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道化な僕とギャルな君  作者: 月うさぎ
第二章 初めての試験
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第二十四話 透の力1

「蒼、何か言いたいことある?」


 透と出会った翌日、俺は教室で何故か正座をさせられており、周りには俺の仲間たちが取り囲んでいた。

 どうやら、本当に誰かが掲示板に俺と透が買い物をしているところを見たという内容のものを投稿したみたいで、若干噂になっていた。


 しかも何がタチ悪いかってランジェリーショップに入ったところも目撃されていたみたいで、それを聞きつけた朱音たちがすごい剣幕で問い詰めてきているという状況だ。

 今朝なんて一言も口聞いてもらえなかったし、軽く泣きそうである。


「い、いや……そもそも何の話……」


「はい感電しなさい」


「うギャァぁぁぁぁ!!!」


 琴葉が教室の中だというのに問答無用で雷系統の魔法を撃ってきた。

 多分これ以上ふざけると本気で怒られるだろうからちゃんと昨日の事情を説明する必要がある。


 ただ厄介なのが、全て話すと次に光田くんにヘイトが向きかねないため、一番大事な部分を誤魔化す必要があり、それ即ち俺の詰みがほぼ確定で決まったことになる。

 いや別に誤魔化さずに全て話すのも悪くはないんだけど、流石に今も教室の端でビクビクしている光田くんを見ているとそんな気は失せてしまう。


 それに、事実を知った朱音たちの行動なんて火を見るよりも明らかだ。


 ということで、ここは俺が犠牲になるしかない。


「……泊めたの?」


「泊めてない。これは本当だよ」


「でも、ランジェリーショップって……あんたまさか自分で……」


「んなわけあるか!」


 朱音にあらぬ疑いをかけられてさっきよりもピンチである。

 でもこんなところでアウラであるティアたちと同棲してますなんて話したらもっと大騒ぎになるだろうから朱音たちには目で訴えるしかなかった。


「はぁ……わかった。また何かめんどくさいことに巻き込まれてんのね」


「そもそも蒼だからね。朱音たちがいるのに他の女の子を部屋に連れ込むとか自殺行為できないでしょ」


「だよね。僕もそう思う」


「ってか、連れ込んだとかどうでもよくて俺は出雲透さんの話が聞きたいぜ。昨日デートしたんだろ?」


 まだ何か勘違いしている奴が一名ほどいるけど、龍之介も話を危ない方向から外らせるために振ったのだと分かるので感謝して透のことについて話すことにした。

 めちゃくちゃ光田くんに睨まれてるけど、それくらいは我慢してほしい。


 むしろ、黙ってやったんだから感謝してほしいくらいだ。


「話してみた感じだと透もこっちのクラスにこれるだけのポテンシャルはあると思うよ。今日からしばらくは俺が透の訓練に付き合うことになってる。なんでも克服したいことがあるんだとか……」


「へー。それって私たちも見に行っていいの?」


「んーやめといた方が良さそうかも。無神経に見ていいものでもなさそうだしね」


「ちぇー、まぁしゃーないか」


「俺たちは蒼省いて遊びに行こうか」


「「「「「「賛成ー!」」」」」」


「流石にひどくないですか⁉︎」


 とまぁ結局みんななんだかんだで賛成してくれたおかげで俺は無事仲間には公認で透の面倒を見ることができるようになった。

 試験まであまり時間がないので今日の放課後から早速透のスキルアップのために自主練に付き合うことになったんだけど、流石に俺一人だと心許ないのでミカエルに放課後訓練場まで来てもらうことにした。


 昨日判明したことなんだけど、彼女たち自分で気配を消すことができるらしくて、他の人から見たらただの美人さんという認識になるような魔法を使えるらしい。

 それがあるなら自分たちで下着を買いに行けよと言いたかったけど、基本的にこの学園内での買い物は携帯端末がないと話にならないため結局俺が行かなければいけなかったと昨日知った。


