10話 楽しそうな人達と遊んでみた。
現れた集団とは、武装した都の平民だった。何しに来たんだ?
見たところ、3~40人程度だ。俺が居るときに来てしまうとは、運のない奴等だ。ここは平和的に、眠らせて街へ戻そう。
俺は集団にディオニルからもらった促睡呪文を唱える。
『ツト・ソンノ』
集団の大半は眠ったが、まだ起きている者も居る。ではこれでどうだろうか。
『ツト・ディメンティカンド』
さっき『心理眼』で心を覗いたところ、大半は怒りの感情だったので、その原因を忘れさせてしまえば収まるだろう。
また、記憶を失うと一時的に体が動かなくなる。
凄い、一人残った。
こいつはどうしようか。
『グラヴィタ』
とりあえず重力魔法で動きを封じた。
ここからは、彼には魔法の実験台になってもらう。
『ルスリア』
使ってみたかった催淫呪文。どんな感情に変わるか楽しみだ。
『アペティト』
異常に腹が減ったような感覚になる呪文。『ルスリア』と組合わさるとどうなるだろう。
『ピグリズィア』
なにもかもが怠くなる呪文。ここまで来ると彼の感情は崩壊するだろう。
そして彼の心を『心理眼』で覗く。
案の定、心のなかはめちゃくちゃになっている。性欲と食欲が限界に達していて、その2つを怠さが邪魔している。今にも自己崩壊を起こしそうだ。
可哀想なので元に戻してあげた。
さて、次はどう遊んでやろうか。
『アルテラ』
記憶を改竄する呪文。今即興で作った"ゼノム"という人物を彼のなかに作り上げた。
今までの彼の存在の記憶とゼノムの記憶とが互いに干渉し合い、自己矛盾を起こしている。
可哀想なので元に戻してあげた。
最後にこういう風に遊ぼう。
『イニィダリッツァゾーン』
記憶を強制的に5時間前に戻す呪文。
『セヴェニメンティ』
失神させる呪文。数分もすれば目を覚ます。
あとは全員まとめて城外へ放り出そう。
『テレポート』
美味しいディナーの後に、素晴らしいデザートを頂けた。悪くはないパーティーだった。
そろそろ明かりをつけよう。暗いままだとあれだし。
『ルース・フォルティメント』
「契さん、何があったんですか? 暗くてよく見えませんでした。ただ、契さんが沢山魔法を放っていたのでよくないことがあったのかと。」
「[暗くてよく見えませんでした。]は嘘だろ。『暗視』持ってるクセに。」
「バレてましたか。でも、微妙に見えなかったのは本当です。何故か集団が黒い影で覆われていまして。」
「あ、それ俺の所為だわ。2~3回『暗黒魔法』を唱えたから。で、さっきのは予期せぬ来客だ。暇だったから遊んでもらった。」
「そうでしたか。それにしても、周りがそれ程騒ぎにはならなくて良かったです。『暗黒魔法』はお姉ちゃんくらいしか使える方はいないので、もしバレたらいろんな意味で大変だったのですよ?」
「分かってるよ。」
パーティーは襲撃のこともあり、大事をとって中止になった。
◆
俺達は、いつもの宿屋に帰っていた。
やっぱここが一番落ち着くわ。
「ところで契は何時、何処で『暗黒魔法』を習得したのじゃ?」
「さっぱりな。気が付いたらスコアに『暗黒魔法』って書いてあったんだ。」
「少しばかり契のスコアを見せてもらっても良いか?」
「まあ、いいけど。」
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名前 : 陽谷 契
性別 : 男
レベル : 13
クラス : 無所属
年齢 : 21
種族 : 人間
ステータス
体力 : 5524 Full
筋力 : 5384 Full
攻撃力 : 5616 Full
防御力 : 5377 Full
魔力 : 5493 Full
魔力容量: 5748 Full
知力 : 5755 Full
総合評価: Full
スキル ポイント 164
・--- 飛翔 習得済
・--- 白魔法 習得済
・--- 黒魔法 習得済
・--- 催眠術 習得済
・--- 状態異常耐性 習得済
・--- 千里眼 習得済
・--- 暗視 習得済
・--- 心理眼 習得済
・--- 再現 習得済
・--- 剣技 習得済
・--- 狙撃 習得済
・--- 投擲 習得済
・--- 拳技 習得済
・--- 回避術向上 習得済
・--- 移動速度上昇 習得済
・--- 跳躍力上昇 習得済
・--- 瞬間移動 習得済
・--- 暗黒魔法 習得済
・--- 純白魔法 習得済
・275 召喚 (Lv99 MaxLv100)
・--- 戦意喪失 習得済
・--- 念力 習得済
討伐した魔物
・コアットロ 4
・カプラエノーム 3
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凄いことになっていた。全ステータスが5000以上とか、チーターもいいところだ。
「改めて見ると凄いですね。」
「ば、"バケモノ"ッスか!」
「『暗黒魔法』の他に『純白魔法』や『召喚』まで。一体何者じゃ?」
「"バケモノ"は、流石に傷付くからやめてくれ。」
が、確かに怪物級だ。一対一では俺に勝てる奴は居ない。まさしく"世界一"の強さだ。
「ステータス高い割にはまだレベル13で、クラスにも目覚めていないんじゃな。」
「ああ。あまりモンスターを倒していないからな。確か、レベル15になればクラスに目覚めるんだっけか。」
「じゃあ、明日はダンジョンに行きますか?」
「お、いいッスね。新調した武器の試し切りをしたかったんスよ。」
「わしもじゃ。」
「決まりだな。じゃ、もう遅いし寝るか。」
と言うわけで明日はダンジョンに行くことになった。
「暗転時の契さん、悪役みたいでしたよ。」
「それ自分でも思ってる。」
「"と"遊ぶ、よりも"で"遊ぶ、の方が正しいですよね。」
次回 地下迷宮に行ってみた。
契、安全にダンジョン攻略できるとでも思ったか!