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2-16話 暇人の遊び

「何をしてもいいんだよな?」

 契達はアルタナに連れてこられたダンジョンを攻略していた。


 契はアルタナが言っていたことを繰り返し、不敵に笑ってそんなことを言う。



「皆様にはここを攻略していただきたく思います。」

 いきなり過ぎて疑問符で溢れた空気に、ただ一人だけは状況について行けていた。


 アルタナが言いたいことはつまりこうだ。

 暇だから君達がここを攻略する様子を見させてくれ。

 ただそれだけ。以上も以下もない。


「このダンジョンは私が造ったものですので、何をしていただいても構いません。では。御武運を。」

 アルタナはそう言い残し何処かへ歩いて行った。


「…状況が読めないのですが…」

 テラが声を掛けた。

 彼は何を言ってるんだと。

 他の四人も同意見だと言わんばかりに頷く。


 全員が契に注目する。

 が、契は意外な言葉を口にする。

「俺もよくわからん。気にすんな。」

 爽やかな笑顔で言われ、ポカンとする一同を尻目に契はダンジョン攻略へと向かった。



 そして冒頭へ至る。


「一応訊いておきますけど、何をするつもりですか?」

 契のこれまでの攻略方法から、一同を代弁するようにテラが呆れ気味に訊ねる。


 いままで契は、何をしてもいいという言葉を免罪符に非常識的なことを連発していた。

 魔物を結界で囲って嬲ったり音から空洞を見つけて壁を破壊して入ってみたり、様々だ。

 さて、今度は何をするのか。


「…ょしッ!」

 と言って契は両手を前に突き出し、結界を円錐形に展開して、フォルティを抱えた。

「…ッ! な、何をするつもりだ?!」

 突然の事に疑問を唱えるが、契はフォルティの言葉を聞き流し、羽を生やして飛んで行った。

 他の四人も置いてかれまいと契に続く。


 契は壁に向かって飛んで行く。

 契が何がしたいかわからないフォルティは、ただただ断末魔のような悲鳴を上げる。

「ぃぃぃいいいややややゃゃゃぁぁぁぁぁああああああ!」

 勿論、契なりの考えがあってこの行動には意味があるのだろうということはわかってはいるが、矢張り壁に猛進というのは可成の恐怖心を伴う。


 壁が迫ってくる。

 断末魔も大きくなる。


 そして壁に当たったとき、契の狙い通り結界によって壁が抉れ道ができる。

 大きめに結界を展開したお陰で続く四人も楽々通ることが出来た。

 さっきまで騒いでいたフォルティも状況を理解しはじめ、静かになっていた。

「…何をしているんだ?」

 一度冷静になって契に訊いてみるが、回答はなかった。


 そしてどこかの空洞に出る。

「はい、ボス部屋到~着~。」

 契は楽しそうに莞爾と笑いながら言った。

「えっ、ここがボス部屋ッスか?」

 どうやら契はボス部屋へのショートカットを作っていたらしいが、案外普通の小部屋じゃないかと疑問に思ったメリスが零す。

「多分な。ここのなかで二番目にデカイ魔物だから、中ボス辺りかな。」

 契はメリスの疑問に推測で答える。


「ッ貴様、毎回先に何をするか言っておかぬか!」

 何やら冷静な五人に、フォルティはさっきまで断末魔をあげていた自分が恥ずかしく感じたのか顔を赤くして怒る。

「悪いな。俺はそういう(たち)なんだ。」

 こればっかりは仕方がないから諦めてくれという契に、フォルティは溜め息を吐いた。


「それとだ。なぜ主は羽が生えていたのだ?」

 抱えられているとき契に羽が生えていたことが気になったフォルティが訊ねる。

「…おっと、ボスがこっちに気付いたみたいだぜ!」

 しかしボスの登場に遮られ、契からの答えはなかった。



「…なかなかやったのぅ。」

 ボスを倒して、息を切らしながらレネーが言った。


 今回のボスはなんと言っても取り巻きが多かった。

 個々は大した強さではないのだが、数がおかしい。ざっと見積もって数百というレベルだ。

 アルタナは馬鹿なのではないだろうか。


「これで中ボスなら、ラスボスはどんなもんなんだかな。」

 呆れ気味に契が言った。

 全く、先が思いやられる。

書き方を微妙にまた変えました。描写を多目にしたので想像しやすい筈です!

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