配属決定だって」


 まぁ妥当だろう。

 まだしっかり戦っていないからわからないけど、あれでスカウトされてなかったら逆におかしい。


 ただ獅子王学園で三年間生き残ってるだけでも結構すごいのに、十傑のトップに君臨している人だしね。


 間違って殺されないように上手く逃げ回りますか……


「2人とも、このまま訓練場に行く?」


「俺はそのつもりです」


「私も!」


「なら一緒に行きましょう。ついでに一条くんのために秘境の地の案内もしていくわね」


「助かります」


 なんとこの秘境の地には訓練場まで完備されているらしい。

 しかも3つもあって一つ一つが普通のものよりも大きく、設備もしっかりしているそうだ。


 倉木先輩と長谷部先輩に案内されるがまま、秘境の地をササッと見て回ったけど、本当になんでもあるところだった。

 鍛錬するための設備はもちろん、ショッピングモールや高級レストランなど、十傑にフォーカスされているものも多い。基本的に十傑は毎月かなりのお金が支給されているし、上級生は俺たち以上にもらっているみたいなので、この秘境の地で散財しても問題ないのだろう。


 ここは年に一度だけ、一般開放されることがあるらしいのだが、一般の生徒たちはその一日だけで破産することもあるらしい。


「大体は回ったわね。私たちにはあまり理解できないけど、娼館の類もあるらしいわよ。その辺りは小倉くん達に聞くといいわ」


「あー……別に大丈夫っす」


「一条くんは顔もいいから娼館に行かなくても大丈夫ですよね!」


「まぁそれもそうね。一条くんは彼女いるのかしら? 水無瀬さんたちの誰か?」


「いえ、俺はいないですよ。彼女達は親友というか仲間というか……とにかく大切な人たちです」


 俺は唯一絶対に嘘をつかないと決めていることがある。

 それが、宗一郎たちに対する気持ち。あいつらは唯一無二の親友で、仲間だ。


 そこだけはどれだけ恥ずかしかろうと堂々と言おうと前々から決めている。


「……うわやましいわね。私たちはあなた達みたいにあまり仲が良くないのよね」


「私たちの代もそうですよ。基本的に十傑相手でも敵同士です。そう思わないと生き残れないですからね」


 まぁそれが普通の考えだろう。

 俺だって、宗一郎たちがいなかったら仲良くなっている自信がない。


 光田くんの時もそうだったけど、この獅子王学園は弱肉強食の世界だ。

 強いものはこうして優遇され、弱いものは淘汰されていく。


「宗一郎たちとは幼い頃から顔見知りでしたから……最初は色々ありましたけど、今では大切な親友です」


「そのようね。さて、訓練場に着いたわ。あと20分もすれば始まると思うから、体を動かしたかったら先に行ってもいいわよ」


「ではお言葉に甘えさせてもらいますね。倉木先輩、長谷部先輩、ありがとうございました」


「ふふっ、あなた意外と真面目なのね」


「見た目は結構チャラいイケメンだけど、中身はいい人です!」


「あ、ありがとうございます」


 最近素直に褒められることが少なかったから、こういう反応には困る。

 まぁ相手もお世辞8割と言ったところかもしれないし、そのまま俺は逃げるようにして更衣室へと足を動かすことにした。



 チーム戦頑張ろ……

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