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第1章:自認悪役令嬢は、1000円のメロンパンでマウントを取りたい

ゴミです。はっきり言ってゴミです。深夜テンションで浮かんできたアイデアを適当に書きなぐっただけのゴミです。生暖かい生レバーを見るような視線でご覧ください。ついでに初投稿です。なろうは初めて使います。




「おーっほっほっほ! 覚悟はよろしくて、白鳥(しらとり)さん!」

私立鳳凰学園の、燦々と日光が降り注ぐ中庭。 昼休みの平和な空気をご破算にする高笑いが響き渡った。

高壇の上に立ち、ドヤ顔でベンチに人差し指を突きつけているのは西園寺麗香(さいおんじ れいか)。


縦ロール気味の金髪(※地髪である)を揺らし、仕立ての良い特注制服に身を包んだ、日本屈指の西園寺グループにおける一人娘だ。

周囲の生徒たちが「また始まった……」「いつものやつだ……」と遠巻きに見守る中、標的とされた少女——白鳥芽衣(しらとり めい)は、弁当箱を膝に乗せたままパチクリと大きな目を丸くしていた。

「あ、西園寺さん。ご機嫌よう」


「ご機嫌ようではありませんわ! 見なさい、この私が手にしているものを!」

麗香がこれみよがしに突き出したのは、上品な紙袋から覗くひとつのパンであった。 表面はダイヤ状の綺麗な網目模様を描き、ほのかに甘いバターの香りを漂わせている。

「フフフ……これはホテルオークラとのコラボによって生まれた、一日限定十個の『特選クラウンメロンパン』! 一個千円もいたしますのよ!」


「千円のメロンパン……! すごい、本物のメロン果汁が入ってそう……!」


「そうですわ! 庶民の貴女には一生縁のない代物ですわね! さあ、この圧倒的格差に打ちひしがれ、己の貧困を呪いなさいな!」

高らかに叫び、麗香は胸を張る。


(くっくっくっく....所詮は庶民のぽっと出....!庶民と上流階級の格の違いというものを見せつけてやれば簡単に屈服しますわ!!おーっほっほっほ!)

そう——これこそが、西園寺麗香の計画した『完璧な悪役令嬢の嫌がらせ』であった。

学園に特待生として入学してきた貧困苦学生・白鳥芽衣に対し、圧倒的な財力をもってマウントを取り、精神的に屈服させる。 完璧だ。ぐうの音も出ない悪役ムーブである。だが現実でやったらただのちょっと痛いやつである。


『どうです??一口欲しいというのであれば、お情けで一かじりくらいは許してさしあげますわ!』




だがしかし。



「――――ううん、私、メロンパン大好きだから見られただけで満足だよ。ありがとね、西園寺さん」



芽衣は少しも捻くれることなく、心の底から嬉しそうに微笑んだのだった。 その瞳はどこまでも澄み渡り、まるで拾われてきた仔犬のような純真無垢さに満ちあふれている。


そう、この女、ドがつくほどの純粋である。


まさか目の前のお嬢様が自分を貶す気で来ているとはつゆほどにも思っていない。


それどころか今彼女はこの瞬間も脳内で、


『そういえばメロンパンってメロン要素どこにあるんだろう?』


などと純粋で素朴なことを考えている。


見ろ、純粋な目をしてやがる。え?小説だから見えない?心の目で観るのですよ(?)


(っ……!)


次の瞬間、麗香の脳内に異変が起きた。

自身の胸を突き刺すような猛烈な罪悪感。 『自分は今、お腹を空かせた健気な少女に対し、自慢話という名の精神的自傷行為を強要したのではないか?』という、過剰なまでの倫理観の暴走。

——通称、『良心の呵責』である。

「スゥーーーーーーーーー……(吸気)」

麗香は爆速で深呼吸をした。 顔面を急速に朱に染め、目に見えて挙動不審になり始める。

(な、なんという無垢な笑顔……! 私としたことが……手作りの質素なお弁当を大切そうに持っている彼女に対し、こんな高級パンを見せつけるなど……人間として……悪役として以前に、人道的に許されざる暴挙ですわーーーーーッ!!)

