43.願うフリして
本日は、七月七日。
七夕の日。
「みんな、おはよう!」
クラス委員長の男子、大石雄馬が笑顔も爽やかに教室に入ってきた。
手には自身の背丈を超える笹の葉がついた竹を持っていた。
「今日は七夕だ。短冊に願い事を書いて笹に結ぼうじゃないか」
クラス内を見回す。
委員長大石は、イベント事が大好きだった。
「いいんじゃない」
「なんか懐かしい」
みんなノった。
「じゃあ、こっちに竹、ここに短冊を置いておくから」
大石が黒板横に竹、教壇に短冊の束を置いた。
みんなが教壇へ短冊を取りに行った。
「楽しそう」
希世子も短冊を一枚取った。
「何をお願いしようかしら」
考える。
「(一番は、佐藤君と恋人になることだけれど、そんなの書いて飾れないわね)」
バレてしまう。
「(ここは、『世界が愛で満たされますように』と書きましょう)」
変更した。
「(これを見たら佐藤君が、『君はまさしく地上に舞い降りた天使。好きにならずにはいられない』となるに違いないわ)」
希世子は、作戦の成功を確信して微笑んだ。
さっそく書いて枝に結び付け、手を合わせて祈った。
「ずいぶん熱心にお願いするんだな」
そこへ倫行が来た。
「もちろん。叶って欲しいもの」
「何て書いたんだ? なんなら願い事を叶えるために力を貸そうか?」
「佐藤君が?」
「うむ、男に二言はないぞ。手伝えることがあるなら言ってくれ」
「まぁ、ありがとう(佐藤君と付き合えますようにって書いておけばよかったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!)」
心底悔やんだ。




