「ステータス、オープン」
ほぼ説明回です。
教会への移動中、この世界の知識を整理してみた。
手始めにルーナから知りえた事。
ただし、ルーナはこの町から出た事がほとんどないし、情報源はほぼ教会なので、世界的な常識とは言えないかもしれないが。
ーーこの世界は『アース・デルマ』というらしい。創世神デルマの名前から取ったらしい。
神様の後輩、カッコいい名前だったんだ。
神様からの情報通り、剣と魔法の世界。
暮らしぶりは、中世に近いスタイルみたい。
しかし魔法と魔道具は、生活のあらゆる場所に使われている。
それならさぞかし生活は楽だろうと思いきや、魔力が無ければ全く意味をなさない。
パソコンも、電気が無ければただの箱、みたいな?
魔道具もそれなりの値段がするので、一般家庭にはほとんど浸透していない。
だが公共の場所には大抵使われている。
例えば井戸。江戸時代の日本では自分で水を汲む必要がある。
しかしここでは、水の出口にちょっと触れるだけで水が出てくる。
蛇口をひねる感覚だ。
止める時も同じ。
井戸には魔石が埋め込まれているので、たやすく魔法が発動する。
時折水の魔力を持った人が魔力を魔石に込め直している。
これは言わば使用料のようなもので、魔法を使える者は、自分の使える属性の魔石に魔力を寄付している。
ルーナは土と風の属性を持っている。
なので農具や風車の魔石に時折魔力を込めている、という具合に。
ここは『グラン・モリス』という王国の、やや辺境にある宿場町、『ケビナ』。
王都『ニュー・モリス』に次いで大きな町、『オールド・モリス』と、開発の進む辺境地『西カーム』とのほぼ中間に当たる。
その為、人も物資もそこそこ行き交う町とも言える。
しかし、ルーナのいる教会は、ケビナの町外れにある。
ルーナは町の人以外を見かけることは、あまりない。
時折ちらっと見かける程度だ。
町の住人はほぼ人間か、人間との混血で、見た目はほぼ人間そのもの。
獣人、妖精、エルフ、ドワーフ、魔族、ドラゴン、他、etc……がいるのは知っているらしい。
さすが剣と魔法の世界。
ぜひ、実物にお会いしたいものである。
不意に疲れを感じたので、一旦立ち止まって休憩を入れる。
ルーナの体力のなさを忘れていた。
手持ち無沙汰なので、お決まりのアレをやってみた。
……実は今まで機会を狙ってたんだ。
アレ、とはもちろん……。
「ステータス、オープン」
ルーナが最後に開いたのは随分前だ。
いつでも見られるし、特に気にしたこともなかった。今日までは。
ステータスの確認なんて、重要って感覚、なかったからね。
さてさて……。
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名前:ルーナ(エリゼ)
レベル:3
年齢:12~13
体力:3/12
魔力:22/22
スキル:
異世界神の祝福《腐蝕》:レベル MAX (他者鑑定拒否)
土魔法:レベル2
風魔法:レベル1
腐蝕耐性:レベル1
装備:古着 古靴
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んん??
弱い……は、いいとして、何か色々……?
てか、まず名前!……え?エリゼって?ルーナでしょ?
前の私も留宇奈だよ。エリゼじゃないし。
苗字は、えらい人じゃないとないみたいだし?
ん?あ……そういう事?
ルーナの情報で分かった。
捨て子だった私に、シスターが「エリゼ」と名付けてくれたらしい。
しかし、2~3歳くらいの頃から時々、自分の事を「ルーナ」と口走るようになったみたい。
もしかしたら、まだ留宇奈の記憶が残ってたのかな?
シスター達は、もしかしたら何かの拍子に捨てられる前の記憶があるのかも、と、結論づけ、結局「ルーナ」としたんだとか。
ああ……焦った……。でも。
よし、謎は1つ解けた。
次に腐蝕耐性……腐蝕に比べて弱っ!
明らかについででくれただけでしょ……。
はあ……。レベル、上げなきゃなあ……。
土魔法と風魔法は、まあこんなものかな。
ルーナもレベル3だし。
装備は見た目通りとしか言えない。あるだけまし。うん。
そして最大のツッコミどころは、やっぱりあれ。そう、腐蝕。
レベルMAXはいい。さすが祝福。
けど、他者鑑定拒否って?
鑑定スキルはあるだろう。うん、よくあるよ。よく読んでた。そういうの。
何で拒否する必要があるんだろう。
戦闘とかにメッチャ役立ちそうじゃない?
あれか?異世界神、とかがいかがわしいのかな?
ルーナの教会は、創世神の妻、慈悲と愛の女神『オルファム』が主神だし。
腐蝕に慈悲はないなー。
まあ、大っぴらに見せるものでもないし、特に気にしなくてもいいか。
ようやく疲れが取れてきたので、再び歩き始めた。
この分なら鐘が鳴る前に帰り着けるだろう。
だが、この教会での生活がゆううつなのだが……。
次回の更新は少し遅くなるかもしれません。
設定があふれてしまい、整理しなければなりません。
気長に待って頂けると嬉しいです。