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12話 華麗にスルーしてみた(かった)。

 さてどうやり過ごそうか。足音はもうすぐそこまで来ている。

「! 『瞬間移動』で逃げたらいいんじゃないッスか?」

「無理。ダンジョン内ではうまく使えない。」


 俺は、改めて自分のスコアを見て思い付く。

「『念力』」

 『念力』でこの通路の入口に壁を作ればワンチャン...!


 しかし足音は止まらない。...ミスった!


「ウチの出番やな。」

 言ったのはレネーだった。レネーは、

「『セディメント・ディル・テレーノ』」

と唱えた。

 大きな地揺れが起き、床が崩れる。確か『セディメント・ディル・テレーノ』は、大地魔法の最終段階で習得できる呪文で、効果は "地盤沈下" だった。

 何てことを。

 範囲は自由自在だが、ダンジョン内だと天井が崩れかねねない。

「おいバカ、何故やった? 確かに足音は地震に驚いて帰ったけどさ、こっちにも危険があるだろう?」

 こいつ...!


「まあでも、いなくなったならいいじゃないですか。」

「お前頭いいくせにわからないのか? 大抵の場合、ダンジョンに異変があった可能性があるとして、大規模な探索部隊を送り込んでくる。」

「「「「あ。」」」」


 回避するときは、こっそりする、が鉄則だ。レネーのように大事にしてしまうと大変な事になる。大事になっていくほど、対処は難しくなる。

 おそらくこの世界で地震はあまり起こらないので、一大事だろう。これを回避するのは至難の技だ。


「とにかく、部隊が来る前にここを脱出するぞ。」

 だが、その方法には一つ問題がある。それは、

「レネーはどうするんじゃ?」

 そう。レネーである。

「ウチは城に戻るわ。」

 そうか、城に帰れば解決だ。そこまで考え着かなかった。


 では、

「総員、出口へ走れ!」



 俺とテラとディオニルは飛んでたので然程疲れていないが、メリスとレネーが完全にダウンしている。


「『トゥニチティー』 これで大分楽になったろ。」

『トゥニチティー』は、白魔法の肉体疲労回復だ。どんなに体が疲れていてもすぐに治る。

「「ありがとう。」ッス。」


「ディオニル、レネーを送っていってあげたらどうだ? 『瞬間移動』で。」

「伝説の『瞬間移動』をウチに使ってくれるんか。そら助かるわ。」

「私もその方が良いと思います。城はここから近いですが、冒険者と会わないとは限りませんし。」

「まあ、急いだ方が良いらしいな。遠くから猛スピードで沢山の足音が近づいて来てる。」

 足音から性別や装備が大体分かる。集団はおよそ40人、内三分の二が男で大半が攻撃職。支援職は少数。装備的にダンジョン探索が目的らしい。

「じゃ、そうしようかの。」

 と言ってディオニルはレネーに触れながら呪文を唱えようとする。

 ん?

「あ、ちょっと待って。気づいたことがある。ここは下手に分かれるよりもまとまって居た方が良い。」

「どうしてッスか?」

「合流法が見つからないから。それと、多分城に居た方が安全だから。」

 携帯電話等の通信手段がないので連絡が取れない。だから合流は難しい。それに今街へ帰る必要もない。ならいっそ、城で過ごしても問題はない。

「では、そうしましょうか。」


「『テレポート』」

 ディオニルの魔法で城にワープした。



「あれ?」

 確か俺達、城にワープした筈では...?


 俺達は今、何故かいつもの街の入口に居る。幸い、門番はまだこちらに気づいていない様子。

「『テレポート』」

 俺はそう叫び、門から遠く離れた場所にワープした。


「おいディオニル、ちょっといいか?」

「は、はい。」

 さて、お説教タイムだ。


──数分後──


「分かった?」

「は、はい。」


 ディオニルによると、座標を間違えたらしい。俺からすると考えられないが、自動車のアクセルとブレーキのペダルを踏み間違えるような感覚だろうか。

 多分気づかれていないから良かったものの、一歩間違えれば大惨事だった。


「この後どうしますか?」

 どうするにもレネーが居ては目立ってしまう。レネーをどうにか城へ送りたい。

「契さんも『瞬間移動』使えるッスよね?」

「使えるけど、正確な位置がわからないから使えない。」

 俺が使えたら良かったんだが。

 と、俺は一つ閃く。

「レネー、ちょっといいか? 『エヴォルバー』」

 レネーがみるみるうちに人になっていく。実験成功!

『エヴォルバー』は『純白魔法』の終盤に習得できる呪文。効果は進化と退化。

 魔物の骨格は知らなかったが、動物が魔力で進化したレネーなら使える。相同器官を人の形にすれば言い訳だ。

「一応問題解決。」

「科学と魔術が合わさると最強だと思う。」

「どうしてですか?」

「お互いの欠点を補い合えるから。」

「なるほどです。」


次回 動きだしてみた。



科学と魔術が交差するとき、物語は...ってそれ以上はいけない。

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