16.手が触れるフリして
授業中。
希世子は、消しゴムを落とした。
隣の席の倫行がそれに気づき、拾おうと手を伸ばす。
落とした希世子も手を伸ばし、二人の手が触れ合った。
「あら」
「おっと」
希世子も倫行もすぐさま手を引っ込めた。
「余計なお世話だったな」
「そんなことないわ。ありがとう」
……
休み時間の手洗い場。
倫行が手を洗おうと蛇口へ手を伸ばした。
すると、横から伸びてきた手とちょうど重なった。
「すまん」
と倫行が謝り顔を確認すると希世子だった。
「こちらこそ、ごめんなさい」
希世子も謝り、
「私こっち使うから」
隣の水道へ移動した。
「なんだか悪いな」
「そんなことないわ、ウフフフ……」
希世子は、意味深に笑った。
……
図書室。
倫行が本を取ろうと本棚へ手を伸ばすと、ちょうど同じく伸びてきた手に触れてしまった。
「む、申し訳ない」
倫行が相手を確認する。
「まぁ、佐藤君」
またしても希世子だった。
「今日はこんなことが多いな、ハハハ」
「本当、偶然ね。ウフフ」
倫行と希世子が笑い合う。
が、これは偶然ではなく希世子の作戦だった。
「(一日でこんなにも手が触れ合うなんて、俺たちは運命の名の下に結ばれているんじゃないかと思いなさい!)」
ということである。
「ハハハ……三上」
笑顔を消した倫行が、真剣な顔で希世子を見つめた。
「(効果覿面!? 運命の名の下に告白されちゃう!?)何かしら?」
「今日、何度も手が触れ合ったよな」
「そうね」
「それで、思ったんだ」
「ええ(キターーーーーッ!)」
「俺、手フェチとかじゃないから」
「え?」
「手が触れたのはたまたまで、狙ってやってるわけじゃないんだ」
「そうなのね。(変な気使わせちゃったーーーーーっ!)」
「だから、わざと手に触ろうとしてる変態じゃないから」
「(わざと手に触ろうとしてる変態……)」
グサッときた。




