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背中の少女

「やばい急がなきゃ!遅刻する!」

僕は室戸聖夜、旭高校2年生のごく普通の高校生だ。

ゴールデンウイークの連休明けにいきなり遅刻しそうになっていて自転車を大急ぎで走らせているところだ。

「あと5分もあればつくな!」と、左手につけてある時計をちらっと見て瞬間小さい女の子が路地から飛び出してきた。

「あぶない!!」僕は少女から急いでよけた。だが急いでよけたため僕は転んでしまった。

「いててててー」いろんな処を打ったがすべてかすり傷程度だった。

そして、痛がっている僕の前にその少女が駆け寄ってきた。とても心配そうに見下ろしてきているが、何もしゃべろうとはしなかった。

少しの間沈黙が続いたので耐え切れず僕が話し始めた。

「だ、大丈夫かい?けがはない?」と尋ねたが、少女は首を縦に振るだけで何もしゃべろうとはしなかった。

また、沈黙が続きそうになったのでまた僕は尋ね始めた。

「えっとーなんで一人なの?もしかして迷子?」少女は、首を横に振った。どうやらしゃべる気は全くないらしい。

「じゃあお散歩か何かしていたのかな?」この問いにも少女は首を横に振った。

「じゃあー何してたのかな?」と尋ねると何も答えずに目で何かを訴えていた。

とても寂しそうで、まるですべての悲しみがわかっているかのようだった。

こんな少女にそんな目をする悲劇があったのだろうか?

そう思うとほっとけなくなった。

「じゃあ家まで送っていくよ」少女は首を縦に振った。

「よし、じゃあ自転車の後ろに乗って!本当はいけないんだけど内緒ね!」しかし、少女は言葉は何も発しなかったが何かを顔で訴えていた。

「んーなんだろうなー。あ!じゃあおんぶしてあげるよ!」少女はその答えを待っていたかのように首を縦に振った。

「えっとー家はどっちかな?」

少女は自分の本当の目的地旭高校の方面を指さした。

「そうだ!学校もう遅刻じゃないか!」

「はあーまぁ今日はしょうがないか、じゃあいこっか!」ため息を一つついた後すぐに開き直り少女に言った。

少女は縦に首を振った。

自転車を走らせながらいろいろなことを思い浮かべていた。

なぜ喋らないのか?それとも喋れないのか?そしてなぜ一人でいたのか?

この位の子なら普通に中学校?いや小学校に行っててもいいくらいの時間なのに。

と、考えているうちに少女が指をさしあっちへ行けと言葉を発さずに指示してきた。

「あっちなのか!ん?でもあっち海だぞいいのか?」と、ちらっと後ろを向いた。

少女は首を縦に振っていた。

本当にいいのだろうか?でもまぁとりあえず行ってみるしかないかと思い自転車を走らせた。

そして海につきとりあえず自転車から降りた。

「どっち行けばいいのかな?」

少女はずっと砂浜が続いている何もないほうを指さした。

「あっちはなにもないけど?」と尋ねると、少女は首を横に大きく振った。

本当になにもないずなのに?なぜそんなにあっちへ行きたいのかはわからないがとりあえず進むことにした。

そして大体2kmほど進んだころだろうか?

