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54.写すフリして

 夏休みも残りわずか。

 二年一組のメンツが図書館に集まっていた。


「みんな、もうすぐ夏休みが終わる」


 委員長の大石雄馬が小声で話す。


「なのに、宿題が終わっていない」


「……」


 みんな陰鬱な顔だ。


「今日ここで、宿題をやってしまおうじゃないか」


「おー」


 みんな小声で答えた。

 つまり今日は、夏休みの宿題をまだやっていない者たちが、今日中に終わらせようという目的で集まっていた。


「だりぃ〜」


 勇美が机に突っ伏している。

 宿題は、ほぼまるまる残っていた。


「教科書出して。ノート開いて」


 希世子が机を叩いて促した。

 希世子は、宿題を終えていたが勇美に呼ばれて来ていた。


「はぁ〜」


 勇美の横でため息を吐く倫行。

 やっぱり終わってないグループだった。


「ほら、佐藤君も」


 希世子に言われ、倫行がノートを開きながらグチる。


「夏休み前に、ある程度宿題計画を立てるんだが、いつも終わらないんだ」


「わかる、わかるぜ佐藤」


 勇美が共感した。


「なぜ終わらないんだろう」


「な」


「計画通りやってないからでしょう」


 希世子が完璧に答えた。


「おっしゃ」


 勇美が気合いを入れてペンを持った。


「希世子様、宿題を写させてください」


 頭を下げた。


「ダメよ」


 断った。


「写させて写させて写させて〜」


 駄々をこねた。


「もう」


 希世子は、呆れた顔で息を吐き、


「どうしてもわからないところだけよ」


 譲歩して宿題を机に並べた。


「わーい、希世子大好き」


 勇美が抱きついて感謝した。


「そんじゃ、さっそく」


 宿題開始。

 その様子を倫行がじっと見ていた。


「佐藤君もわからないところがあったら写していいわよ」


「ありがとう。でも自分でやる」


 真面目だった。


「そう? いつでも見ていいから」


 希世子は、席を立ち、本棚のほうへと歩いていった。

 読みたい本を探しながら、時折勇美と倫行の様子を窺う。

 すると、倫行は、希世子の宿題に手を伸ばそうとしていた。


「いや、ダメだ」


 しかし、寸前で手を止めて、自分の宿題に向き合った。


「(宿題を写して楽したい気持ちと戦ってるのね)」


 希世子が陰ながら見守る。

 少しして、倫行がペンを止めた。

 希世子の宿題を見つめる。


「ダメだ! 自分でやるんだ!」


 首を横に振って宿題に戻った。


「(佐藤君、がんばって!)」


「くっ、堪えろ! 堪えるんだ!」


「(佐藤君、あなたなら大丈夫よ!)」



 ……



 夕方。

 倫行は、宿題を終えることができなかった。

 しかし、誘惑に打ち勝ち宿題を写さなかった。

 勇美は、ほとんど写して宿題を終えた。

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