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47.ナンパのフリして

「海だーーー!」


 海岸が見えると勇美のテンションがマックスになった。


 夏真っ盛り。

 希世子は、倫行、勇美、クラスメイト数人と海へやってきた。


「待ってろよ海!」


 出発からテンションが下がることを知らない勇美が海へ走り出す。


「一番乗りは俺だ!」


 負けじと倫行がつづく。


「子供みたい」


 と言いつつ、希世子も他のみんなもはしゃいだ様子で後を追った。



 ……



 更衣室で着替えを済ませ、希世子が海の家から出てきた。


 白地に真っ赤なハイビスカスがプリントされたビキニ姿で腰にはパレオを巻いていた。

 砂浜にいる老若男女が希世子の美しさに見惚れた。


「なんて綺麗なんだ」

「別嬪さんじゃのう」

「ママー、人魚さんがいるー」


 みんなの口から感嘆の声が漏れた。


「(フフフ、今日私に出会えたあなたたちは幸運よ)」


 すまし顔の希世子が心の中で微笑む。


「(でも、この水着を見せたい本命は……)」


「三上、来たか」


「(佐藤君!)ええ、お待たせ」


「む? その水着……」


「何かしら?(素敵? 似合ってる? 綺麗だから付き合ってください?)」


「ひゃっほーう!」


 海の家から勇美が飛び出してきた。


「泳ぎまくるぜ!」


 走って行った。


「俺が先だぞ!」


 倫行も行った。


「……」


 希世子は残された。


「ねぇ、一緒にビーチバレーしない?」


 近くからそんな声が聞こえてきた。

 顔を向けると、一人の女が男二人に言い寄られていた。

 ナンパだ。


「え、えっと……」


 女は困っている。

 そこへ、


「その子に何か用ですか?」


 連れと思われる男がやってきた。


「何だ、彼氏いたのか」

「ごめんごめん。お幸せに〜」


 ナンパ男二人は去った。


「あ、ありがとう」


 女が赤い顔でお礼を言って、


「か、彼氏だって。ウ、ウチら、こ、恋人に見えるのかな?」


 男を見上げた。


「だ、だとしたら、う、嬉しいかな」


 男も赤い顔で答えた。


「これだわ!」


 希世子が叫んだ。

 男と女はビクッとした。


「さぁ、男たち。私をナンパなさい。美しい私に群がりなさい」


 希世子が歩き出す。

 今見たことを自分と倫行で再現するためだ。

 みんなが希世子を見ている。

 しかし、誰も言い寄ってこない。

 近づいてもこない。


「なぜ?」


 希世子が首を傾げていると、男たちのボソボソ話す声が聞こえてきた。


「あの子めっちゃ美人じゃん。お前ナンパ行けよ」

「美人すぎて絶対無理ってわかる。無駄な努力はしねぇ」


 希世子があまりにも綺麗なのでみんな最初からあきらめていたのだった。


「なんてことなの、美女であることが裏目に出るなんて」


 希世子は、美しい己を嘆いた。


「このままでは作戦が……」


 と希世子が倫行を見た。

 女二人に声をかけられていた。


「佐藤君がナンパされてる!?」


 希世子は、倫行のところへと走った。


「彼に御用?」


 希世子が女二人に聞いた。


「え?」


 二人が希世子を見た。


「うわ! 美女!」

「すんごいのでた!」


 女二人が腰を抜かさんばかりに驚いた。


「お友達? 彼がこれ拾ってくれたの」

「ナイスガイだね〜」


 女の手にはネックレスがあった。

 二人は、お礼を言うと倫行と希世子に手を振って去って行った。


「(ナンパじゃなかったのね)」


 ホッとした希世子。

 でも、せっかくなので利用することにした。


「あの二人、佐藤君のこと彼氏って言ってたわね」


 希世子は、捏造した。


「『彼』じゃなかったか?」


 倫行が正した。


「私たち、恋人に見えるのかしら?」


 希世子は、話を進めた。


「恋人に? だとしたら……」


「(だとしたら? だとしたら何? どうなの佐藤君!?)」


「よっしゃ! あの島行くぜ!」


 勇美が泳ぎ出した。


「俺が先に上陸してやる!」


 倫行が追った。


「……」


 希世子は残された。が、


「私も!」


 走り出した。

 今日はもういろいろ無理だと悟り普通に遊ぶことにした。

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