お決まりのプロローグ3
これにてプロローグ終了です。
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「問題がある」
「……問題、ですか?」
「問題は、あの世界を作ったヤツさ」
お知り合いのようだけど、えらく気に入らないみたい?
「あんなヤツが造った世界なんて、信用ならないさ。だいたい転生希望者に細かい条件をどっさり付ける割には、あーでもない、こーでもないっていちゃもん付けて断ってくるし。そのくせ紹介者が少ないって、上に言い付けるし。どうしろっての」
神様は愛らしい頬をさらに膨らせてプンスカ怒っている。
ちょっと可愛い。
「後輩のくせにだよ?しかも『先輩の世界には、夢やロマンが足りないんじゃないですか?』とかほざきやがって」
あ、出来のいい後輩に対するやっかみか。
大体問題分かった、てか世界関係ないじゃん。
完全に人間?関係じゃん。ふー。
「……私を思いやって下さる、神様のお気持ち、深く感謝申し上げます」
ここは懐柔策だ。
分かりやすく、深々とお辞儀をし、なるべく慇懃にならないよう、声に精一杯感謝を押し出す。
「う、うむ」
神様も熱くなった頭が少しは冷えたようだ。
「ですが、神様が折角勧めて下さった世界ですから、検討したいのですが宜しいでしょうか?」
「……まあ、そこまで言うなら、よかろう」
すでに神様のご機嫌は直ったらしい。伊達に大人スキル身に付けてないよ?
「異なる世界に転生せし汝に、我が祝福を与えん。然れども神々には守らざるを得ぬ規範あり。他の神に造られし世界に干渉しうる祝福は唯一なり」
ん?急にどうした?いきなり神様っぽい話し方になって。何のスイッチ?
えーと、カッコいい言い方してるけど、何かもらえる能力は一個だけって事?
「然り」
いや、そういうのもういいから。
しかし……一つだけって、こりゃ良く考えないと。
剣と魔法……だったらまずは魔法。
魔法って、魔法だよ?あの。
魔法、使えちゃうんだよ?
はっ。変にテンション上がっちゃった。いかん、いかん。
魔法……戦闘系より後方支援系がいいな。
消極的かもしれないけど、命あっての物種。
こうして死んでみて、命のありがたみが分かったんだ。
って事は、回復系とか。ニーズ多いだろうし。
いや、待て待て。
一昨日読んだラノベに、回復スキルがあるが故に、私生活のかなりの時間を取られてた女の子の話があった。
本人はやりがいを感じてたし、それで満足してたみたいだけど、私には向いてない。
自分の時間も大事にしたいよ。
となると……ガードとかバリア……、何とか耐性、時空間とか、未来予測、何かを手なづけ系、そんなとこか。
「それ全部、魔法使えるようになれば、大抵はできるよ」
な、なんですと?
魔法……さすが魔法。
ホント便利だね。
あ、だから魔法か。
と、なると……どんなのをもらえばいいんだろう。
「じゃあ、その世界でも珍しいのをお願いします。何人も使い手がいないような」
珍しければ、それだけ重宝されるよね。
本当は自分だけって言おうとしたけど、ある意味ボッチなのは嫌なんだ。
「ふむ……珍しい、とな」
あ、神様ぶりっこまだ続けるんだ。
神様は長い事考えた。
時々起きてるのか確かめたが、一応起きていた。
瞑想?してたみたい。
「よし、決まった。汝に祝福を授けん」
神様の手に豪華な杖みたいなのが現れ、光り出した。まぶしい。
「汝、鈴木留宇奈。そちに祝福『腐蝕』を授けよう。彼の異世界の規約に則り、対となりし祝福『腐蝕耐性』も共に授けん。汝の選びし異世界へと、いざ、転生せん!」
神様の杖の輝きが一気に増し、もう目を開けていられない。
え?いや、私まだ選んだなんて一言も言ってないんですけど?
ちょっと!!神様あああ?
必死に抗議するも、何やら逆らえない力で引っ張られて行くのを感じる。
ああ、こりゃダメだ。もう剣と魔法の世界で決まりか。
まあ、割りと最初から決めてたし、いいけどね。
鈴木留宇奈、異世界に転生します!
神様に感謝します!
けど、最後に「ふはあ……一仕事終えた後のビールはうめえ……」って聞こえたのは忘れないからね!
--次に目を開けると、そこは見渡す限りの草原だった。
次は成長編です。短め予定です。