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53.ラジオ体操のフリして

 朝の五時。

 希世子の部屋。

 枕元に置いているスマホが起床を告げる。

 希世子は、スマホに手を伸ばしてアラームを止めると、眠い目をこすり体を起こした。



 ◆◆◆



 約一時間後。

 希世子は、公園へやってきた。

 小さい子供やお年寄り、保護者の姿もちらほら見られる。

 その中に倫行がいた。

 希世子が近づく。


「おはよう、佐藤君」


「三上、おはよう。本当に来たんだな」


「ええ」


 先日、希世子は、倫行が町内会の早朝ラジオ体操で、ラジオ体操の指導役をやっていると聞いて自分も参加すると言い出したのだった。


「朝のラジオ体操は、健康にいいもの」


 というのはフリで倫行に会えるから来たのだった。


「みなさん、そろそろラジオ体操はじまりますよー」


 大学生くらいの女性の指導役が声をかける。


「それじゃ」


 倫行は、ラジオのそばに行って準備した。

 ラジオから曲が流れる。

 みんな揃って体操を始めた。

 倫行は、お手本になるようみんなのほうを向いて体を動かしている。


「(ああ、なんて凛々しい背伸び運動かしら)」


 希世子もみんなと一緒に体操しながら、倫行に見惚れた。



 ……



 最後に深呼吸をしてラジオ体操終了。


「よし、みんなハンコ押すから並べー」


 倫行が呼びかける。

 子供たちは、倫行ともう一人の女性指導役の前に並んだ。

 首から下げているカードに参加証明のハンコを押してもらうためだ。

 倫行たちがハンコを押していく。


「(早朝から佐藤君に会えるなんて最高ね。眠いけれど明日からもずっと参加しましょう)」


 倫行を見つめ、希世子が決意した。


「みんな、お疲れ様」


 最後に倫行が子供たちに声をかけた。


「ラジオ体操は今日で終わりだ」


「(え?)」


「皆勤賞の人にはご褒美があるからな」


「やったー!」


 子供たちが喜んだ。


「……夏休みも、もうすぐ終わりだものね」


 希世子が遠い目をした。

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