26.バランス崩したフリして
希世子が図書室で本を探していると、
「キャッ!」
脚立に上っていた他のクラスの女子が足を滑らせた。
女子は、バランスを取れず倒れていく。
「危ない!」
そこへ男子が駆けつけ床に滑り込む。
ドシーンッと大きな音を響かせ男子の上に女子が落ちた。
「イテテ……だ、大丈夫か?」
男子が顔を上げた。
「ん? 何だ、この白いの?」
目の前の白くて丸い何かに手を伸ばした。
「ひゃん!?」
女子が可愛い声をあげた。
それは、下着に包まれた女子のお尻だった。
女子は、スカートが捲れた状態で男子の胸の上に落ちていたのだった。
「キャーーーッ、エッチーーー!」
バチンッ
「ぶはっ」
女子がビンタしたが、
「あっ、ご、ごめんなさい!」
すぐに状況を思い出して謝り、
「た、助けてくれてありがとう」
赤い顔でモジモジした。
「い、いや、いいんだ」
男子もモジモジした。
「使えるわ!」
希世子の声が静かな図書室に響いた。
◆◆◆
次の日。
希世子が倫行を誘い図書室にやってきた。
もちろん昨日見た場面を試すためだ。
「(密着して悩殺もできるなんて、こんな斬新な作戦を思いつく私は天才ね、フフフ)」
希世子が自画自賛する。
「(下着を見せるのははしたないけれど、二人の未来のためならやってみせるわ)」
覚悟を決めた。
「何か探してる本があるのか?」
「『椿姫』なんだけど……あ、あったわ」
希世子が本棚を見上げる。
「俺が取ろう」
「大丈夫よ」
希世子は、小さな脚立を持ってきて上った。
周りを確認する。
「(佐藤君の位置良し、危険な物もなし。いくわよ!)キャッ!?」
希世子がバランスを崩したフリをして脚立から落ちた。
すぐに気づいた倫行が希世子の肩を抱き寄せ、膝裏に手を伸ばしお姫様抱っこで受け止めてから、そっと床の上に降ろした。
「お怪我はございませんか、お姫様?」
倫行がおどける。
「ええ、ありがとう。(しゅきーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!)」




