63.わんぱくなフリして
お昼休み。
希世子、勇美、倫行の三人は、連れ立って学食にやってきた。
今日は、三人とも学食だったので一緒に食べることにしたのだ。
券売機の列に三人が並ぶ。
「何食う?」
勇美が二人に聞いた。
「俺はラーメンにする」
倫行はラーメン。
「じゃあ私も」
希世子が真似した。
「あたしもラーメン食いたくなってきた」
つられて勇美も同じにした。
……
ラーメンをトレイに載せて、三人は、テーブル席に着いた。
「いっただっきまーす!」
勇美がさっそく箸を持って麺を掬い、ズゾゾゾーっと豪快に音を立てて啜り上げた。
その隣で希世子は、レンゲでスープを掬って麺を数本入れてから音を立てないよう口に入れた。
「(フフフ、どうかしら佐藤君? たとえラーメンであっても上品に食べる私の所作は? 目を奪われるでしょう?)」
希世子が倫行を見る。
倫行は、勇美に注目していた。
「河井の食べっぷりは気持ち良いな。見ていると食欲が湧いてくる」
「(何ですって!?)」
希世子は、愕然とした。
まさか、自分よりも勇美の食べ方が気に入るとは思っていなかったからだ。
「ズゾゾゾー、ズルズルズル」
勇美が麺を啜り、スープを飲む。
倫行は、微笑ましいものを見る目を勇美に向けていた。
「(こ、こんな汁を飛ばしまくりで溢しまくりのわんぱくな食べ方がいいだなんて……)」
希世子はショックを受けていた。
「(だったら私も!)」
希世子がわんぱく食いにチャレンジしようとした。
「……できないわ!」
箸を置いた。
「勇美のように下品に食べるなんて無理よ!」
上品に食べることを旨として育ってきた希世子には無理だった。
「……何でケンカ売られてんの?」
勇美がイラっとしていた。




