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24.溺れたフリして

 体育の時間。

 今日は、プールで水泳だ。

 ある程度泳ぐと自由時間になった。


 フェンス際にある屋根の下で休む希世子。

 男たちが希世子を見ている。


「目の保養になるなぁ」

「いい……」


 鼻の下が伸びていた。

 希世子は、泳いでいる倫行を真面目な顔で見ている。


「(水着姿の佐藤君、エロティック……)」


 考えていることは男子と変わらない。


「(なんとかして佐藤君の肌に触れたい)」


 痴漢レベルかもしれない。


「(ここは溺れたフリをしましょう)」


 倫行に助けてもらって肌に触れようというのだ。

 決めるやすぐに行動に移し、希世子は、プールに入って倫行のいる真ん中付近まで行った。

 しかし、そこまで来てふと思った。


「(裸の佐藤君に抱えられて正気を保てるかしら?)」


 心配になったのだ。


「(鼻血でプールを真っ赤に染めてしまいそう)」


 地獄絵図だ。


「やっぱりやめましょう」


 思い直した。


「やめる? 泳ぐのをか?」


 そこへ倫行がやってきた。


「ええ、足がりそうなの」


 希世子は話を合わせた。


「それはいけない。プールサイドまで送ろう」


 倫行が両手のひらを上向けて前に出す。


「ありがとう」


 希世子がそこへ手を載せると、倫行は、希世子のほうを向いたまま後ろ歩きにプールサイドへ引っ張った。

 希世子は、引かれるままに体を水に浮かべた。

 向かい合う二人の視線が重なる。


「ハハ」


「フフ」


 なんだかおかしくて二人して笑った。


「(ああ、幸せ……ここは南国? それともエーゲ海?」


 学校のプールだ。

 というように、二人ともまったく進行方向の安全確認をしていなかったので、倫行は、遊んでいた男子に背中側からぶつかられてしまった。


「おっと」


 倫行が前に押される。

 希世子は前に進む。

 二人の顔が近づく。

 唇が触れる……寸前で止まった。


「……」


「……」


 目を丸くした倫行と希世子が見つめ合う。

 唇の距離は数センチ。

 鼻先は今にも触れそう。

 お互い固まってしまった。


 ピーーーッ


 その時、緊張を溶かすように笛の音が響いた。


「自由時間終わりー。プールから上がれー」


 体育教師の合図だった。


「「ハッ!?」」


 その声に反応し、二人はあわてて離れた。


「す、すまん!」


 顔を真っ赤にして倫行が謝った。

 希世子は、ザブンと水の中に潜った。


「びぶびぼーびばっばっばーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!(キスしそうになっちゃったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!)」


 と叫びそうになったからだ。


「ぼーびびょーぼーびびょー! ばぼばべばび! ばびょーびゅんびょばぼびべばびびょーーーーーーーーーー!(どうしようどうしよう! 顔出せない! 佐藤君の顔見れないよーーーーーーーーーー!)」


 水中で希世子が悶えまくる。ついには、


「ぶばあっ(ぶばあっ)」


 ガチで溺れかけた。



 ……



 無事助けられた希世子だったが、しばらく倫行の顔をまともに見ることができなかった。

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