表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/118

75.大人のフリして

 男子がポッキーを食べながら話している。


「大人の女性っていいよな」


「ああ、憧れる」


 二人とも、何を想像しているのか表情がとろけていた。


「ふむふむ、大人の女性か」


 通りすがりの希世子がポッキーをつまんでコクコク頷いた。



 ……



 席に戻ると、倫行が腕を組んで机に置かれた缶コーヒーをじっと睨んでいた。


「佐藤君、その缶コーヒーがどうかしたの?」


「さっき自販機で、間違ってブラックコーヒーを買ってしまったんだ」


「まぁ」


「だが俺は、舌が子供だからかブラックが苦手でな……」


 困った顔でまた缶コーヒーを睨む。


「(これよ!)」


 話を聞いていた希世子がひらめいた。


「だったらそれ、私がもらってもいいかしら?」


「三上が?」


「お金を払うわ」


「それはいい。でも、三上はブラックを飲めるのか?」


「ええ」


「コーヒーのブラックを飲めるなんて、三上は大人だなぁ」


 倫行が尊敬の眼差し。


「そんなことないわよ(よし! よし! よし!)」


 すました顔のまま心の中でガッツポーズ。

 大人の女性と思われる作戦成功だった。


「じゃあこれ、いただくわね」


「どうぞ」


 希世子は、缶コーヒーを受け取ると、プルタブを開けて一口飲んだ。


「(にが……)」


 にがかった。

 本当は、希世子もブラックを飲めなかった。


「(でも、佐藤君に大人の女性と思わせないと。さぁ佐藤君、ブラックを飲む私の虜になりなさい!)ゴクゴク、ああ、美味しいわ〜(にがいよ〜……)」


 希世子は、無理して飲んだ。


「すごいな、三上は。俺なんて甘いコーヒーじゃないと無理だ。まだまだ子供だな、ハハハ」


 倫行が明るく笑う。

 恥ずかしがることもなく見栄を張ることもない。

 そんな倫行の姿を見て希世子は、


「(……自分のことを子供と認められることのほうが、大人なのかもしれないわね)」


 ふとそう思った。


「三上は、大人の女性だな」


「(やったーーーーー! 大人の女性って言われたーーーーー!)やっぱりコーヒーはブラックね、ウフフ」


 でも見栄を張り通した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