52.アイスなフリして
その後もちびっ子たちとかくれんぼや高鬼をやって遊ぶ倫行と希世子。
しかし、真夏ということもあり、
「みんな、ちょっと休もう」
倫行が言って休憩を挟むことにした。
「「「え〜〜〜」」」
まだまだ遊びたいちびっ子たちからブーイング。
「アイス奢ってやるから」
「「「やったーーー!」」」
休憩することになった。
「だったら私がアイスを買ってくるわ」
希世子が進み出た。
「(この暑さを厭わず率先して買いに行く私に惚れなさい)」
いいところを見せるチャンスというわけだ。
「三上には、この子たちを見ててもらおうと思ったんだが」
「会ったばかりの私より、佐藤君と一緒の方がこの子たちも落ち着くわよ」
「助かる。これで頼む」
倫行が千円札を一枚出した。
「いいわ。私が払う」
「俺が言い出したから」
「そう?」
希世子が受け取った。
「もちろん三上のぶんも買っていいからな」
「ありがとう」
◆◆◆
コンビニにてアイスを購入。
希世子が棒アイスの入ったコンビニ袋を持って店を出る。
すると、幼稚園児くらいの男の子が店の前にいた。
手にはアイスを持っている。
「アイス、アイス」
男の子が嬉しそうにアイスの袋を開けた。
だが、勢い良く開けすぎたため袋全体が破れてアイスが地面に落ちてしまった。
「あ……」
男の子は、落ちたアイスをじっと見つめ、
「うあ〜〜〜」
泣いてしまった。そこへ、
「泣くな」
顔立ちの似た小学一年生くらいの男の子がやってきて慰めた。
「ぐすっ、にいちゃん」
兄だった。
「これやる」
落ちたアイスの代わりに自分のアイスをあげる兄。
「う〜〜〜、ぐすっ……にいちゃんのは?」
「いいから。早く食べないとアイス溶けちゃうぞ」
「うん……」
弟が受け取る。
「へへへ」
泣き顔もどこへやら、嬉しそうにアイスを食べはじめた。
兄は、優しい眼差しで弟を見つめた。
「あんなに小さくても、お兄さんなのねぇ」
希世子が感心した。
しかし、兄は、ちょっと羨ましそうに弟の食べるアイスをチラチラ見ている。
「子供ですものね」
クスクス笑った。
「あなた」
「僕ですか?」
◆◆◆
「ただいま」
希世子が公園に戻ってきた。
「「「アイスだーーー!」」」
ちびっ子たちが駆け寄ってきて、お礼を言うとコンビニの袋からアイスを持って行った。
「はい、佐藤君。お釣りとアイス」
「ありがとう。おや? 三上のアイスは?」
「戻ってくる途中で食べちゃったわ」
「ハハハ、暑いもんな」
倫行が笑う。
「お姉ちゃんっ、アイスありがとー!」
その向こう側をコンビニにいた兄弟が希世子に手を振って駆けて行った。
二人ともアイスを持っていた。
「アイスありがとうって?」
倫行が聞いた。
「気にしないで。ほら、早く食べないとアイスが溶けちゃうぞ」
希世子がさっきの兄の口調を真似て言って、クスクス笑った。
「?」
頭にはてなマークを浮かべる倫行だった。




