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22話:突然の電話

今月かなり忙しかったです(-_-;)

かなり更新は遅れてしまいましたが……すみません。

 ぜーんぶ好きっ!


 って、恥ずかしすぎるでしょ! 乙女かっつーの、私……。

 なんて思い出したら、また顔が熱くなって、思わず枕に顔を埋めた。

 ふんわり、甘い香りがする。柔軟剤の香りだろうか?



「杏奈さん、何やってるんですか? 今日の事は私のせいじゃありませんわよ?」

「わかってるよ……!」

 


 むきになって、麗子の方を睨むと、麗子は口元に少し上品な笑みを浮かべていた。

 それがまた癪にさわる。いや、麗子のせいじゃないってことは分かっているんだけど……。

 やっぱり誰かにぶつけないと気が収まらない。むず痒い感じだ。

 


「じゃあ、話題を変えましょう。杏奈さん、いつまでここに居るつもりですか? お父様はどうするのですか?」



 なかなか痛いところを突いてくるものだ。

 私は思わず口をつぐんだ。すると、麗子は上を向いて、何かを考え込むような仕草をする。



「でも、どうして何も連絡が無いのかしら? 学校に来るぐらいはするはず……」



 たしかにそうかも……。

 


「もしかしたら、伯さんは何も言っていないのかもしれない。でも、どうして……?」



 考えてみても、まったく分からない。

 謎が多すぎるのだ。

 朝見た光景、退職、父の事……全部が一筋の線でつながっているように思えるのに、そうでもないようにも思える。

 


「分からないのなら、直接聞くべきだと思いますけど……」

「それは――」



 もし、あの婚約者と一緒に暮らしてたら? 冷たく追い返されたら?

 それはとても怖い。怖くてたまらない。私は会いに行く勇気も真実を知る勇気もないちっぽけな弱い人間だから……できない。

 そう思うと、自身がひどく惨めに思えてきた。



「それでも、杏奈さんのお父様がこの事をお耳にしていないのでしたら、大変な事ですよ」

「っそれは、そうだけど……」

「とにかく、お父様には早めにご相談をするべきですわ」



 麗子に強引に話をくくられてしまった。

 きっと、早く言わないと耳にたこができそうなほど言われる気がする。

 それでも、父にその事を言うのには、気が向かなかった。

 父はどんな反応を示すだろう。怒るか、失望するか……どちらにしろ、いい応えがないのは確かだ。


 と、どんどん憂鬱な気分に陥っていく。

 そんな気分をかき消すように、電話が鳴った。



「あら、電話ですね。誰でしょう?」



 麗子が部屋から出て行こうとすると、音は鳴りやんだ。誰かが受話器を取ったようだ。

 すると、どすの利いた太い声でお嬢と呼ぶ声が聞こえた。

 お嬢……麗子の事だ。

 


「私に電話のようですわね。今、出ます」



 夜の9時。こんな時間に誰なんだろう? 

 そう思っているのは、麗子も同じようだ。眉根を寄せながら、腰を上げた。



「杏奈さん、ちょっと出てきます」

「あ、うん」



 麗子が席を外したのをいいことに、また考えを巡らせようとした。

 しかし、今度は麗子が私の名前を呼ぶ声が聞こえた。

 まさか……。私の胸にある期待が募った。急いで、電話口に向かう。



「杏奈さんに代わってと……」

「誰!?」

「あの、その……例の婚約者だと」



 麗子の不安そうな声が、期待をしぼませ、逆に緊張が体を走る。

 おそるおそる受話器を受け取った。



『あら、杏奈さん? こんばんは、伯の許嫁の柚木です』



 電話の主は高く美しい声だった。それでいて、意気揚々としたような嬉しさが読み取れる。 

 胸にざわりとした不安がよぎった。



「柚木……さん」

『この前はごめんなさいね。いきなり貴方を殴ってしまって……』



 柚木の声色には、全く反省の色がなく、逆にからかっているようにも聞こえた。

 そんな柚木の態度に思わず、むかっとしてしまう。



「どうして、麗子の家の番号を知っているのですか? それに……」

『それは伯に教えてもらったの。あぁ、それと。今日、電話したのはね、貴方がまだ未練を持っていそうだから、忠告しといてあげようと思ったの』



 やっぱり、伯さんと連絡とってるんだ……。

 胸にずきりとした痛みが広がる。それに柚木の忠告というものにも嫌な予感しかしなかった。



『まぁ、忠告っていうよりも伝言ね。伯から貴方へ』



 伯さんから……。



『朝は別の道から登校しろ、だって。よっぽど貴方と顔を合わせたくないのね』

「――っ」

『後ね、私と伯、よりを戻したの。もう来月には結婚する予定なの。伯ったらね、式はまだかまだかってずっとそわそわしてるの。それにね、私にキスするときも――」

「もう止めてください!」



 自分でも、驚くほど叫んでいた。

 聞きたくない。柚木さんと伯さんが一緒に居る話なんて、聞きたくないよ……。

 それが悲しさからか、怒りからか、妬みからか分からない。自分でも分からないくらいの涙が音も立てずに流れ落ちた。



『ふふっ。とにかく、伯の事は諦めてね。それじゃあね』



 一方的に電話を切られ、受話器から虚しくツーツーという音だけが響いた。

 もう、わけわかんないよ……。

 かくんと膝が崩れた。その場にへたりこむと、また涙がどっと押し寄せてきた。 

 そして、麗子が居たのも構わずに、大声で泣いてしまった。その間、麗子は優しく、背中をさすってくれていた。  

 

 


 

  

甘い話、早く書きたい!

しばらくこんな調子が続きます……。

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