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道化な僕とギャルな君  作者: 月うさぎ
第二章 初めての試験
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第二十九話 試験概要

 朝、プチトラブルがあったものの葛木先生たちがくる頃にはそれも収束していた。

 ただ、葛木先生も柊木先生もAクラスの雰囲気を感じてどこか納得したように頷いていたので多分なんとなく何が起こっているのかはわかっているはずだ。


「それにしても、よく我慢したよね。いつもの蒼なら自分から喧嘩をふっかけててもおかしくないのに」


「いつもは冗談で済む話だけど、今回はそういうわけにもいかなさそうだったしな。いくら強いアウラと契約できても、今はまだ不安定だと思うし、変に刺激して何が出てくるかわかったもんじゃないじゃん?」


「だねー。このまま何もなければいいけど、何かあった場合は任せるよ? イケメン道化師さん」


「うっせーイケメン主人公め。その主人公オーラで全てサクッと解決してくれませんかね」


 もともと、この学園の主人公は俺じゃない。前でニコニコしてる北小路宗一郎こそが主人公なのだ。

 だから光田くんもこいつに絡めばいいのに……

 

「っと、こんな感じで今日のホームルームを締めることとする。あぁ、それと野口くん、闇の上級精霊と契約できたんだってね。おめでとう」


「あ、ありがとうございます。これで俺も十傑に……」


「うん。確かに今は思い上がる気持ちもわかるけど、十傑はそんなに簡単になれるほど安い地位じゃないんだよね。でも、それを抜けば君はAクラスの暫定トップだ。その調子でみんなの代表になれるように頑張るんだよ」


 葛木先生はニコニコしているが、ピシッと厳しめ言葉を光田くんに送った。

 てっきりもてはやされると思っていた光田くんは拍子抜けしたような表情で「は、はい……」と意気消沈していた。

 まぁ葛木先生の言っていることは全て正しい。


 確かに三級の上級精霊と契約できたということは十傑も頑張れば入れるかもしれないが、そもそもの練度が今の十傑は異次元なので、今のままでは光田くんでは厳しいだろう。

 第十席でも噂では第一級のアウラと契約しているらしいし、言ってはなんだが三級程度では……という感じである。


 十分優秀なのは本当なんだけどね。


 このままいけば確実に出世コース間違いないし、日本においても上位10%以上の存在にはなれるはずだ。


 だけど、ここは私立獅子王学園だ。ただ優秀なアウラと契約できたというだけで成り上がれるほど簡単な場所ではない。

 今後の光田くん次第では簡単に退学させられることもあり得るだろう。


 しかも、あの学園長だしな……


「さて、じゃあ早速座学に入りたいんだけど……その前に、今月末にある試験の説明をしようか」


「「「っ!」」」


 さらっと流された光田くんは依然として悔しそうな顔をしているが、葛木先生は遠慮なく試験についての説明を始めていく。


「次の試験の内容なんだけど、君たちAクラスは筆記試験と実技試験の両方が課せられる。筆記試験はこれまで僕が授業で説明した内容から出る。授業の内容を振り返りたい場合は獅子王アプリに全て載せてあるから復習もしやすいはずだよ」


