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51.ビーチなフリして

「今日も暑いわねぇ」


 部屋の中から外を眺め、希世子は、冷えた麦茶を一口飲んだ。


「ワフ〜」


 横では清丸がぐて〜っと寝転んでいる。

 つけっぱなしのテレビからは、CMが流れていて、


『待て〜』


『ここまでおいで〜、アハハ、ウフフ』


 ラブラブな男女が砂浜で追いかけっこをしていた。


「この間海に行った時、佐藤君とこれやりたかったわねぇ」


 キャッキャウフフなCMの男女を羨む希世子だった。



 ◆◆◆



 午後になり、希世子は、買い物に出かけた。

 その途中の公園で倫行を見かけた。

 小さい子供数人とじゃんけんをしている。


「なんてラッキーな私」


 希世子が公園へと入り、


「こんにちは、佐藤君」


「やあ、三上」


 倫行が手を上げた。

 子供たちも希世子を見上げる。


「(ちびっ子が邪魔ね)」


 希世子が渋い顔。


「わっ、美人!」

「お姫様?」


 子供たちがビックリしている。


「(なんて素直で良い子たち)」


 笑顔になった。


「このお姉ちゃん誰〜?」


「俺のクラスメイトだ」


「三上希世子よ。よろしくね」


 希世子が微笑む。


「ほへ〜……」


 みんなポ〜っとなった。


「それで、この子たちは? 何をしていたの?」


「自治会の子たちだ。みんなに誘われて今から鬼ごっこをやろうとしてた」


「!」


 希世子の頭の中でピコーンと電球が灯った。


「私もまぜてくれないかしら?」


「ああ、いいぞ」

「いいよー」

「わーい、一緒!」


 倫行もちびっ子もオーケーだった。



 ……



 じゃんけんの結果、倫行が鬼になった。


「(よし)」


 理想の展開に希世子が心の中で喜んだ。

 倫行が鬼になれば自分を追いかける。

 つまり、希世子は、CMで見たキャッキャウフフな追いかけっこをここで再現するために鬼ごっこに参加したのだった。


 子供たちと希世子が散らばり、倫行がその場で十数えて、


「行くぞ!」


 鬼ごっこが始まった。

 倫行は、ちびっ子たちを追いかけたあと、ターゲットを希世子に変えた。


「(さぁ、来て! 佐藤君!)」


「待てー!」


 倫行が追ってくる。


「ここまでいらっしゃい、ウフフ」


 希世子が逃げた。


「待て待てー!」


 倫行が走って追う。


「アハハ、ウフフ」


 希世子が走って逃げた。



 ……



 五分後。


「次はカズキだー!」


 倫行が標的を変えた。

 希世子は、いったん木陰に避難した。


「ハァッ、ハァッ、ハァッ」


 息が切れてる。

 足はパンパン。

 全身汗だくだ。


「ハァッ、ハァッ、な、なんだか、お、思ってた感じと違うような」


 希世子が首を傾げた。

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