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8話 王城行ってみた。

「このパーティーってさ、壁職居なくね?」

「それだと何か問題があるんッスか?」

「ああ。例えばだ。動きの素早い敵対生物が6体散らばって出てきたとする。遠くから魔法で狙撃していけば倒せないわけもないが、背後に回られてしまったら確実に一本取られる。また、いくら接近戦で強くても、三体に囲まれてしまっても同様に取られる。数に囲まれてしまったら絶対に死角ができるからな。」

「「「はあ。」」」

「そこで壁職の出番だ。壁職が敵を惹き付ける。敵にとって厄介だと思うことをすれば簡単に寄ってくる。そして攻撃職が寄ってきた敵を背後から殲滅。」

「囮役ってことッスか?」

「そうだ。」

「なら、一人最適だと思われる方はが居るのですが。」

「確かにそうじゃな。」

「この中で一番防御力高くて、攻撃スキルと補助スキル持ってる人が。」

 なるほど俺にやれと。


 大変今更ながら、パーティーの編成が決まった。

〇前衛

 ・壁 兼 補助  俺

 ・近距離攻撃 メリス

〇後衛

 ・魔法攻撃  ディオニル

 ・魔法支援  テラ


「では、これを踏まえて武器を買ってくれ。」

「「「了解。」」」



 先に店を出たのは俺だったらしい。

 仕方ない。待つか。


 俺が買ったのは、双剣一対と小型の杖。盾は買わなかった。

 自分のスコアを見てみると、

───────────────────────────────

防御力 : 3077  Full

───────────────────────────────

だった為、[盾なしでも攻撃通らないな。]と思ったのである。

「しかし、ステータスが全て3000を超えていたのは驚きだったな。」

「もうそんなに強くなっていたんですね。」

「をおお!ビックリするから耳元はやめろお。」

 テラには後で今の"お返し"をしてやろう。


「ところでテラは何を買ったんだ?」

「これです。」

 と言って、身長と同じくらいの大きさの木製の立派な杖を見せてきた。

「凄く...大きいね...」

「カッコイイでしょう?」

「うん。凄く。だから..その、振り回すの止めようか。」

 さっきから杖をブンブン振り回している。通行人の邪魔になるので止めてくれないだろうか。


「何だか楽しそうじゃな。」

「ッスね。」

 ディオニルとメリスも終わったようだ。

 ディオニルは背中に大きな黒い杖を、メリスは片手剣を一本とダガー二本を腰に提げている。

「おお、メリス達も終わったか。」

 っとここでディオニルの腹が鳴る。


 ディオニルは顔を真っ赤にする。

 あは、可愛。

「そろそろ飯食うか。まだ朝食を取ってないし。」

「同意ッス。」

「ですね。」


 俺達はディオニルのテレポートで酒場に行った。スキルの無駄遣いだと思う。



「おいおい、またかよ。」

 また騒ぎが起こっているようだ。

「あれは...王都の騎士ッスね。こんなところに何の用ッスかね?」

「まあ、それはほっといてご飯食べましょうか。」

「そうじゃな。」


「メシメシ~♪」

「楽しそうッスね。」

「おっと、空腹で理性が。」

 なにそれ怖い。


 ディオニルの闇の面が見えたところで料理が運ばれてきた。

「これがここで作られたマヨネーズか。」

 俺は例のコールスローを注文してみた。

「見た目はできてるな。味はどうだろうか。」

 そして一口。

「うん。悪くないな。ただ、もう少しよく混ぜてもいいかな。」

 少し油の感じがあった。まあ問題はないだろう。

「何してるんですか?」

「教えた通りにちゃんとできているかどうかを確かめているんだ。」


 そんな話をしている時、遠くからこんな声が聞こえてきた。

《ここに"陽谷契"という人物が居ると聞いて来たんだが。》

 さっきの騎士の声だ。俺に何の用だ?

