78.ミラーリングのフリして
夜。
希世子の家のリビング。
テレビで女性が喋っている。
「目の前にいる異性の行動を真似していると、相手はこちらに対して好感を持つようになります。これをミラーリングと言って――」
「ミラーリングか〜」
「わふ〜」
希世子は、コロコロで清丸の毛を取ってあげながらふむふむと頷いた。
◆◆◆
翌日の朝。
教室の入り口で倫行と鉢合わせた。
「おはよう、三上」
「おはよう、佐藤君」
お互い挨拶して一緒に中へ入る。
倫行が机に鞄を置いた。
希世子も机に鞄を置いた。
倫行が鞄の中身を出した。
希世子も出した。
倫行が座る。
希世子も座った。
ミラーリングを試していた。
「……」
倫行が希世子をじーっと見る。
希世子の様子に気づいた。
倫行が唇を尖らせた。
希世子も尖らせた。
倫行が寄り目にした。
希世子も寄り目にした。
その顔で倫行が鼻と耳をピクピク動かした。
「プフーーーッ、アハハハハハッ」
希世子が吹き出して笑った。
「そんなの無理だわ、アハハハ」
「ハハハ、すごいだろう。昔から動かせるんだ」
倫行が自慢げに言った。
「アハハハ」
「ハハハ」
二人して笑った。
お互いに好感を持った。