 うん。どうなっても俺が変質者扱いされるのは避けられなかったってことだね。









「蒼、あの子か?」


「すっごい美人さんじゃん。良かったね蒼」


 今日も全ての授業が終わり、みんなが帰る準備をしている中、どこかそわそわした雰囲気が教室の中に漂っていた。

 その原因は教室の入り口付近を見れば明らかで透がニコッと微笑みながら俺たちに手を振っていたからだった。


 宗一郎たちからは好評でだったけど、朱音たちの方を見ると後ろに鬼が宿ってこちらを睨んでいた。あれだけで人一人くらい余裕で殺せそうである。

 それともう一つの懸念であった光田くんだが、午後の実技の授業がキツすぎてグロッキー状態になっていてそれどころじゃなさそうだったので良かった。


「お待たせ。別にAクラスに来なくても良かったのに」


「もう後二週間もすれば私もここにくる予定だし、見学くらいいいでしょ? それに、蒼の友達も見たかったし」


「随分な自信だな。これは訓練場についてからが楽しみだ」


「骨抜きにしてあ・げ・る」


「あの、まだみんなが見てるからそういうのは勘弁してください。鬼を刺激すると僕の命が危ないんです……」


「あははっ、蒼は人気者だね」


「ありがたいことにね。それより、さっさと行こうか」


「はーい」


 透は昨日の時点で俺のキャラを的確に読み取り、どこまで踏み込んでいいのかしっかりと把握してきている。

 まだ戦闘面ではなんとも言えないけど、コミュ力は間違いなくS評価だろう。


 これならもし本当にAクラスに来ても宗一郎や朱音たちともうまくやっていけるはずだ。


 ただ、俺もずっと透にやられっぱなしというのも癪なのでちょっとした意趣返しをすることに決めた。

 透も急に手を握られて訓練場まで一瞬で転移させられれば少しは驚いてくれるだろう。


「よし、じゃあみんな行ってくるわ〜。転移っと」


「え?」


 宗一郎たちが「いってらっしゃーい」というのと、転移するのとが同時だったので、透はうまく反応できなかったみたいで、着いてからも鳩が豆鉄砲を喰らったような表情をしていた。


「こ、ここは?」


「十傑専用の訓練場。今日は貸し切りだから安心していいよ」


「……なるほど。転移魔法をあの一瞬で……さすが十傑」


「透もすぐにできると思うよ。よし、じゃあ着替えて体を動かして……30分後にもう一度集合しようか」


 透は俺の提案を了承すると、更衣室へと向かっていった。

 俺は男なのでその場でパパッとトレーニング着に着替えて、早速アップを始める。


 そのうちミカエルも来るだろうし、せっかくだからアップのついでに組み手に付き合ってもらおう。


「蒼さま。お待たせしました」


「来てくれてありがとう。助かるよ」


 ミカエルはいつものような露出の多い天界の服装ではなく、トレーニング用の服になっていて、めちゃくちゃ可愛かった。

 いつもの服も可愛いけど、正直露出が多すぎてまともに見れないんだよね。


 まぁ、このトレーニング用の服も体のラインはしっかりと出てるからエッチなんだけどね。


「お待たせ〜って、この人誰?」


 そのタイミングでちょうど帰ってきた透がミカエルを不審な目で見ていた。

 まぁ、急にミカエルみたいな女の子が出てきたらびっくりすると思うし透の反応は正常だと思う。俺だって逆の立場だったら絶対に透以上に驚いていると思うし。


「俺のアウラのミカエル。今日は透のアウラとかの相談にも乗りたかったし来てもらったんだ」


「厄災級第五位、ミカエルです。蒼さまのお世話をさせていただいています。本日はよろしくお願いしますね」


「や、厄災級……なるほど、昨日の下着はミカエルさんのか。それにしてもさすが蒼だね。これなら私が暴走しても大丈夫そうだ」


「俺だけだと万が一があるけど、ミカエルがサポートしてくれるから絶対に透が懸念していたことは無くなると思う。まぁ、その辺は後回しにしてとりあえず体を動かすところから始めようか」


「そうだね」


 ミカエルの素性を聞いてもなおそこまで驚いていていないところを見るに透も厄災級のアウラと契約しているんだろうけど、その辺はまた後で聞いていこう。

 それにしても、この学園厄災級のアウラと契約している人多すぎない?


「多分蒼さまたちのせいだと思いますよ」


「それもそうだね」


 確かに、俺たち7人がいなければ割といつも通りだったのかもしれない。


 とりあえず最初の10分は各々体を動かして、その後は3人で組み手を始めることにしよう。

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