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19.迷子のフリして

 日曜日の朝。

 希世子は、デパートへ向かっていた。

 クラスメイトたちと遊ぶ約束をしており、そこで待ち合わせをしていたからだ。


 目を横へ向けると、白いワンピースを着て歩く自分の姿がショーウィンドウに映っていた。

 一度立ち止まり、服装をチェックする。


「純白のワンピースを着こなせるのなんて、世界中で私くらいじゃないかしら、ウフフ」


 今日も絶好調だ。


「あら?」


 歩き出そうと歩道の先を見ると、小さな男の子が所在なげにキョロキョロ辺りを見回していた。


「誰か探しているのかしら」


 気になる希世子。


「すぐ見つかるでしょう」


 声はかけない。

 希世子は、子供が苦手だった。


 そこへ女子高生二人組が通りかかった。

 二人組は、男の子に気づくとしゃがんで話しかけた。


「どうしたの?」

「お父さんかお母さんは?」


 男の子は、首をフルフル横に振って女子高生のスカートを握った。


「あらら。迷子かな?」

「みたいだね……って、あんたスカート!」


 指摘された女子高生が自分のスカートを見た。

 男の子の手は泥だらけで、男の子が掴んでいたところも泥が付いていた。


「ちょっ!? マジありえないんだけど!」


 女子高生が勢いよく立ち上がり、ビックリした男の子が手を離した。


「それヤバいよ。早いとこ洗うかクリーニング出さないと」

「最悪〜」


 二人は、男の子を放って歩いて行った。


「あう……」


 男の子は、また一人で残された。


「迷子か……」


 希世子が考える。

 あの子、佐藤君を落とすのに使えるかな、と。

 頭の中でシミュレート。



 ……



 待ち合わせ場所近辺に男の子を連れて行く。

 佐藤君と一緒に男の子のところへ戻る。


佐藤君「やや、あそこに一人ぼっちの男の子が。迷子だろうか?」


私「きっとそうよ。私とてもじゃないけれど放っておけないわ。交番に連れて行ってあげましょう」


佐藤君「君は、マザー・テレサか聖母マリアか」


私「このくらい、私にとっては普通のことよ」


 交番へ行く。


お巡りさん「ボク、どこから来たのかな?」


男の子「一丁目でお母さんを探してたら、このお姉ちゃんに無理矢理ここへ連れてこられました」



 ……



「ダメだわ。プチ誘拐じゃない」


 倫行を落とすのに使えないとわかった。

 ということで、


「待ち合わせ場所に急ぎましょう。十分前には着かないと」


 希世子は、歩き出した。

 男の子の横を通り過ぎる。


「おかあさん……」


「……」


「おかあさぁん、ぐすっ」


「……」



 ………………

 …………

 ……



「待たせてごめんなさい」


 希世子が、待ち合わせ場所に到着した。


「謝ることないぞ。約束の時間ちょうどだ」


 倫行が笑顔で迎えた。


「む? 三上、スカートに小さい手形がついてるぞ」


「え」

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