女子高生とアイドル
不定期ながら、なんとか一週間以内で更新することが出しました…
さてさて、今回も、いつも通りの長さです。
このまま週一で更新していきたいところです…
「はぁっはぁ……」
時刻は23時30分。
日本はあと数分で日付が変わろうとしている頃。
とある路地裏は殺伐とした空気に包まれていた。
「なんで、私がこんな目に…」
一人、背後を気にしながら逃げている女性がいた。
まるで、誰かに追われているかのように
「誰かっ!助けてください!」
そう、彼女の背後には――――――
「……………――――――――」
刃物を持った黒い服に包まれた者が彼女を追いかけていた。
「こんなことならお母さんの言うことを聞いていればよかった…」
―――――――――――
『友達の家行ってくるね。』
『ちょっと奈緒!今日は早く帰ってくるのよ!?』
『うるさいなぁ…私だって遊びたい年頃なんだから黙っててよ…』
『アンタそれでも受験生!?』
『このまま大学おちるわよ!』
『うっさい!もう行くね!』
『あっ!?まだ話は終わってないわよ奈緒!』
―――――――――――――――――――――
「はぁっ…はっ…」
「もうやあだぁ…」
彼女の眼は赤く染まり、目元には涙が溢れかえっていた。
走り回っている彼女に一本の曲がり角が現れた。
「ここを曲がれば!路地裏を抜けられる!」
涙を流しながら微笑を浮かべた。
早く、一秒でも早く。
そうすれば警察に―――
そう彼女が期待した先には―――――――
「えっ…?」
「嘘でしょ…?」
行き止まりの壁が建っていた。
「…………」
絶望の顔に染まった彼女の背後に奴は立っていた。
「ひぃっ!?」
「…」
そして刃物を振りかぶろうとしたとき―――――
「えっ?女性――――――」
腕の動きが止まった。
彼女の眼には、華麗な笑みを浮かべた女性が刃物を握りしめていた。
――――――――――――――――――
某アリーナ内は、大きな歓声に包まれていた。
アリーナ前ではアイドルのライブチケットが販売されていた。
そう、今日はここで某有名アイドルのライブが行われる。
一人のアイドルを皆待っているのだ。
そのアイドルの名は―――――
「みんなー!みかんを待ってくれてありがとー!」
『雨衣みかん』
彼女は、今全世界で最も話題とされているアイドルだ。
さらりとしたロングヘアに、明るい笑顔が、会場にいる皆の視線を一点に集中させた。
「今日は、最高のライブにしようね!」
そのセリフとともに観客の歓声が響き始めた。
「一曲目!『summer orange!!』」
その瞬間、音楽がアリーナ内に鳴り響く。
――――――――――――――
「せんせー!おはよー!」
「おはよう!今日も元気に一日頑張ろう!」
朝8時、多くの子供たちが保育園に来る時間だ。
表の顔の私は、笑顔で子供達を迎え入れる。
園児達を送り迎えしていた母親たちの会話が聞こえた。
――――――――――――――――
『知ってますか?朝流れたニュースの…』
『あの、女子高生が行方不明になったっていう?』
『有名な通り魔半に襲われたっていう噂もたっているらしいですよ?』
『でも、通り魔に襲われたなら殺されているんじゃ?』
『それが、今までの通り魔事件と同じようにメモが置いてあったらしいんですよ。』
『それは怪しいですね…』
『本当に怖い世の中だわ、早く、通り魔も捕まってくれないかしら…』
―――――――――――――――――――――
職員室内
「はぁ…」
斉藤は机に置いてあったお茶を飲み、考え事をしていた。
『通り魔かぁ…』
『朝から警察は大変だよね…』
『行方不明なんて本当に…』
その時、斉藤の携帯に着信音が鳴り響く。
「もしもし、斉藤です。」
数分の時間が経ち、彼女は電話主と会話を終えた。
そして、華麗な笑みを浮かべて―――――――
「今度、会いに行ってあげないとね…」
そう呟き携帯を捜査していき、とあるページを開く。
「…」
文字を打つ音だけが職員室内に聞こえている。
「さて…そろそろ一緒に遊ばないと…」
携帯をポケットにしまい斉藤は校庭へと向かった。
―――――――――――――――
携帯の入力画面には、『和田 奈緒』と入力されていた。
女子高生とアイドルは全くもって関わりがないとは限らない。
自分が知らなくたって、相手は知っている場合もある。
それは、一種の出会いではないのだろうか