 ふむ、もっと変わり種がくるかとおもったけど、意外と普通の試験のようだ。

 筆記試験に関しては俺たちは多分問題ないと思うので、重要なのはこの後に説明される実技試験の方である。


「そして実技試験の方だけど、Aクラスのみんなは上級生と戦ってもらうことになると思うからそのつもりで」


 葛木先生がそう言った瞬間、クラスが少し騒がしくなった。

 まぁ気持ちもわかる。

 まだこの学園に入って一月しかたっていないのにいきなり上級生との模擬戦なんて言われても困惑してしまうだけである。


 絶対に勝たないといけないというわけではないと思うが、それでも何かいいところを見せなければ評価は0だ。

 なので、勝てないにしろどうやって先生たちにアピールするかをみんなは考えないといけない。


「そして、十傑の君たちには僕たち講師陣が相手になるはずだから、そっちもよろしくね。ちなみに、十傑は講師に負けた瞬間無条件でその地位を剥奪されるからね」


「「「っ⁉︎」」」


「なるほどね〜」


「面白そうじゃん」


 俺たち十傑以外は驚いているようだが、一応想定の範囲内だ。

 俺たちは講師陣に必勝しなければいけないようだが、その辺りも何か講師陣は制限があるはずだし、そこまで焦るほどのことでもない。


 若干数名、いや俺の仲間は全員そっちの方が面白いと熱くなっているみたいだ。

 多分こいつらなら負けるなんてことはないだろう。

 多分講師陣が本気を出しても負けないと思う。


 まぁそういうわけで俺たちはそこまで講師陣が相手でも慌てるようなことはない。


「先生、それってつまり、もし十傑のなかで誰かがその課題をクリアできなければ俺が十傑になれるってことですか?」


「確実に入れるとは言えないけど、その可能性は高いね」


「なるほど……」


 光田くんが怪しい笑みを浮かべている。

 考えていることはなんとなくわかるけど、光田くんの作戦が成功するほど俺たち十傑も馬鹿ではないし、学園側も俺たち十傑の戦っているところは非公開にするはずだ。


 じゃないと訴えられるのは学園側だしね。


「十傑のみんなには後で対戦相手の教師のプロフィールを送っておくから対策を考えておくといいよ。他のみんなは当日になってからのお楽しみってことで」


 ふむ、これもしかしたらハンデないやつ?

 ガチンコ勝負になると流石に柊木先生とか葛木先生が出てきた場合ちょっとめんどくさいんだけど……


 一応確認しておこうか。


「ちなみに先生たちってアウラも使ったりします?」


「そりゃもちろん。今年の十傑には過去最高難度の試験が使われてるから、頑張ってね」


「僕も容赦無くアウラ使っていくから、覚悟しときやぁ〜?」


 これには俺たちだけじゃなくAクラス全員が驚いた。

 まぁ普通に考えて、現S級魔法師に勝てたら世界的にニュースになる案件だ。


 柊木先生はあまり気にしないかもしれないけど、万が一にでも高校生に負けたりしたらそれこそ大変なことになると思うんだけど、その辺はどうするのだろうか?


「僕のことは気にせんでええで。これで地位を落とされるならその程度やったいうことや。僕も楽になるから思いっきりかかってきてええからな」


 外部には情報が漏れないのかもしれないけど、思っていた以上に大変な試験になるかもしれない。 


 まぁでもこの2人に当たらなければいいだけである。序列的に考えても、2人の相手をするのは宗一郎と朱音である。

 俺は適当な先生が当たるだろうし、そこまで気にする必要ないか。






 と考えていた時期が僕にもありました。


「マジか……」


「蒼、誰だった?」


「毬乃学園長なんだけど……」


 いやまさかあの人が出てくるとは思わないじゃん。

 毬乃学園長も現役で超有名人だ。多分柊木先生と同じくらいか、下手したらそれ以上に強い可能性もある。


「宗一郎たちはどうだった?」


「俺は葛木先生だったよ」


「私は柊木先生」


 ふむ、この2人は予想通り一番強い講師が当てられたか。


「俺は…非常勤の先生だって。同じ武闘派らしい」


「僕はBクラスの先生だね。あの人、見るからに頭脳派だからそっちで勝負になるかもね」


 龍之介と湊は各々の得意分野で戦うことになるように対戦相手を設定されているようだった。

 

「私は2年生のAクラスの実技の先生っぽいね」


「私はその先生だね」


 全体的に優秀な先生が相手をするみたいだ。

 俺だけちょっと対戦相手がおかしい気がするけど、まぁみんななんとかなるだろう。


 なんだかんだ言って、俺もこいつらも自分だけの武器を持ってるしな。いくら経験値が上の先生といえど、そう簡単に崩されるようなことはないはずだ。

 宗一郎たちも実力が確かな先生に当たって逆に嬉しそうだし、結果的にはこれでよかったのかもしれない。


 問題があるとすれば俺だけだが、俺も宗一郎たちとの学園生活を棒に振るうわけにはいかないので、ちょっとは本気を出す予定だ。


「俺たちの試合は原則非公開みたいだけど、当人の許可があればその限りじゃないらしいよ」


「お、ということは久しぶりにみんなのアウラとかも見れるかもな」


「だねー。最近全く呼んでないから拗ねてるかも。ちょっと私も放課後訓練場借りようかな」


「じゃあ今日は一緒に使おうよ。透のアウラの修行も今日はしない予定だったし、せっかくだしみんなで自主練しよー」


「「「「「「賛成ー!」」」」」」


 と、いうことで今日はみんなで訓練場で自主練をすることになった。

 ちょっとだけ楽しみである。

 

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