7.ケモミミのフリして
「ケモミミ娘は最高だぜ」
クラスの男子が集まって何やら話している。
「だな。中でもネコミミがベストだ」
「待て待て、イヌミミだろ。垂れてるのがたまらない」
「何を言うか。ケモミミと言えばウサミミが古来よりだな」
男子が熱く議論する。
「ケモミミ娘か……」
聞いていた希世子がふんふん頷いた。
◆◆◆
数日後。
希世子が席に着いて鞄の中身を机の上に出していると、
「おはよう、三上」
右隣の席、倫行が登校してきた。
「おはよう、佐藤君(今日も素敵)」
すました顔の希世子が心の中で喜ぶ。
「(でも佐藤君、今日はあなたも私のことを素敵と思う日よ)」
希世子がニヤリと笑い、用意してきたものを鞄の中から出した。
「やだ、私ったら」
「どうした?」
倫行が希世子の声に反応した。
「こんなものを鞄に入れてきてしまったの」
希世子が手に持っていたものを見せる。
黒いネズミの耳が付いたカチューシャだった。
「荷物から出し忘れてたみたい」
と言っているが、これは出し忘れたフリだった。
希世子は、男子の話を聞いて、ケモミミ作戦を決行するため持ってきたのだった。
「それは、『ネズミの国』のやつか?」
「そうよ。こうやって頭に付けるの」
希世子がネズミミを装着。
「チュ〜、なんてね」
可愛く鳴き真似した。
「(ちゃんと勉強したわ。こういうのを『萌え』と言うのでしょう?)」
ぬかりはない。
「ほほう……」
倫行がじっと眺める。
「(フフフ、キュートな私に釘付けね。さあ佐藤君、遠慮はいらないわ! 存分に萌えなさい!)」
「そういえば、俺も昨日家族とプロ野球を見に行って鞄にしまいっぱなしだった」
倫行が鞄の中に手を入れて虎のケモミミカチューシャを取り出した。
「母さんがこれを付けて応援してたんだ」
装着。
「がおーーー! なんてな、ハハハ」
倫行が照れ笑い。
「フフフ、佐藤君もおっちょこちょいなのね」
と希世子も表面上は笑っているが、内心は、
「(も、萌えーーーーーーーーーーっ! 萌え萌えチュウーーーーーーーーーーっ!)」
萌えまくりだった。




