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14話 決戦...

 その声は、フォルティのものだった。

「俺に何の用? 今は "遊ぶ" という重要な用事があるんだが。」

「また王様が貴様に召集をかけている。」

 うむ。面倒そうだ。こうなったら...

「『テレポート』」

「だっ、逃げた!?」


◆   ◇フォルティ視点


 彼奴は一体どこへ逃げたのだか。奴のパーティーメンバーのメリスさんによるところでは、[契さんはたまに子供みたいに遊びたがることがあるッスから、多分かくれんぼのつもりなんッスよ。"遊ぶ" 用事があるって言ってたことッスし。きっとこの街の何処かに居ると思うッス。] だと。こっちだって忙しいのに!

 この街のどこかって、広すぎないか?

 この街は半径1里の円形だったような。つまり約48平方キロメートル上で一対一のかくれんぼ。───正確には一対五だけど。───今日中に見つけられるかなあ。見つけられなかったらどうしよう。


◇ 契視点


 あいつ俺を本気で探すつもりらしい。

 俺は今何処に居るかと言うと、フォルティの上をずっと飛んでいる。人は地上に立っている、という固定観念がある彼女には、見つけられる筈がない。

 それでも彼女が必死に俺を探している様は、実に滑稽である。

 まあ俺が飽きたり彼方が諦めだしたりしたら、そこはかとなく《ゲームオーバー》を告げてやろう。


 空を飛んでいても影でバレてしまうことはない。何故か羽を着けている間は影がなくなるのだ。

 うむ、ただ見ているのもつまらないな。上から魔法で遊んでやろう。

「『ラフリーディメント』」

 初級中の初級、『黒魔法』の冷却魔法。しかし効果は抜群。四季がなく、気温がいつも7月下旬並みと暖かい気候の為、大した威力は無くとも、十分に効果はあるのだ。

 今彼女は気温18度を体感している。一気に10度近い温度変化があれば、流石に応えよう。霧も発生しているように見える。───やり過ぎたか?───


◇ フォルティ視点


 何故か急に寒くなってきた。風邪でも引いてしまったのだろうか。


───


 あれから1~2時間が経った。

 街を一通り見て廻ったが、一向に彼は見つからない。一体どこへ行ったのだろうか。


◇ 契視点


 俺はフォルティに拍手を送りたい。

 ゲーム開始から1時間半が経った頃、いい加減飽きてきた俺は、彼女にいつぞやのパーティー襲撃の撃退に使った "何もかもが怠くなる魔法" を掛けた。するとなんと言うことだろうか。それでも彼女は俺を探すのを止めなかった。この魔法を掛けられて立っているだけでも凄いのに、だ。


 でもそれから約30分。飽きたのと、フォルティが可哀想に思えてきたのでかくれんぼは終了。《ゲームオーバー》の報告をしよう。

 俺は地上に降りた。羽をしまい、こう声を掛ける。

「よお、フォルティ。」

 その声にフォルティは、半泣きで殴りかかってくる。



 メリスとレネーは街に残して、俺達四人は王城に居る。

「早速ですが、俺に何の用ですか?」

 俺は単刀直入に訊いた。

「西の最果ての地で "氷龍" が復活したらしくてな。周辺の街に迷惑を掛けているようだ。」

 なるほど、つまり討伐してきてくれという訳だ。メンド。

「一度兵を出したのだが、返り討ちにあってしまった。フォルティも同行したのだが、全く歯が立たなかったという。」

 俺はフォルティの方を見る。その悔しそうな顔が、王の証言の肯定を意味する。

 王は一拍空けてこう続ける。

「そこで契に手を貸してほしい。」──国最強の一族より強い契に──と。

「"等価交換" という言葉をご存知ですか?」

「もちろん。報酬は用意してある。」

 別に安定した収入源──100アーク──があるから報酬はいらないのだが...

 戦争の話をさっさと解決したいのでこう言う

「そうではなく...対価としてある方と対談していただきたいのです。」

 氷龍討伐の対価としてディオニルとの対談を要求する。

「良いだろう。して、ある者とは?」

「魔族の頂点、ディオニル様でございます。」

「ッ...!」

 俺はディオニルを指す。


 王の仮面の笑顔がみるみる剥がれていく。

 きっと王はこう思っている筈だ。

 良いと言ってしまった以上断ることはできない。

 それに氷龍の件も関わっている。

 それ以上に何故ここに魔王が?

 いや、それよりも

 何故この男は魔族と関わりが?

「そ、その男を捕らえろ!」


 このくらいは読める。魔族の関係者ともなれば国家転覆罪で処刑される。ただ、

「俺が国最強であることをお忘れで?」

 全ステータス5000超えの俺はそう簡単には捕まえられない。それに、

「氷龍の討伐ができるのは俺くらいなのにそれを捕らえたらどうなるか、お分かり?」

 氷龍の話が俺にきた時点で主導権は俺にある。さあ王よ、どうする?

「わ、分かった。対談は明日の陽が一番高く昇った頃、場所はここ。で良いな。宿を提供しよう。この城に泊まっていくといい。」

 城に泊まっていけ、という話だが、無視してテレポートで帰る。

「では、また明日。『テレポート』」

次回:第一部終演



次回、一章の最終話です!

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