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17話:波乱の始まり

更新が1ヶ月以上も遅れてしまった……。

誠に申し訳ありません<m(__)m>

 ひりひりと頬が痛む。

 さっきまで文化祭の花火で上機嫌だった気分も、今はどん底だ。

 というのも、目の前に神崎の婚約者がいるわけで……更にはその婚約者に頬をぶたれてしまったというのも大きな原因だ。



 「あなたが、神崎さんの法律上では妻……とか」



 殴った事を悪びれもなく、彼女は冷たく言った。 

 別に、何をしたわけでもないし、そこまで邪険されるとかえって不愉快だ。



 「ま……ぁ……」

 「身勝手だわ。あなたが勝手に言い寄ったんだろうけど……、今すぐ、神崎さんから離れてくださる? わたくし、神崎さんを本気で慕ってっているの」

 「えぇ……と」

 「あなたは利用されているだけ。たまたま言い寄ったのがあなただったから、婚約しただけですし……」



 それは当然、分かっている。

 神崎がこの政略結婚をよいとも思っていないだろうし、私を利用したのも。

 だけど、面と言われると少しショックだ。



 「何をしているんですか?」

 


 まさに、ドラマの登場のようなタイミングだ。

 後ろを振り向くと、教師スタイルの神崎が立っていた。こうやって見ると、不審者みたいで笑えるかも。

 笑いを堪えながら、婚約者の方を見ると、彼女は訝しげな顔をしていた。



 「あなたは誰ですか? 警察呼びますよ」 

 「は? ……あぁ、この姿だからか。これではどうですか?」



 そう言って、甘いマスクを覆う眼鏡とマスクを外した。頭はぼさぼさでも、それは神崎だと十分わかる。



 「か、神崎……さん!?」

 「私の妻を苛めるのはあまりよろしくないと思います。……たとえ、俺の父親が決めた許嫁でも」

 「……っ」



 神崎に冷やかな口調で言われると、婚約者は悔しそうに唇を噛んだ。

 ……神崎への思いは本物みたいだ。



 「どうして……。だって、昔はあんなに優しかったじゃない! いつから、そんな風に……」

 「昔と今は違う」

 「……私を抱いたくせに!」 

 


 いつの間にか、彼女の目からは大粒の涙が流れていた。 

 目元は涙でマスカラが流れてぐちゃぐちゃだ。 

 しかし、そんな事は私には気にならなかった。それよりも、もっと重要な事を聞いた気がする。



 「昔は昔だ。お前と俺の関係はもうただの許嫁。それだけだ」

 「そ……んな……。だ……って、あんなに好きだって言ってくれたじゃない!」

 「もう帰れ。話すことはない」

 「――――――っ!」



 二人の会話も途中からは耳に入らなかった。ただ、分かったことがある。

 ……昔、二人は恋人同士だった。

 


 「行くぞ、杏奈」

 「え? あ……えっと……」

 「早く来い!」



 ぐいっと腕を引っ張られて、私は抵抗もできずに神崎に連れられていった。

 ただ、その時にちらりと見えた、婚約者の目は悲しげな憎しみに満ちていた。

 


 「ちょ……っと、伯さん!」

 


 呼び止めてみても、神崎は止まらなかった。

 神崎の手は少し汗ばみ、震えている。

 ……動揺しているみたいだ。あの、神崎が……すごく、動揺している。



 「すみません。家までもう少しなので、家でゆっくり話しましょう」



 口調はいつもより早口で。

 だから、私も余計焦ってしまう。



 「大丈夫……ですか?」

 


 遠慮がちに聞くと、神崎は答えない。

 ただ、私と神崎の間には何か重い空気だけが漂っていた。



----------

-----



 玄関でようやく神崎は足を止めた。

 ずっと痛いほど掴んでいた腕も離してくれた。



 「伯……さん」



 神崎は答えない。

 表情も前を向いたままなので、見えなかった。



 「伯さん? え……っと」

 「……今からお前を襲おうと思うんですが、いいですか?」

 「え……、きゃっ……!?」



 離された腕を再び強く掴まれ、ぐるりと視界が反転した。

 目の前は神崎で覆われてしまい、手首も痛いほど、押さえつけられているみたいだ。

 


 「冗談……ですよね?」

 「そうかどうかは自分で判断しなさい」

 「え……?」



 その時、神崎の手が私の服のボタンを一つずつ外しているのに気が付いた。

 


    

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