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84.ボディタッチのフリして

 夜。

 お風呂あがりに希世子はテレビを見ていた。

 女子大生が合コンのテクニックを喋っている。


「話してる時にね、さりげなく彼の体を触るの。そしたら向こうが『あれ? この子俺に気がある?』って気にし出して、最終的に惚れてくれる」


「あ〜、俺もそれで何回もコロっといったわ〜」


 男性司会者が頭を抱えると出演者が笑った。


「へ〜、ボディタッチでね〜」


「わふ〜」


 希世子が清丸の濡れた毛を乾かしながら、しっかり記憶した。



 ◆◆◆



 翌日の昼休み。

 希世子がお手洗いから戻ってくると、倫行が数人の男女と座って話していた。

 わいわい盛り上がっている。


「何を話しているの?」


 輪に加わるため希世子がそばへ行く。


「この前の文化祭のことだ」


 倫行が答えた。


「楽しかったわね」


 希世子が倫行の隣に座る。

 その際、さりげなく倫行の肩を支えにするように触れた。

 ボディタッチ作戦を試すのだ。


「(ドキドキが止まらなくさせてあげる、フフフ)」


 作戦開始。


「(それにしても、男の子の体って骨張ってるわねぇ)」


 興味深い。


「三上は、あちこちで大活躍だったよな」


「フフ、ありがとう」


 言いながら倫行の腕にポンと触れた。


「(筋肉も女子とは比べものにならないくらいあるし)」


「もう三上さんのこと知らない人、ウチの学校にいないんじゃない?」


 男子が言ってみんなが頷いた。


「そんなことないでしょう」


 倫行の背中をポフポフたたく。


「(わっ、背中硬い。男子って本当に同じ人間なのかしら)」


「ミスターで優勝しちゃった勇美もね」


 女子が言うとみんなが笑った。


「ヤダ、フフフ」


 希世子も笑いながら倫行の脇腹をナデナデした。


「(えーっ、こんなところに筋肉ってあるの!?)」


 ナデナデナデナデ


「(笑ってるから腹筋浮いてる! お腹カチコチ!)」


 ナデナデナデナデナデナデナデナデ


「(これってシックスパックじゃない!? 水泳の授業で見た時よりもたくましくなってるわ!)」


 希世子は、倫行の胴回りにボディタッチした。

 タッチというかガッツリ触っていた。


「み、三上?」


 倫行が怖がっていた。

 ある意味ドキドキしていた。

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