2-2話 焰の祠
今回短くて本当にごめんなさい!
王都で情報を集めた俺達は、東にある「焰の祠」に向かって上空を飛行している。
都に帰るとき、レネーにも『飛翔』スキルを習得させた。これで俺のパーティーメンバー全員が『飛翔』スキルを習得したことになる。
焰の祠に近づいていくにつれ、だんだん気温が高くなる。
目の前には、赫赫たる火山が見える。王都で見た資料には、この火山が焰の祠だという記述があった。
火山の麓に禍々しい門が見えた。きっとこれが入口だろう。
「地上に降りるぞ。」
焰の祠をみて各々違う感想を持つだろうが、確実にこの2つの単語が入っていることだろう。
《グロい》《キショい》
祠の壁の内側は、まさしく肉。それは、キショいほどリアルだ。ただ、見た目からは弾力は一切感じられない。
それだけならまだしも、火山から湧き出ている真っ赤な水は、まさしく血。ゲル状のそれが肉のようなものにまとわりついていることで、グロさが格段に増している。
本能が言っている。〈ここに入ってはならない〉と。
本能に抗い、勇気を出して中に入ろうとするが、足が動かない。
「...なんだよ...」
振り返ると、4人が必死に俺を引き留めようとしている姿があった。みんなの顔には、〈嫌!入りたくない!〉と書いてあった。その気持ちはよくわかる。俺だってこんなところ死んだって入りたくない。でも入らないと先に進めないのも事実だ。
「俺もこんなところ入りたくはないよ。気味が悪いし、蒸し暑いし、変な重低音が響いているし。でも、ここを攻略しないと何も始めれないんだ。」
「...」
◆
祠の内部はただただまっすぐに延びているため、迷うことはない。『飛翔』スキルを使って長い道を翔ていると、小部屋にたどり着いた。
そこには、《円錐形に大量の "眼" がついている魔物》がいた。
"ミリヤーディ" という名前で、この祠の守をしている魔物の一種だった筈だ。温厚な性格だが、攻撃を加えた途端に凶暴になり、円錐の底面にある口で攻撃してくる。ミリヤーディの牙の攻撃を喰らうと、麻痺、毒等のデバフをもらうはめになる。
そんな厄介な奴が道を塞いでいる訳だが...
「ぅぅう、うち、そないなグロいもんはダメなんよぉ!」
「レネー逃げんなし!『念力』!」
「ふぎゃっ!? で、出口がぁ!」
小部屋の入口に作った障壁に、レネーが勢いよく衝突する。
ミリヤーディは結構大きく、『飛翔』して飛び越えることはできない。ここは戦うしかなさそうだ。
「まずは『フレッカ・デァクア』!」
俺が射た魔法の矢は、ミリヤーディを穿つ。
が、直ぐに塞がる。
「マジかよ...」
ミリヤーディは攻撃を受けたことで凶暴化。体の色が赤から黒に変化し、ねちょねちょとキモい音を出して俺達に近付く。
「こ、こっちに来ますぅ!」
「いやああぁ!来るにゃあぁぁ!」
「『念力』!」
ディオニルが作った障壁がミリヤーディの動きを止める。
「ナイスディオニル!『ガッビア・ディ・グァッシオ』! 『メテオロジティ・デグァッシオ』!」
俺の杖から氷が飛び出し、ミリヤーディの動きを完全に封じると同時に、天井から無数の氷の欠片が降り注ぐ。
氷の欠片が次々にミリヤーディを穿ち、遂に消滅した。
床には赤いクリスタルが落ちていた。
おそらく焰の祠で手に入る、氷龍を倒すために必要なものの一つだ。
ここで手に入るのはあと二つ。
「もうこれ以上先へ進みたくないですぅ。」
「残念ながら、あと二つ残ってるからもうちょっとあるよ。」
「うぅぅ~」
次回 焰の祠・最深部