少女が僕の肩をたたいて指をさした。指をさした方向には大きめの石ころくらいの黄色く輝いた石が落ちていた。

「なんだろうあれは?」

僕も少し興味があったからか、少しずつ近づいて行った。

そしてその石を手に取った瞬間、少女が僕の肩にしがみついていた片方の手をその石にかざし目を閉じた。

そしたら黄色い玉は黄金に光った。

「な、なんだよこれ!これはなんなんだ!」大きな声で少女に尋ねた。

しかし少女は目を閉じたまま何もしゃべらなかった。

そして、黄金の玉が空に高く上がっていき、そして強く光った。そして僕は目を閉じた。

数秒したらだろうか?光がなくなり目を開けた。

「何がどうなっているんだ?ここはどこだ?」

さっきまで目の前にあった大きな大きな海がなくなり、見渡す限りの草原の世界に僕立っていた。

そして背中の少女が僕の肩を大きく何回も叩いた。そして僕は背中の少女を見て言った。

「痛いよ!どうしたん…」途中で声が出せなくなった。それも当然だ少女の後ろに、いや僕の後ろに大きな剣を持った、まさに傭兵のような男が立っていたのだ。

しかしその大きな男は目を閉じたまま動かなかった。

「早くそいつを殺しなさい!死にたいの?」どこかで女の子が大きな声で叫んだ。

「誰だ?誰なんだ?」怖くなって大きく叫んでしまった。

「あなたの後ろにいるじゃない!ずっと話しかけていたのよ?やっと聞こえたのね!」

「後ろ?後ろには大きな男と僕の背中にいる小さな少女しか…え!君が喋っているのかい?」

「そうよ!それしかないでしょう!」

だがその子は確かにしゃべっていただが口が動いていなかったのだ。

「君、どうやってしゃべっているんだい?」

「そんなのテレパシーに決まっているじゃない!私はわけがあって言葉が喋れないのよ!」

「テレパシー!?そんなのどうやってるんだよ!?」

「そんなの後よ!それより早くそいつを殺しなさい!目を覚ますわ!」

「なんだよいきなり!そんなことできるわけ」

そんなことできるわけない。と言おうとした瞬間後ろの男が目を開いた。

目は赤く光っていて今にも襲い掛かってきそうだった。

「ぬぅおぉぉぉぉう」剣を抜いて僕に襲い掛かってきた。

「うわー」ぎりぎり剣は当たらなかったけど剣を振りかざした風圧で飛ばされてしまった。

「何をやってるの!目を覚ましてしまったじゃない!こうなったら仕方がないわねあなたも戦って!」

テレパシーで後ろの少女が叫んだ。

「どうやってだ!あんな化け物みたいなやつに勝てるわけがないだろ!」

「力よ!力を使いなさい!この世界には人それぞれに不思議な力が使える世界なのよ!」

「そんなのどうやって!僕はそんな力なんて持っていないよ!」

「祈って!力を欲して!その思いが力になるわ!」

言っていることがまったくわからなかった。だがやるしかないと思った。

そっと目を閉じて祈った。

しかし大きな男は剣をもってこちらに走ってきていた。

「君!祈るのは一回中止よ!よけてから体勢を立て直して祈りなさい!」

だが僕は祈ることをやめようとはしなかった。

「早く!よけなさい!もうすぐそこまで来ているのよ!」

力。力がほしい。この化け物を倒す力が!

そして、男が剣を振りかざそうとした瞬間。

僕の体が大きな光で包まれた。そして大きな爆風が僕の周りにおき、男は飛ばされた。

そして僕の左手には僕の腕と同じくらいの長さの剣、右腕には僕の腕の二倍くらいの長さの剣が握られていた。

左手の剣は緑の輝き、右手の剣は赤の輝きを放っていた。

「すごい!ものすごく手になじむ。まるでさっきから持っていたかのように」

「緑の輝きを持つものは、平和を望むもの。赤の輝きを持つものは、破壊を望むもの。ありえないこの二つが同じ者の手にあるなんて!あなた!いったいなんなの?」

後ろの少女が驚きながらテレパシーを送ってきた

「そんなのわかるわけないだろ!話はこれが終わってからだ!」

「ぬがぁぁぁうおぉぉ!!!」

爆風で飛ばされた男が起き上がってきて、またこちらに走ってきて襲い掛かってきた。

そして僕もそれに対抗して両方の剣を振った。

「うおおおおお!」

敵の剣に自分の両方の剣を当てた。

ものすごく軽く感じた。思いっきり剣を振りかざすと、男はふっとんっでいった。

だがまだ倒れてはいなかった。再びこちらに襲い掛かってきそうになったが。目の前に室戸聖夜の姿はなかった。

素早く、とても素早く走れた。目で見える遠くの距離なら一瞬で行けるくらいの速さだった。

そして、男の後ろに回り込んだ。男は気づいた瞬間振り向き剣を振り下ろそうとしたが室戸の速さには追いつけなかった。

「これで終わりだー!」

と、叫び男を斬った。そして男は血を吹き出しもせず、ただ暗闇に消えていった。

そして我に返った。

「え?なんだ?あの男はどうなったんだ?」

「地獄へ帰ったわ」

「え?」

この子が言った言葉にも驚いたが何より驚いたのは。

「喋った?口で?」

そう。喋ったのだ。この子がちゃんと口で。

「なによ!驚くことそっちなの!?呆れたわ!しかもさっき飛ばされたときあたしを置いて戦いに行っちゃうしね!」

「それはごめん…それより地獄へ行ったってゆうのはどうゆうこと?」

「すぐに話を戻すのね…まぁいいわ教えてあげる。っとその前に軽く自己紹介ね!あたしは工藤飛鳥!あなたは?」

「室戸聖夜だよ」

「聖夜ね。わかったは教えるわね。ここは地獄と天国の狭間の失われた場所。いわばロストワールドね!」

「ロストワールド?」

「そう!本当はね天国と地獄の間にもう一つ世界が存在したのよ。それを地獄の悪だくみをしてる連中がその世界をのっとってしまったのよ。だから私はその失われた世界を取り戻すために生きている人に力を借りているわけ。てゆーことでこれから私のため、いや世界のために働いてね!室戸君」

「働くってなんですか!?まさかまたあんなのと戦うんじゃないでしょうね!」

「そうよ!あなたは地獄の者の象徴の赤の光と天国の者の象徴緑の光を持つ今まで見たことのない人間よ!絶対働いてもらうわ!」

「そんなの無理ですって!僕学校いかなきゃいけないんですよ!」

「大丈夫よ!現実世界の一秒はここの世界じゃ二時間なの!だからこの時間もあっちじゃ本当に一瞬の出来事なの!だから安心して働いてね!」

「そんな…そんなのやだよーーーーーーー!」

こうして僕の物語は始まっていった。

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