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33.イメチェンのフリして

 教室の一角。

 男子が集まって話している。


「俺はなんたってポニーテールだな」


 好きな女子の髪型についてだった。


「俺は片目隠れ」


「前髪ぱっつんがたまらん」


 人それぞれ好みが分かれていた。


「髪型か……」


 希世子が己の長い黒髪をいじった。



 ◆◆◆



「という話を聞いたのよ」


 希世子がさっき聞いたことを勇美に教えた。


「でね、佐藤君の好みを知りたいの。私、授業ごとに髪型変えるから、佐藤君の反応を見ててくれる?」


「え〜」


 面倒そうな勇美。


「ちょくで聞けよ」


「聞いた髪型にしてたら私が好きなのバレるかもしれないでしょ。ジュースおごるから」


「じゃあ、パンも」


「交渉成立ね。好きな髪型を見つけてメロメロにしてあげるわ」



 ◆◆◆



 二限目。

 活発そうなポニーテール。


 勇美が倫行を見た。

 顔を赤くしてモジモジしてるように見えた。



 ……



 三限目。

 真面目キャラの三つ編みお下げ。


 勇美が倫行を見た。

 また顔を赤くしてモジモジしてるように見えた。



 ……



 四限目。

 幼い雰囲気のツインテール。


 勇美が倫行を見た。

 またまた顔を赤くしてモジモジしてるように見えた。



 ……



 お昼休み。


「一体どういうことなの……」


 報告を聞き、希世子は悩んでいた。

 髪はいつも通り下ろしていた。


「顔が赤いってことは、全部の髪型が好きってことかしら?」


「そうなんじゃねぇの?」


 あまり考えることなく勇美が答える。


「どれも統一感がないのよ?」


「あたしに言われても知らん」


「どこかに引っかかってるポイントがあるはずよ……」


 希世子がさらに悩む。そこへ、


「む。いつもの髪型に戻したのか」


 倫行が教室に戻ってきた。


「なぁ、佐藤」


 と勇美。


「お前、授業中希世子のことエロい目で見てなかった?」


 面倒なので直接聞いた。


「(勇美ーーーーーーーーーーっ!)」


 希世子が心の中で叫んだ。


「そ、そ、そんなこと、な、な、ないぞ」


 倫行が動揺しまくりで否定した。


「ホントかよ?」


「すまん見てた!」


 でも嘘がつけないタイプなのですぐ認めた。


「うなじにドキドキしてしまったんだ……」


 罪を告白する犯人のようなテンションで言った。


「「うなじ?」」


 希世子と勇美がそろって首を傾げた。


「いつもは髪を下ろしてて見えないのに、今日は、白いうなじが見えてて、それで……」


 それでモジモジしてたのだった。

 倫行は、うなじフェチだった。


「すまなかった」


 倫行が謝った。


「警察を呼んでくれ」


 観念した。


「そんなことで呼ばないわ」


 希世子が許した。


「なんて心が広いんだ、三上は」


 倫行が感動。


「しかし、俺は自分が許せない。水をかぶって反省してくる」


 手洗い場へ向かった。

 倫行が教室を出て行くのを確認して、


「フフフ……」


 希世子が怪しく笑った。


「そうなのね、佐藤君。私の美しいうなじにドキドキなのね、フフフ」


 倫行に対する自分の強みを知ったからだ。


「楽しみにしててちょうだい。授業中、私のうなじに夢中にさせてあげるわ、フフフフフ」


「普通に授業受けさせてやれよ」


 勇美がもっともなことを言った。

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