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6話 魔城行ってみた。

 そういえば今、戦争中なんだったけか。あいつらは多分魔族の使者だろう。何をしに来たんだか。

 割と落ち着いている俺を尻目に、テラは全身が震えてていて、メリスは尻尾の毛が逆立っている。そんなにヤバいのだろうか。

 周りを見てみても、落ち着いているのは俺とあと数名。数名と言っても片手で数えられる程しか居らず、その全員がガチガチのフル装備だ。

 やはりあいつらはヤバいらしい。


 こっそりと、テラにあいつらについて訊いてみようとしたが、どうやら今は使い物にならなさそうだ。ずっと震えていて、会話とかどうこうしている余裕はなさそうだ。

 メリスに訊こうともしたが、目がガチだ。今にも襲い掛かろうとしていて、話し掛けたら引っ掻かれそうだ。


 面倒くさそうだから帰ろうかと思っていた頃、先頭に立っている使者が話を始める。

「三日前、この街に強力な力の反応があった。」

 うん。なんとなく心当たりがある。

「その強力な反応を示した者と話がしたい。」

 そう言って、そいつは俺の方を見た。


 目が合った。俺の前の方にいた同業者が道を開けた所為でそいつと対峙する形になる。

 俺が横にずれると、そいつが目で俺を追いかける。俺の周りの奴らが俺と間を取る。これはある種の虐めではないだろうか。

 さりげなくテラとメリスも俺と間を取っている。マジか。仲間に見捨てられるとか。


 ああ、まずい。使者が近づいてくる。来るな、来るなあ。

 そいつは俺と後2~3mのところまで近づき、話を始める。

「貴様、城について来てもらおうか。」

 どうしよう、面倒事に巻き込まれた。でもちょっと面白そうかも。

 よし。ちょっくら行ってこよう。

「別に構わないぞ。」


 あの、皆さんの視線が痛いです。



 現在地は魔城。俺の魔城の色のイメージは黒や紫色なのだが、ここは白と緑という落ち着いた色合いだ。

 そして俺は、魔族の(かしら)の下へ連れてかれる。...テラと一緒に。

 テラは何故か勝手に付いてきた。超ビビってたクセに。


 そして目的地に到着。いよいよお頭とのご対面だ。

 部屋のドアが重々しい音と共に開かれた。


 超絶美人じゃねえか。お頭。

 緑髪ロングで透き通った蒼い眼を持つ少女は、それはもう美しかった。少し傲慢なところがあるようだけど。


 まず俺は、今一番気になっていることを訊いてみる。

「彼氏居ますか...じゃなくて、俺を呼んだ理由は何ですか?」

「他でもない、わしらの仲間になって欲しいのじゃ。」

「それは叶わない願いですね。俺は何時でも中立ですから、肩入れはしません。」

「そうか...」

 とそいつは残念そうな顔をする。


 どうやら話の分かるやつらしい。...と、思っていた時期が俺にもありました。

「ならば力で分かってもらうまでじゃ!」

 と、テンプレ通りに顔を歪めこちらに刃を向け突進してくる。

 とりあえず俺は、それを素手で受けてみる。


 剣はピタリと止まった。


 おっと皆さん、化け物を見る目ですね。


「人の話聴いてました? 俺は中立だ、と言いましたよね?」

 俺は一つ溜め息をついてから言った。


 さっきから俺に対して怯えた目をしている。

 美少女にそんな目をされると心が痛むのでやめてもらいたい。


 やっと分かってくれたようだ。剣を落とし、膝を地につける。

「力デ...負ケタ...? コノ...ワシガ...?」

 あらあら、どうしたものか。


「とりあえずその人が落ち着くまでこの城を探検してるから。終わったら呼んでくれ。」

 と、俺は気を失っているテラを抱え、出ていこうとしたところ部屋のドアをバタンと閉められた。


 さっきまで狂気にあったあいつが遠隔でドアを閉めたのだ。

 遠隔はセコい。


「もう大丈夫じゃ。」

 おっと、復活が早いようだ。全く探検できなかった。残念。

「少し、話し合おうじゃないか。」



 現在地は街の宿屋。

 あの後、なんだかんだであいつとの握手に成功した。

 その結果戦争の種が分かった。


 あいつらは魔王でも魔族でもなんでもなく、自然そのものだった。

 ちなみにフォレットと呼んでいるのは人類側だけて、本当はナチュルという国名らしい。


 侵略側は彼方(自然側)ではなく此方(人類側)で、防衛側は此方ではなく彼方だそうだ。勘違いしていた。

 強欲な人類側が、自然を支配しようと動いたことが争いの火種となったようだ。


 自然側のトップの名はディオニル。勝手について来たテラとは、姉妹に当たるらしい。

 仲がいいという方でもなく、気の弱い妹のテラは、姉のディオニルに玩具にされてたようだ。

 しかし、姉妹としての絆は強かった。だからテラは俺に"首を打て"ではなく"争いを止めろ"と、あやふやなクエストを受けさせたのだろう。


 テラは俺がディオニルに雑に対応しているのを見抜いていたらしく、何をされるかという恐怖やらなにやらで頭がオーバーヒートし、気を失って倒れてしまったみたいだ。背景を知らなかったとはいえ、テラには少し悪いことをしたな。ごめんの一言でも掛けておこう。



 散々な休日だった。

 よし。今日はもう寝よう。

「休みなのに休めねえ!」

「地球で散々休みを取ったじゃないですか。それにまだ3日しか経っていませんよ?」

「で、でも...」


次回 装備を整えてみた。



休みぐらいゆっくりしたい!

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