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83.肩回すフリして

 朝。

 希世子が席に着き、鞄から教科書などを出していると倫行が登校してきた。

 倫行は、アゴに絆創膏を貼っていた。


「おはよう佐藤君」


「ああ、おはよう」


「それどうしたの?」


 アゴを指さした。


「ニキビができてな」


「まぁ」


「どうしても触ってしまうから絆創膏を貼ってるんだ」


 言いながら絆創膏の上からニキビをかく倫行。

 希世子は、なるほどと頷き、


「想われニキビね」


「想われニキビ?」


 倫行が首をひねる。


「ニキビ占いよ。顔を額、アゴ、左頬、右頬と分けて、それぞれ『想い』『想われ』『振り』『振られ』ってニキビができた場所で考えるの」


「へ〜、想われか」


 倫行が関心を示した


「俺を想ってる人なんているのかな」


「(ここにいるんだけれど)」


 希世子、心の声。


「本当にいるなら嬉しさのあまり付き合ってくれって言ってしまいそうだ」


 バッと希世子が手を上げた。


「なんて、それは軽薄すぎるから冗談だが」


 サッと希世子が手を下げた。


「ん? 手を上げ下げしてどうしたんだ?」


「肩の運動をと思って」


「そうか」


「ウフフ(危なかった〜〜〜〜〜)」


 申告寸前で止まった希世子だった。

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