 あっ、目が合った。

 その騎士はこちらに向かって歩いてくる。


「"陽谷契"という人物を知っているか?」

 3人が俺を見る。

「...ご飯食べてからでいいか?」

「あ、ああ。」



「で、俺に何の用だ?」

「王からの召集が掛かっている。城まで同行願いたい。」


 と、言うことで王城に行くことになった。これまた面白そうなことが起こりそうだ。


「しかし物好きな王様だよな。俺を呼んで何をするつもりだ?」

「さあ。私はただ"連れてこい"と言われただけだ。」

「ところでさ、何でお前らも居るんだ?」

「別にいいじゃろ?」

「街に残っててもあれッスし。」

「私は契さんのマネージャーみたいなものですから。」

 もう、何でもいいや。


「...今更だけどさ、別に馬車を使わなくてもよくない?」

「...」

「馬車が最速の移動手段だった筈だが。」

「俺の場合、走った方が速い。」

「馬車よりも速く走れるのか?」

「まあ、頑張れば30m/sくらいで。」

「なっ!?」



 馬車を使った所為で着くのが遅くなったが、俺達は王城に居る。


「連れて参りました、陛下。」

 "アニメの騎士"っぽい言葉に感動を覚えつつ、俺は王に深々と一礼する。

 スゲー! アニメで見たことがあるような展開だ!


 そして王は俺に質問を始める。

「汝が"陽谷契"か。」

「はい。」

「魔族に連れていかれたというのは本当か。」

 本当のことを言っていいのだろうか?とテラの方をこっそりみる。

 大丈夫らしい。

「はい。」

「その時の話を聞かせてもらおう。」

 言ってもいいのだろうか。とりあえず事実が歪まない程度に言葉を濁そう。



 一通り説明した。間違ったことは言っていない。筈。

「なるほどな。」

「あの、用はこれだけでしょうか?」

「いや。汝は迚も強いと聞いた。その腕を見せてはくれないか。」

「嫌です。」

 こう言うのは軽々しく人に見せてはならないというのはお約束だ。でも、

「但し、俺と握手してくださるのならば、別の答えが出せます。」

 我ながらこの考えは素晴らしいと思う。こうすれば間違いなく握手をしてくるだろう。そうすれば戦争を止める為にできることが分かるだろう。

「いいだろう。」

 とりあえず成功。

「しかし見せるとはいっても、相手がいなければ意味がありません。...ちょうどいい、騎士さん、手合わせ願いたい。」

「かまわない。」



 さすがに城内で暴れる訳にはいかないので場所を変えた。普段ここは兵士の訓練場らしい。流石、王都とだけあって広い。ざっと4haくらいある。


 相手の騎士は、国一の強さを誇る剣精の一族らしく、彼奴に敵う者はいないという。が、たぶん楽勝。

「いつでも構わないぜ。」

「おやおや私も嘗められたものだ。では、こちらから行かせてもらおう。」

 と言って、騎士はこっちに向かって飛び込んでくる。

「遅いな。」

 俺は初撃をひょいとかわし、騎士の背中を殴る。

 すると騎士は、まるでドラ〇〇〇ールのように160mくらい吹っ飛ぶ。

「少し強かったかな?」

 砂埃が舞う中、騎士はよろよろと立ち上がり剣を構える。生きていたようだ。いくら力を抜いたとはいえ、常人が俺のグーパンを喰らったら即死なのに。

「まだだ。」

 まだやる気かよ。まあ付き合ってやるか。

 そして騎士は走り始める。

 今度はさっきと違う。明らかに足が速くなっていて、態勢や構え方も変わっている。何より、騎士が持っている剣が青白く光っている。

 どうなるのか興味があるので、自分に防御力がひたすら高くなる支援魔法を掛けておく。念のため、双剣でガードもしておく。

「うおおおおぉぉっ!」

 パリーン

 剣が砕ける音がした。


 さっきまであった青白い光は消え、代わりに騎士の顔が青白くなっている。

 騎士はその場に崩れ落ちる。

 勝ったった。

「なあテラ。彼奴って"国一"強いんだよな?」

「の筈ですよ。」

「あんまり手応えなかったけども。」

「まあ、契さんは規格外ですから。」


次回 お食事会に呼ばれてみた。

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