脳内で繰り広げられる激しい一人反省会。 わずか0.5秒の思考の末、麗香の導き出した解はひとつであった。

「……た、食べなさいな!!」


「えっ?」


「私に恥をかかせないために、貴女が今すぐこのメロンパンを完食しなさいと言っていますのよ! ほら、早く! 口を開けなさいな!」


「ふえっ!? むぐっ!?」

麗香は半泣きになりながら、高級メロンパンを芽衣の口元へと突っ込んだ。 突然の「あーん」に驚きつつも、一口噛み締めた芽衣の顔が、ぱあっと輝く。

「……ん! なにこれ!?すごく美味しい……!!メロンの味がすごい!ありがとう!西園寺さん!」


「ふ、ふん! 庶民の口に合って光栄ですわ! 感謝の言葉などいりませんことよ! ほら、さっさと全部お食べなさい!」


「あ、もしよかったらその、麗香さんって呼んでもいい?」


「なっ....!?、な、馴れ合いは致しませんわ!!私は西園寺グループのご令嬢!ただの庶民に下の名前で呼ばれる筋合いなど.....な......い』


西園寺が目にしたのは、アクアマリンか、はたまた水晶かと見まがうほど、青く澄み切ったまなざしを上目遣いで送る白鳥。


口にメロンパンに付着したメロンパンのカスが、これまた小動物のような愛くるしさを醸し出している。


なお当の白鳥本人は一切気づいていない。気づいていたら赤面して慌て始めるだろう。


「~~~~~~.....!!ど、どうしてもというのなら!特別に許してあげないこともありませんわ!西園寺家の者は寛容ですの!感謝なさい!!』


「わぁ!ありがとう!!じゃあ私のことも芽衣って呼んでいいよ!」


「っ....!!そ、そうですわね...!!私だけ下の名前呼びというのも癪ですし、公平さを保つためにも、これからは存分に下の名前で呼ばせていただきますわ!!」



ドヤ顔で腕を組む麗香。 だがその耳の先端は、恥ずかしさと、謎のこそばゆさで真っ赤に染まりきっていた。


そのこそばゆい感情の正体を知るのは、もう少し先のお話.......


----------------------------


その光景を、中庭から少し離れた校舎の影——木陰のベンチから見つめる人物がいた。

黒木蓮(くろき れん)。 鳳凰学園の二年生であり、真面目でそこそこ優秀な生徒会役員。両親がやや過保護気味なのがウザくて現在バイトしつつ一人暮らしである。

そして何より、白鳥芽衣の恋人であり、本作の壁である。

蓮は黒ぶちメガネの奥の目を細め、手にした缶コーヒー(微糖)をちびちびと啜った。

「……今日も西園寺さん、自分の大好物を押し付ける斬新なイジメに挑戦してますね」

ぽつりと呟いた蓮の隣には、黒スーツに身を包んだ巨漢の男が立っていた。 サングラス越しでもわかる強面。首筋には薄い傷跡。 常人なら近づくことすら躊躇う威圧感を放つ男の名は、荒木剛志(あらき たけし)。

西園寺家専属SP頭(かしら)であり、元陸上自衛隊第一空挺団の幹部である。

荒木はゴツい手で同じ缶コーヒー(微糖)を持ち、ジーンと目頭を熱くさせながら頷いた。

「うむ……しかも、あの純粋さに当てられて下の名前呼びを思わず許してしまうあの不器用な愛……涙が出ますな、彼氏殿」


「本当ですよね。あ、荒木さん。あっちの校舎の二階から、西園寺さんを盗撮しようとしてる男子生徒がいますよ」

蓮が視線だけで示すと、荒木は0.1秒で鋭い眼光を走らせた。

「……ぬんっ。我々の警戒網をくぐり抜けようとは。彼氏殿、失礼。一仕事行ってまいります」


「はい、行ってらっしゃい。あ、できればカメラのデータ消すだけで勘弁してあげてくださいね」

無音で姿を消す元空挺団。 蓮は「やれやれ」と息を吐き、再び中庭へ視線を戻した。

そこでは、メロンパンを口いっぱいに頬張る芽衣と、それを嬉しそうに(本人は隠しているつもりで)見つめる麗香の姿があった。

「……まあ、芽衣が毎日楽しそうだし、良いんだけどさ」

恋人である自分と過ごす時間以上に、麗香との「ツンデレ茶番劇」を楽しんでいる節がある芽衣。


普通なら嫉妬するところかもしれないが、蓮にはその気合いすら起きない。


なぜなら西園寺麗香という少女が、あまりにも害がなく、あまりにも尊い存在であることを知っているからだ。

蓮は缶コーヒーを飲み干すと、ポケットからスマホを取り出した。

『芽衣、放課後どうする? デート行く?』

送信して数秒。芽衣からの返信が届く。

『ごめんね蓮くん! 今日は西園寺さんと友達になった記念に回転寿司にいくことになったの!夜までに帰れると思うから連君の家で一杯イチャイチャしよ!」

「……仲がよさそうで何よりだ」

蓮は苦笑しながら、空き缶をゴミ箱へと投げ入れた。 今日も私立鳳凰学園の平和は守られている。



眠い。

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