34/118
34.付けるフリして
「んん……ん? ん〜……」
希世子が首の後ろへ手を回し、眉根を寄せて唸っている。
「どうした、三上?」
そこへ倫行がきた。
「ネックレスがうまく付けられなくて」
留め具がかけられなかったのだ。
「俺が付けてやろう」
「ありがとう(かかったわね)」
しかし、これは、ネックレスがうまく付けられないフリだった。
うなじフェチの倫行を悶えさせようという作戦だった。
「お願いするわ」
希世子は、ネックレスを渡して背中を向けると、長い髪を纏めてサイドによけ、己のうなじを倫行の眼前にさらした。
「(フフフ。さあ、佐藤君、私のうなじを)」
「できたぞ」
「(早ーーーーーーーーーーい!)あ、ありがとう」
希世子は、平静な顔でお礼を言った。




