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42.勉強教えるフリして

「ここ、テストに出るからな」


 教師の口からお決まりの文句がでる。


「え〜〜〜っ」


 みんなからもお決まりのブーイングが起こる。

 そこでチャイムが鳴って一限目の授業が終わった。


「もうすぐ期末か〜」

「覚えることまた増えた〜」


 教室のあちこちから聞こえる悲鳴。


「むぅ〜……」


 希世子の後ろでも、しかめっ面で倫行が唸っていた。


「どうかした?」


 希世子が振り返って聞いた。


「今のところ、解き方がよくわからないんだ」


 倫行は、ノートと睨めっこしていた。

 希世子の瞳がキランと光った。


「私でよければ教えましょうか?」


「ぜひ頼む!」


 倫行が前のめりにお願いした。


「任せて。ここはね」


 希世子がすまし顔で教え始める。

 しかし、心の中は、


「(才女な私をとくとご覧なさい。私を尊敬し、尊敬が恋に変わるまで)」


 こんな感じだった。


「つまり、この数式を……勇美?」


 倫行の隣の席、勇美が自分を見ていることに気づいて希世子が顔を向けた。


「何か用事?」


「いや、なんも」


 勇美が席を立って教室を出て行った。



 ……



 二限目終了。


「佐藤君、今の授業わからないところあるかしら?」


 希世子が教える気まんまんですぐ振り返った。

 すると、勇美が手を上げ口を開けた状態で希世子を見ていた。


「勇美? 何?」


 希世子が聞く。


「別に」


 勇美は、口を閉じ、手を下ろした。



 ……



 次の休み時間もその次も、希世子は倫行に勉強を教えた。

 勇美は、ずっと何か話したそうだった。



 ◆◆◆



 放課後。


「勇美、帰りましょう」


 希世子が誘う。


「ん」


 テンション低めの勇美。


「どうしたのよ」


「どーもしてないし」


 不貞腐れてる。

 そこへ、倫行がやってきた。


「三上に河井。今から図書室で勉強しようと思うんだが、一緒にどうだ?」


「あたしパス。ダルくてやってらんねぇ。二人でやってろ」


 勇美がそっぽを向いた。


「ごめんなさい、放課後は用事があるの」


 意外にも、希世子も断った。


「そうか。残念だが仕方がない。また明日」


 倫行は、鞄を持って図書室へ向かった。


「いいのかよ? せっかく佐藤が誘ってきたのに」


 珍しいものを見たような顔で勇美が聞いた。


「放課後は、勇美の勉強見るって決めてたから」


「へ?」


 勇美が目をぱちくり瞬いた。


「あなた、今日一日ずっと私に勉強のこと聞こうとしてたでしょう?」


「気づいてた?」


「当たり前よ」


 希世子が馬鹿にしないでとばかりに鼻を鳴らした。


「なのに私と佐藤君の時間を作るために我慢して」


「いや、そんなことは……」


 もにょもにょ口を動かす勇美。

 全部見透かされていて照れ臭いのだ。


「だから、放課後は勇美に勉強教えるって決めてたの」


「そうか……へへ」


 勇美が笑顔になった。


「さぁ、私の家に行きましょう」


「おう!」


 いつもの元気な勇美に戻った。


「どの教科のどの辺りがわからないの?」


「そもそもテスト範囲がわからねぇ」


「……長い夜になりそうね」

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