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2-8話 光の祠・最深部

「これは簡単です。」


「まず、"天"は右の壁にある天使の彫刻のことだと思われます。また、"冥"はその対にある悪魔の彫刻のことでしょう。」

 テラはそれぞれの彫刻を指差しながら説明する。

「それがなんじゃ?」

「この部屋全体を時計の文字盤だと考えると、ちょうどあの彫刻がそれぞれ三時と九時を表していることになります。となると、私達が入ってきた入口は六時、開いていなかった扉が十二時だと思います。」

「それで?」

「私達が時針となって、この時計を七日分動かせばいいのです。」

 えっへん( ̄^ ̄)とでも言いたげなテラに、だが契達(あほども)はちっとも理解していないらしい。

「つまり?」

「まず部屋の内側を時計回りに一周、次に半時計回りに一周。それを七回繰り返せば開く、ということだと思いますよ。」



「なあ、本当にこれで開くのか?」

 少しの間続いた一同の沈黙は、二日目の午後まで進めた頃、契によって断たれた。

 飽きた、と遠回しにそう告げる契にテラは、異世界に来ても所詮元引きニートかと思いつつこう答える。

「私の推理が正しければ、ですけどね。でもまだ飛べるだけましだと思いますよ? 普通は歩かないといけませんから。」

「...それもそうか。」

 なんて言っているともう四日目が迫っていた。

「飛べるっていいッスね!」

「ああ。こんなん、真面目に歩いてたら全部で一日は掛かるだろうな。」

 『飛翔』スキルの最高飛行速度は大体音速くらい。そんな速度出したら体が粉々になるだろうとおもうが、どうやらスキルの発動中は摩擦や空気抵抗、重力といったものが体にかからなくなるらしい。だから速度をだしても別に問題なく、むしろいろいろなものが解かれて快適なくらいだ。

「テラはんの言う通り、飛べるだけましやね。」

「にも拘わらず、飽きたとか抜かす奴もおるんじゃな。」

 はいはいどうせ俺は元引きニートですよーと適当に棒読みで契が答える頃には七日分が経過していた。



「本当に開いたな。」

 無事に扉を開ける儀式を終え、同時に虚空から現れた黄緑色のクリスタルを扉に翳すと、とても重そうな音を立てて扉がゆっくりと開いた。扉が開くと、入れ替わっていた体が元に戻る。


 そして、開いた扉の先に見えたのは焰の祠の最深部と同じつくりの小部屋。

 また、中央には前に倣い小さな氷龍がいるわけで。


 この氷龍には前回とても苦戦した。(バケモノ)の放った魔法(チート)が大して効かなかったからだ。

 さて、今回はどこまで苦戦させてくれるのだろうか。


「...仕方ないな。テラ、力を貸してほしい。」

「もちろんです。」

 テラは固有技能『月精之加護』を発動。

 それを合図に契が切り込み、他もそれに続く。


 部屋中に金属音が響く。

 どうやらここ光の祠の氷龍は物理攻撃無効で魔法耐性が高く、攻撃力、体力もまた高いようだ。

「こりゃあキツイな。」

 『月精之加護』発動中にも拘わらず、(チーター)の魔法があまり効いている様子ではない。

「ッ!」

 一度距離をとって冷静に氷龍を見つめていると、あることに気付く。

───額のクリスタルから魔力が供給されている?!───

 微量ではあるが、やはりそうだ。

 ついでに物理攻撃無効の結界の維持に供給された魔力が使われているのも見えた。

 さらに余った魔力は体力の回復に充てられていた。

 つまり────あのクリスタルを取れば戦いが楽になる!


 しゃがんでくれないかなと思いつつ、勢いよく床を蹴って氷龍の顔の前まで来ると、手を伸ばしてクリスタルを掴む。

 が、氷龍に振り払われてしまう。

 でも懲りずにもう一度跳ぶが、氷龍の尻尾が契目掛けて飛んでくる。


「ッ、あとでうまい飯奢ってもらうッスよ!」

 その尻尾は契に当たる寸前、メリスによって防がれた。

「ああ、もちろん!」

 そして契は氷龍の額に嵌め込まれたクリスタルを取ることに成功する。


 物理攻撃無効の結界が解けていくのがわかる。

「よし、叩け!」

 契の言葉に皆一斉に攻撃を仕掛けようとするが、

「待て。」

 果たしてそれは誰の声だろうか。

 その謎の声に、全員が固まる。

「うちのパーティーにあんな声の人居たっけ?」

「さあ...わかりません。」


次回 一時帰還


クリスタル六つ目ゲット!

...本当は今話で光の祠を終わらせたかった。んですが、いい感じに切りが悪いので次回です!

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