甘い蜜柑と華麗
二週間ぶりです…
本当に遅れてすみません!
某アリーナ
アリーナ内は完成で包まれていた
「みんなのおかげで今日は最高のライブになりました!」
「みんな!今日はありがとー!」
『雨衣みかん』は満面の笑みで観客へと振る舞う。
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「雨衣!お疲れ様!」
「お疲れ様です!」
「外に、もうタクシーが待っていますので」
「いつもありがとうございます!」
雨衣はプロデューサーの前でも笑顔を絶やさない
「じゃあ今日は本当にお疲れ様でした!」
そういった雨衣は、タクシーへと向かっていった。
「…………」
「雨衣、絶対俺に気があるって…」
「へへっプロデューサーも大変だなぁ…」
雨衣のプロデューサー『田中 孝太』は、彼女に気が合った。
それは、現代でいうストーカーのように
彼女の発言は盗聴器で録画
彼女の写真
彼女の衣装
ましてや、彼女が使っていたマイクまで
すべて自分の物のように集めていた
それは、もう狂気と化していた
「そろそろだな…」
田中は雨衣の後姿を眺めながら口元を緩めた
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タクシー内
タクシー内ではラジオニュースが流れていた
『本日23時頃、またもや切り裂き魔と思われる殺人事件が発生しました。』
『被害者は―――――――――――』
華麗な切り裂き魔。
私の憧れの人。
被害者の目の前にだけ現れて、被害者の死体の前で去っていく。
そんな華麗な切り裂き魔のようになりたくて私はアイドルになった。
毎日毎日努力して華麗なアイドルを目指した。
なのに…
『あざとい萌え系アイドル『雨衣みかん』ちゃんのスペシャルライブが今日開かれました!』
そう、私は華麗にはなれなかった。
ましてや華麗とは真逆の存在だった。
ファンも華麗とは一言も言ってくれない
『かわいい』『あざとい』なんて聞き飽きた。
『時刻はもう新しい一日へと向かおうとしています、』
『では皆さん、おやすみなさい。』
「あ、ここまででいいですよ!」
「ありがとうございました!」
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深夜0時、外はすっかり暗い空になっていた
「ふぅ…」
雨衣の住んでいるマンションまでは後、徒歩五分という感じだ。
「一度でもいいから、会ってみたいなぁ…」
「まぁ、そんなこと――――――――」
瞬間だった。
雨衣はすぐに感じた。
背後に来る視線を
『誰だろう…』
『後ろを振り返って――――』
その時雨衣は思い出した。
切り裂き魔の特徴を
『まさか…』
切り裂き魔には、いくつかの特徴がある。
1、犯行現場は監視カメラが設置していない場所。
2、第一損傷がいつも背中のため、背後から現れる。
3、犯行は23時から25時の間。
4、速報で犯行が一時間以内に報道された場合にのみ、24時から25時の間でもう一度犯行を犯す。
24時、背後に視線、監視カメラがない、ラジオで24時になる前に速報で報道された…
「全部あてはまる…」
雨衣の手は震えが止まらなかった。
それは、恐怖か。
それとも、歓迎か。
それとも――――――――――――――――
『深夜24時ごろ、本日二度目の切り裂き魔と思われる事件が発生した模様です!』
『被害者は『田中 孝太』さん27歳男性で…』
『あの『雨衣みかん』さんのプロデューサーと思われます。』
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警察署内
「切り裂き魔じゃない?」
「ああ、今回の事件は、奴ではないと俺は思っている。」
「まぁ、上は奴として調べるそうだが…」
「なんで先輩は違うと思ったんですか?」
「犯行までのかかった時間がおかしいんだよ。:
「時間?」
「奴は一日二回の犯行をするときは、40分以内に終わらせるんだが…」
「今回の死亡推定時刻を比べてみろ…」
「…あっ!」
「気づいたか…」
「奴は今までミスはなかった。」
「なのに今回は…」
「56分なんて、変ですよね…」
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甘い蜜柑が華麗になるとすれば
それは、甘いのではなく――――