転生者
転生者の話を読んでふと思いついた作品です。
何か、意見があったら是非下さい。
−私が、解放されるトキはあるのだろうか……?
最初は……
あぁ、メイドだった。
勇者達を出迎えるだけの、
次に親友だった。
ヒロインの背中を押すだけの、
妖精だった。
彼の側にいるだけの、
名もない側室だった。
あの子を嫉妬するだけの、
パン屋の娘だった。
看板娘をやるだけの、
次はなんだったか……
忘れてしまったけれど私は沢山の脇役(役目)を果たした。
そして、役目が終わったと言わんばかりの死に方を沢山してきた。
最初はまだ残っていた魔物に、
次にヒロインの彼氏が邪魔だと云わんばかりに、
彼を守るため代わりに、
嫉妬のあまり自分で、
過労死に、
私は沢山生きて、死んでいった。
私は何時だって脇役だった。
私が何回転生しようか関係ない。
決して主人公にはなれない、
使い回しの脇役でしかない。
脇役なら、
前世の記憶なんてイラナイノニ、
ずっとずーっと植え付けられたまま。
違和感なんてとっくにない。
転生した後も記憶は残り続ける。
定めなのか、
運命なのか、
使命なのか、
未だにわからない。
溢れ出そうなこの記憶が、
怖い 恐い こわい。
いつか、自分が壊れていくような気がして、
自分が自分じゃなくなりそうで、
違う。
それが本当の私がわからなくて、
惑わされる。
この記憶は、
全部私じゃない。
けれど、
それは確かに私の物で…
私(本物)じゃなかった。